成長する米国&世界に投資する最強のFIRE計画(プロジェクト)

エヌビディア、ジェンスン・フアンCEOが示したAIの「5層のケーキ」で見えてくるものとは? 従来型のセクター分類は今の株式市場を見るのに役立たない!

2026年10月14日公開
ポール・サイ
facebook-share
x-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

 私がフィデリティでアナリストをしていた頃、仕事は「セクター」で決まっていました。最初は運輸、次に化学、そして銀行。担当が変わるたびに、見る指標も、会う会社も、使う言葉も変わりました。

[参考記事]
●私の歩んできた道(3)アメリカの名門投信会社フィデリティで経験したシクリカル銘柄の見極め方。銀行株はもう追いかけない方がいい。その理由とは?

長らく株式市場を見るための地図として機能してきたGICS(世界産業分類基準)が今、役に立たなくなっている

 会社をどの箱に入れるかを決めていたのが、GICS(世界産業分類基準)です。

 これは1999年にMSCI(当時はモルガン・スタンレー傘下)とS&Pが作った分類で、「何を売っているか」によって会社を11のセクターに振り分けるものです。

 GICSは私にとって20年近く、株式市場を見るための地図でした。

 その地図が今、役に立たなくなっています。

S&P500の約40%が情報技術セクターだが、この数字は今、米国市場で起きていることをほとんど説明していない

 S&P500のセクター構成を見ると、情報技術が約40%を占めています。

 この数字を見て「米国株は4割がハイテク」と理解する方は多いと思います。結論から言うと、この40%という数字は、今、米国市場で起きていることをほとんど説明していません。

 AIは、業種をまたいで需要を生み出す「横串」だからです。

 エヌビディアとマイクロソフトは情報技術ですが、アルファベットとメタはコミュニケーション・サービス、アマゾンとテスラは一般消費財、データセンターに電力を売る会社は公益事業、ガスタービンや冷却設備の会社は資本財に分類されています。

 AIという1つの需要が、11セクターのうち、5つに散らばっているのです。

 逆に、公益事業という同じ箱の中には、AIの電力需要で株価が数倍になった会社と、昔ながらの規制電力会社が同居しています。セクター指数を買っても、自分が何に賭けているのかがわからない。これが、いまのGICSの問題です。

エヌビディアのジェンスン・フアンCEOが示したAIの「5層のケーキ」とは?

 では、今の株式市場はどのように見ていけばいいのでしょうか。

 私が使っているのは、エヌビディアのジェンスン・フアンCEOが今年(2026年)1月のダボス会議で示した「5層のケーキ」という整理です。

 下から順に、第1層がエネルギー(発電と電力設備)、第2層が半導体(GPU、メモリー、製造装置、ファウンドリー)、第3層がインフラ(クラウド、サーバー、データセンター設備)、第4層がモデル(基盤モデルの開発企業)、第5層がアプリケーション(AIを組み込んだソフト、ロボット、自動運転)です。

5層のケーキ出所:エヌビディアのジェンスン・フアンCEOが2026年1月のダボス会議で示した内容を元に生成AIで作成

 そして、フアンCEOは「経済的な価値が最終的に生まれるのは一番上のアプリケーション層だ」と繰り返し語っています。

「5層のケーキ」の各層ごとに業績と株価を見ていくと、「AI株」と一括りにしていては見えないことが見えてくる

 私はこの5層に沿って主要36社を選び、層ごとに業績と株価を追っています。すると、「AI株」と一括りにしていては見えないことが見えてくるのです。

 過去5年(配当除く、10月12日時点)、各層を等金額で持った場合の騰落率は、半導体が+426%、インフラが+442%と、S&P500の+79%を大きく上回る一方、一番上のアプリケーションは+51%にとどまります。

 今年(2026年)に入ってからは、半導体が+91%なのに対し、アプリケーションはマイナス15%です。

 36社の時価総額、約32兆ドルのうち、42%を半導体層が占め、アプリケーション層は9%です。

 簡単に言うと、今のAIは「クラウドが代金を払い、チップ(半導体)が利益を取る」構造になっています。19世紀の鉄道ブームで儲けたのが、線路を敷いた鉄道会社よりも、線路を鉄道会社に売る側だったのと同じ構図です。

「5層のケーキ」のうち、価値は上層へ移っていくのか、下層が価値をとり続けるのか? 分岐点を決めるのはハイパースケーラーの…

 ここに、投資家にとっての本質的な問いがあります。フアンCEOの言う通り、価値はいずれ上の層へ移っていくのか。それとも、下の層が価値を取り続けるのか。

 インターネットの歴史では、1990年代末、先に株価が頂点をつけたのはシスコシステムズなどのインフラ層で、その後の10年で勝ったのはグーグルやアマゾンといったアプリケーション層でした。

[参考記事]
●【シリーズ連載:エネルギーから知能へ】第2回 鉄道狂時代、ドットコムバブル期と比較して考える。2026年7月の一部AI関連株下落、AI懐疑派の主張は妥当か?

シスコシステムズ(CSCO、赤いライン、右軸)とアマゾン(AMZN、青いライン、左軸)の株価推移 1997年頃~2010年頃 出所:TradingView

 正直に言うと、今回どちらになるかは私にもわかりません。ただ、分岐点を決める変数ははっきりしています。ハイパースケーラー(大手クラウド事業者)の2027年の設備投資計画です。

 10月下旬に発表される第3四半期決算で、それが増え続けるなら下の層の希少性は保たれ、横ばいや削減の兆しが出れば、ストーリーは変わります。

S&P500のインデックスファンドを持っているとしても、その構成銘柄がどうなっているかは従来型のセクター分類ではなく、「5層のケーキ」で把握すべき

 日本の読者にとって、ここまで述べてきたような視点が特に重要な理由があります。

 S&P500に連動する投資信託やETFを通じて米国株を持っている方は、意識せずにこのケーキを時価総額の比率で丸ごと買っています。半導体だけでS&P500の2割、エヌビディア1社で8%強です。これは「分散投資」というより、AIの下層への集中投資に近いと言えるでしょう。

 それが悪いと言いたいのではありません。私自身、エヌビディアを最大の保有銘柄にしています。

 ただ、自分が何を持っているかは、「情報技術40%」という表示ではなく、5層のどこにいくら載っているかで把握すべきだと思います。

「情報技術40%」という1つの数字の代わりに、エネルギー、半導体、インフラ、モデル、アプリケーションの5つの数字を把握しよう

 GICSが無意味になったわけではありません。「その会社は何を売っているか」という問いには、今も客観的に答えてくれます。

 ただ、「その会社の株価は何に動かされているか」という問いには、もう答えられません。AIが米国株の主役である限り、投資家にとって重要なのは後者の問いです。

 結論はシンプルです。セクターの名前で持ち株を把握するのをやめて、需要の層で把握するのです。「情報技術40%」という1つの数字の代わりに、エネルギー、半導体、インフラ、モデル、アプリケーションの5つの数字を持つ。それだけで、同じS&P500がまったく違って見えてくると思います。

 本稿では、「5層のケーキ」の枠組みの話にとどめました。

 AI関連主要36社を5層に並べた一覧と、層ごとの利益率、ROIC、PERの数字、ハードウェア企業とソフトウェア企業で評価が逆転している話、私の推奨ポートフォリオを5層で見た地図、そして10月28日から始まるハイパースケーラーの決算で何を点検するかは、毎週金曜日に配信しているメルマガ「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」に書きたいと思います。

 ご自身の持ち株を5層に分ける方法も、そこでご紹介します。AIを使えば簡単にできるのですが、正確な分類を行うには、ある程度の準備とAIへの聞き方に関するコツが必要になります。

 

●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査に12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語に堪能。米国株などの資産運用について助言するメルマガ「米国株&世界の株に投資しよう!」を配信中。著書『台湾系アメリカ人が教える 米国株で一生安心のお金をつくる方法!』発売中。

※メルマガ「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」募集中! 米国株&世界の株の分析が毎週届き、珠玉のポートフォリオも提示! 登録から10日以内の解約は無料。


ZAiのオンライン講座『当選を狙う! 上場後も儲ける!株初心者でも8割勝てる!IPO株 完全攻略法』セミナーはこちら!
年200万円利用で高級ホテル宿泊券がもらえる!最強ゴールドカードを検証! ダイヤモンド・ZAi無料会員登録はコチラから 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
みずほ楽天カードの公式サイトはこちら! 三菱UFJ eスマート証券(旧:auカブコム証券)の公式サイトはこちら! 三菱UFJ eスマート証券(旧:auカブコム証券)の魅力を徹底解説!日本株の売買手数料が完全無料(0円)に! クレカ積立の還元率が業界トップクラスなのも魅力! 楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
みずほ楽天カードの公式サイトはこちら! 三菱UFJ eスマート証券(旧:auカブコム証券)の公式サイトはこちら! 三菱UFJ eスマート証券(旧:auカブコム証券)の魅力を徹底解説!日本株の売買手数料が完全無料(0円)に! クレカ積立の還元率が業界トップクラスなのも魅力! 楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

10年配当株
人気の株500&米国株
最新理論株価


11月号9月18日発売
定価1000円(税込)
楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[10年配当株/人気の株&米国株診断]
◎第1特集
ずっと高配当で安心して持てる!減配しない!
10年配当株ベスト50

●配当維持や増配年数で点数化!
10年配当度はこうして計算している!

●1位〜50位を一挙公開
1位:94点みずほリース/配当利回り3.75%
2位:93点全国保証/配当利回り3.84%
3位:93点ヒューリック/配当利回り3.78%

◎第2特集
「買い」「強気」の10万円株は123銘柄
[2026秋]人気の株500+Jリート14激辛診断

買い:丸井グループ、日本郵船、INPEX…など
強気:ヤマハ発動機、日本製鉄、コマツ…など
●旬の3大テーマ
過去最高業績/下落時に上昇/配当が増える
●5大ランキング
第1四半期高進捗/アナリストが強気/高配当
●2026年秋のイチオシ株
10万円株/高配当株/株主優待株7/Jリート
●気になる人気株
大型株393/新興株86/Jリート10

◎別冊付録[1]
買いの好決算株を探せ!増益割安株は1580銘柄
上場全3802社の最新理論株価
◎第3特集
AI株は明暗が分かれる!
[2026年10-12月]人気の米国株150診断

●買い時/有望な業種/AI株の今後を大予測
●スペースXは「買い」!GAFAM+α定点観測
●今買いの人気優良株9

●人気の132銘柄の買い売り診断
●番外編:「人気150銘柄」以外から厳選!
買いの高配当株8

◎第4特集
初心者危険!リスクもデカいが儲けもデカい!
ピリ辛レバレッジ型投信で攻めるワザ

●レバ型投信ってナニ!?
●レバ型投信に投資する心得

●米国株/日本株のレバ型を使いこなす億り人のワザ
●人気投信8本を徹底解剖

◎別冊付録[2]
iDeCo入門第3回「失敗しない受取り方」
●マンガで理解
出口戦略でおトク度に差がつく!控除枠内で受取ろう

●元本が2倍になる人続出!リアル体験記
●一括/年金/併給など受取り方のキホンとポイント
●繰下げ受給など年金を増やす3つのワザ

◎短期集中連載
株好きアイドル[ラフ×ラフ]高梨結VSザイ部員
スイングトレード株バトル第3回
「ボリンジャーバンド」を制する者がトレードを制す!
◎いつもの連載も充実!​
●ZAiのザイゼンがチャレンジ!目指せ!お金名人Vol.26「大きな病気をした時は?」
●17億円トレーダー・ジュンのFX成り上がり戦略Vol.21
「勢いのある上昇は押し目を狙って攻める」
●おカネの本音!VOL.51;高橋勅徳さん
「婚活だっておカネになる社会のスキマで見つけた好きなことで稼ぐ方法」
●株入門マンガ恋する株式相場!VOL.119
「ふたりの予測市場は波乱含み!?」
●マンガどこから来てどこへ行くのか日本国
「デジタル遺産相続にも注意!庶民ほど争いが多発!少額相続の落とし穴」
●人気毎月分配型100本の「分配金」速報データ!「本当の利回りのアップ・ダウンはまちまち!」
●ザイクラブ拡大版!1カ月で上がる株を当てろ!「ヤマハ発動機が市場予想を大幅に上回る好決算!」


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


ザイクラブ・アンケートはこちら!

>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報