毎月、分配金が受け取れる「毎月分配型の投資信託」の失敗しない選び方&おすすめの投資信託を紹介!
ダイヤモンド・ザイ5月号では、投資の初心者に向けた特集「貯める&増やす投資入門」を掲載しているが、今回はその中から、「分配金を受け取る投資信託」のパートを抜粋して紹介する。
毎月分配金が受け取れるのは、特にリタイア世代にとってはうれしいもの。ただし、間違った選び方をすると元本を取り崩すことになるので注意が必要だ。ここでは、安定した分配金を受け取るための投資信託の選び方や、おすすめの投資信託をプロに教えてもらった。
本当の利回りで投資信託の実力を確認せよ
毎月分配型の投資信託への投資で気をつけるべきなのが、「元本を取り崩して分配金を出していないか」だ。よく窓口での営業トークで話される利回りは、「分配金合計÷直近の基準価額」で算出されるが、これは、今後の基準価額が一定だと仮定した数値。基準価額が下落すると、その分も元本が減るので要注意だ。
そこで買う前に確認してほしいのが「本当の利回り」。過去1年間で基準価額が下落していた場合は、分配金の合計から下落分を差し引いて算出。今後、基準価額が下落するとは限らないが、見せかけの利回りに惑わされず、現状の実力である本当の利回りを知っておくことが重要だ。
元本払戻金(特別分配)が出続けていたら要注意!
そして、購入後に確認してほしいのが、「元本払戻金(特別分配)が出続けていないか」だ。分配時の基準価額が、個別元本(当初は購入時の基準価額)を下回って損が出ている場合に、「元本払戻金」が出る。
「長期に渡って毎月、分配金の中に元本払戻金が入っている場合は、タコが自分の足を食べて成長するように、元本の払い戻しを利益と勘違いしてしまう『タコ足分配』なので要注意です」(「投資の窓口」ファンド・リサーチセンター長の植村佳延さん)
逆に言うと、基準価額が個別元本(購入時の基準価額)を上回って利益が出ている時に出された分配金は、「普通分配」になる。普通分配は約20%の税金が引かれるが、元本払戻金は非課税だ(※元本払戻金は利益ではないため)。
また、元本払戻金が出た分だけ、個別元本は購入時の基準価額から下がる。このため、個別元本は買った時期によって1人1人異なることになる。自分の個別元本を分配金の案内書でチェックしよう。
「月次レポートには基準価額の折れ線グラフが記載されていますが、この基準価額が下がり続けていたら、タコ足分配が続いている可能性が高いので要注意です」(楽天証券経済研究所の篠田尚子さん)
欲張らずに安定分配を重視し、リート型や債券型を選ぼう!
毎月分配型の投資信託で安定的な分配を狙うなら、業績次第で配当がブレる可能性がある「株式型」ではなく、家賃や利息などの収入が安定している「リート型」や「債券型」がおすすめだ。
現状、リート型は高分配を出す投資信託が多く、人気のタイプだ。「ただし、リート型の場合、分配金を出し過ぎて基準価額が下がった投資信託が多い点には注意。投資信託自体が受け取る家賃の収入に見合った分配金を出す商品を選ぶことが重要。欲張って高い分配利回りを求めてはいけません」(篠田さん)
また、値動きが小さいのが債券型で、なかでも低リスクなのが「先進国債券型」だ。低金利下で高利回りは望めないが、値動きは安定的。低格付けの社債に投資する「ハイイールド債券型」は、高利回りで注目度も高い。「国債などと比べると値動きは大きく、株のような動きをすることがある」(篠田さん)点に気をつけて、一部に組み入れるのがベストだ。
高利回りだが、値動きが大きいのが「新興国債券型」。ただ、これは現地通貨型ではなく、米ドル建てを選ぶことでリスクを抑えることができる。先進国債券、ハイイールド債券、新興国債券のすべての種類の債券を組み入れている混合型もあるので、1本で分散したい人にはオススメだ。また、為替のリスクを排除した「為替ヘッジあり(円建て)」を一部に組み入れるとリスクを抑えることができる。資産全体の外貨建ての割合が多いようなら組み入れよう。
最後に、債券型・リート型・株式型の投資信託の特徴をまとめると、以下のようになる。
(1)債券型⇒安定的で低リスクで 運用したい人向け!
3つのタイプの中では値動きが小さい。その中でも「先進国債券」が最も低リスク。低金利により利回りも低いが安定的だ。「ハイイールド債券」と「新興国債券」は「先進国債券」と比べると値動きが大きい。ただ高利回りなので、一部に組み入れることで、分配金のアップが狙える。
(2)リート型⇒家賃収入による配当で株式より分配は安定的
一時的に株式と同じくらい値動きが大きい時もあるが、基本的に株式より値動きは小さ く、安定的な家賃収入による配当があるため、分配金の安定度は高い。ただ、家賃収入以上に分配金を出し過ぎている投資信託もあるので、選ぶ際に注意が必要だ。
(3)株式型⇒値動きも大きいため、分配金も不安定
3つの投資先の中で最も値動きが大きいうえに、企業業績の変動によって配当の増減があるため、分配金も不安定。 毎月分配型には向いていないタイプ。電力やガスなどの世界の高配当公益株に投資対象を絞った毎月分配型もあるが、 本数は少ない。
安定的に分配金が出されている注目投資信託2本を紹介!
さて、ここまでのところで、毎月分配型の投資信託を選ぶ基本的なポイントが押さえられただろうか。ダイヤモンド・ザイ5月号では、分配金をもらいたい人にはあまり適していない株式型を除き、各種「リート型(国内リート型・米国リート型・為替ヘッジの米国リート型・世界のリート型)」、各種「債券型(先進国債券型・新興国債券型・先進国&新興国債券型・米国ハイイールド債券型)」のジャンルから、それぞれおすすめの投資信託を合計12本掲載している。
ここでは、「リート型」と「債券型」からそれぞれ1本ずつ抜粋して紹介しよう!
まずは、「国内リート型」の注目の投資信託「ニッセイJリートオープン」だ。「ニッセイJリートオープン」は国内型で、為替のリスクはない。月々の分配金は少額だが年に4回ボーナス分配を出しており、利益のほとんどを分配金で吐き出すタイプ。Jリートの好調もあり、過去5年間では、基準価額は上昇しており、利回りは年率20%超。分配金再投資の基準価額は5年で倍以上になっている。信託報酬も1.08%と、リート型の投資信託の中では低水準だ。
続いて、米国の「ハイイールド債券型」から、「米国ハイイールド債券ファンド米ドルコース」。米国のハイイールド債のみに投資し、投資先の平均利回りは6.38%と高い。月150円の高分配を継続しているにもかかわらず、基準価額は大きく下落しておらず、直近1年の利回りは12%台と高い。5年では年率16%台の利回り。ただし、世界的な株安などに連動する点には注意。
このほかダイヤモンド・ザイ5月号では、「人気の投資信託ベスト30の本当の実力」を紹介しているので、そちらもチェックを!
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