2026年7月22日(水)、米国・シアトルからザイ投資戦略メルマガ「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしている元フィデリティ投信トップアナリストのポール・サイさんが、ストックボイス社が手掛ける経済・マーケット番組「WORLD MARKETZ」(TOKYO MX 月~金 22時~23時)に生出演した。

台湾ではTSMCのエンジニアや会社のオーナーが潤っているが、平均賃金は為替で換算すると日本の半分ほど
番組は、台湾系アメリカ人のポールさんが先日まで台湾に滞在していたことを、アシスタントの新宮志保さんが紹介するところから始まった。
台湾経済の様子や所得格差があるのかなどを聞かれたポールさん。台湾はTSMCやAIブームで潤っており、1人当たりGDPは3万9000ドルほどで、日本と韓国の3万5000ドルほどを超えているそう。台湾は物価が安いため、購買力平価(PPP)ベースでは、1人当たりGDPは約10万ドル相当になるという。
台湾の物価が安い理由は平均賃金が安いからで、物価調整ベースでは日本と同じくらいだけれど、為替で換算すると日本の半分ほど。潤っているのはTSMCのエンジニアや会社のオーナーなどで、普通の労働者はそれほど潤っていないようだ。
そこで台湾は所得再配分の一環として、最近は台湾国民だけでなく、労働ビザで働く人にも約5万円を給付したとのことだった。
日本人の配当好きはある意味合理的だが、日本も変わりつつある。若い人は時間を味方につけて長期のトータルリターンを狙ったほうがいい
続いて、番組MCの渡部一実さんが「日本人の配当好き」について切り出した。
日本の金融メディアでは配当と優待で生活している人がよくクローズアップされたり、日本人は配当が好きなイメージがあるけれど、台湾系アメリカ人で、日本株や中国株のアナリストもやっていたポールさんは、そのことをどう見ているのか質問した。
金融理論から見ると、配当よりトータルリターンのほうが重要だとポールさん。株価が値上がりしたタイミングで一部売却すれば、自分で現金収入を生み出せるし、ウォーレン・バフェットも同じことを言っているようだ。
ただ、日本の配当重視にはある意味、合理的なところもあるそう。理由の1つ目は年金生活者や引退している人が多く、確実性が欲しいこと。
もう1つは、日本のコーポレートガバナンスが長年よくなかったことにあるという。投資家が活用できない内部留保には価値が反映されにくい。そうなると、配当が重要になると説明した。
アメリカの場合だと、コーポレートガバナンスはもう少し良いとのこと。会社が過小評価されていれば敵対的買収などを仕掛けられる可能性があり、内部留保があればそういった圧力を排除できるため、内部留保は悪くないようだ。
ただ、内部留保と配当が同じくらいの会社だと、社内に成長余地がないから配当を出しているとみなされ、そういう会社はトータルリターンが少し劣るため、アメリカでは配当が重視されないとの見方を示した。
アジアはどうかというと、トータルリターンを重視するアメリカと、配当を重視する日本の中間くらいの位置付けだそう。
すると渡部さんが「日本の企業は内部留保を使うべき成長投資先がないため、一応配当を出しておくみたいな、良くない高配当というイメージですか?」と返した。
そういう部分もあるけれど、日本のコーポレートガバナンスや経済も変わりつつあるとポールさん。
日本の失われた30年は明らかに終わり、為替も米ドル/円が163円台とかなり変わって、インフレになってきていると見ている。
エヌビディアのジェンスン・フアンCEOも来日して語っていたように、日本は素材や半導体製造装置にかなり強みがあり、ソフトバンクのような会社もあるため、日本株の中に成長企業が存在しているのは間違いないと強調した。
だからこそ、目先の配当ばかりに注目すると、中長期のもっと大きなリターンを失うことになるため、若い世代、特に30代、40代は配当投資をやめて、時間を味方につけて長期のトータルリターンを狙ったほうがいいとポールさんは力説していた。
香港やシンガポールで、成長の恩恵を受けながら高配当をもらえる銘柄はある! 為替が円安で、通貨を分散しながら資産を持つのはいいこと
次は、当連載コラム「米国&世界に投資する最強のFIRE計画(プロジェクト)」で取り上げたアメリカや香港、シンガポールの注目配当銘柄の話題に。
【※関連記事はこちら!】
⇒NISAでも米国株の配当には税金がかかる!? ポール・サイ氏が注目する「完全非課税配当」の香港株・シンガポール株とは?
⇒米国株の「配当王」AWRの配当利回りが2.35%と低い理由とは? 配当株は「配当利回り」という数字だけで選んではいけない
渡部さんも香港やシンガポールの個別銘柄に注目する機会がないため、興味津々のようだ。
詳しくは上の関連記事をご覧いただきたいが、米国株の「配当王」AWRは配当利回りがあまり高くないものの、70年ほど配当を維持できている安定的な会社だそう。水道会社なので規制産業で業績にあまり上下がなく、成長企業でもないためインフレに弱いようだ。
アジアで配当が高いのは、電力や電話などいわゆるディフェンシブの会社で、CLPやCKインフラは配当利回りが4%ほど。DBSやUOBなど銀行だと、その国の経済成長の恩恵も受けながら、高配当ももらえるようだ。Link REITは不動産で、商業施設の成長も見込めるとのこと。
出所:ポールさん作成。「NISAでも米国株の配当には税金がかかる!? ポール・サイ氏が注目する「完全非課税配当」の香港株・シンガポール株とは?」より抜粋
そのほか、香港株、シンガポール株の良い点として挙げられるのは、現地源泉徴収税が存在しないこと。米国株の配当は、日本に届く前に現地で10%が源泉徴収されるけれど、香港株、シンガポール株にはそれがないため、NISAと組み合わせるといいようだ。
香港やシンガポールの経済も活発で、いろいろな投資の成果がある一方、日本は今、為替が円安に動いているという意味では、いろいろな通貨の資産を持つのはいいことだとポールさんは結論づけた。
ここまで、7月22日(水)に放送された「WORLD MARKETZ」の模様をお伝えした。
記事冒頭で触れたとおり、ポールさんが情報配信しているザイ投資戦略メルマガ「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」は登録後、10日間は無料だ。米国株投資をしてみたい、すでにしているけどもっと現地からの情報が欲しい、ポールさんが推奨する個別銘柄やポートフォリオを見てみたいという人は、こちらをぜひ登録してみてほしい。
●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。著書『台湾系アメリカ人が教える米国株で一生安心のお金をつくる方法』を発売中。
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