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「森友問題の深刻化」による「内閣支持率の低下」で今後の日経平均株価はどうなる? 下値は堅そうだが当面は「三角保ち合いの下放れ」への警戒が必須!

2018年3月20日公開(2022年3月29日更新)
藤井 英敏
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「森友問題」や「トランプ政権の米国第一主義先鋭化」など
日米共に政治リスクが原因で株式市場が下落

 日米共に政治リスクが高まり、金融市場が動揺しています。日本では森友問題深刻化と内閣支持率の急低下、米国ではトランプ政権の「米国第一主義先鋭化」とトランプ陣営の選挙コンサルティング会社の個人情報不正入手問題です。

 例えば、NNNが3月16日~18日に行った世論調査によれば、安倍内閣の支持率は前月比で13.7ポイント急落して30.3%と、第二次安倍政権発足後、5年あまりで最低となり、支持しないは53%でした。当然のことながら、学校法人「森友学園」の国有地売却をめぐる財務省の決裁文書書き換え問題が、支持率急落の主因です。

 そして、9月の自民党総裁選での安倍晋三首相の3選シナリオに暗雲が漂いつつあることを、東京株式市場は嫌気しています。

 一方、米国では、11月に中間選挙が実施されます。もちろん、与党の共和党が上下両院で過半数を維持できるかが焦点です。そして、この選挙を意識して、トランプ政権が支持基盤の白人貧困層に受けがよい「米国第一」を強力に推し進める体制作りを急いでいます。

 この結果、国際協調を重んじ、現実路線を志向する政権幹部の離脱が相次いでいます。市場では、米国が保護主義に邁進すれば、好調な米国経済が悪化しかねないとの懸念から、ドルが対主要通貨で売られています。

 さらにここにきて、大統領選でトランプ陣営が契約したデータ会社、ケンブリッジ・アナリティカ(CA)が、フェイスブック(FB)利用者5000万人以上の個人情報を収集したとの報道がありました。これを受け、フェイスブックの株価が急落、これを嫌気する格好でリスク回避ムードが強まり、3月19日の米国株式市場は大幅反落しました。

日経平均株価は「下値模索」の状況に
当面は下放れへの警戒が必要

 このような日米政治リスクの高まりと、外国為替市場でのドル安・円高という状況から、足元の日経平均株価は調整色を強め、下値模索となっています。当面は、3月5日の安値2万0937.26円を意識せざるを得ません。

 一方、上値に関しては25日移動平均線(19日現在2万1674.27円)や、株価指数先物・オプション3月物のSQ値は2万1575.45円などが強く意識されるでしょう。

■日経平均株価チャート/日足・6カ月
日経平均株価チャート/日足・6カ月日経平均株価チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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 前述の2万0937.26円を割り込むと、ここ最近形成中の、下辺が水平で上辺が右下がりになっている「上値切り下げ型の三角保ち合い(ディセンディング・トライアングル)」の下放れということになりかねません。

 なお、現時点においては、3月期末の配当権利取りの買いが最終日の3月27日まで入るとみているため、それまでは下値は相当堅いとみています。つまり、想定以上の米国株安や円高の進行がなければ、27日までは「三角保持ち合い下放れ」は回避される確率が高いと考えています。

 ただし、下放れるリスクは決して低くはないため、常に下放れを警戒しておく必要はあります。

小型材料株が短期資金の受け皿にならない場合
「ナイアガラ」発生の可能性が高まる

 通常、主力の大型株が軟調だと、新興市場を中心に小型材料株が短期資金の受け皿になるものです。しかし、3月19日の日経平均株価が前週末比0.9%安だったのに対して、東証マザーズ指数は同2.9%安でした。

■東証マザーズ指数チャート/日足・6カ月
東証マザーズ指数チャート/日足・6カ月東証マザーズ指数チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト) ※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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 もう暫く様子をみないとわかりませんが、少なくとも3月19日の東証マザーズ指数の下げ率が大きかったことから、今回の調整局面では「小型材料株が個人を中心としたホットマネーの受け皿にならないリスク」が高まっていると考えておく必要があります。

 大型株に関しては日銀によるETF買いの効果がある一方で、小型材料株にはその効果が見込みにくいです。このため、受け皿になれなかった場合、それを失望した売りを浴びて、一方的な下落(ナイアガラ)が発生するリスクを強く警戒しておく必要があります。

 よって、現時点において、信用取引を行い、レバレッジを効かせて小型材料株を主戦場にしている投資家は、維持率管理を今まで以上に厳格化しておく必要があるでしょう。

 また、3月9日時点の信用買い残は、3週ぶりに減少したとはいえ、3兆5776億円と、なお高水準です。一方、信用評価損益率は9日時点でマイナス9.32%と、前週からマイナス幅が0.46ポイント拡大しています。信用買い方が苦しんでいる状況が窺えます。

 このため、信用買い残が積み上がっていて、値動きの悪い銘柄には潜在的な売り圧力が大きいということを、頭の隅においておきましょう。

円高による業績鈍化リスクを
過度に怯える必要はない

 ちなみに、野村證券、大和証券、SMBC日興証券、みずほ証券の4社による2018年度主要企業(金融除く)の業績見通しは、増益率は2ケタだった2017年度からは鈍化するものの、経常利益は前年度比8~10%増となり過去最高を更新するということです。

 ただし、SMBC日興証券を除く3社は、為替レートの前提を1ドル=110~111円としているそうです。つまり、足元の1ドル=105〜106円台の円高水準は業績下振れ要因です。

 それでも、SMBC日興証券は、1ドル=105円の前提で9.4%増益を予想しています。このため、過度に円高による業績鈍化リスクに怯える必要はないと思いますが、現状の悪化した市場センチメントでは、「円高は気にするな」と言ったところで「気にするよ」との答えが間違いなく返ってくることでしょう。残念なことです。

 それでも、相場下落局面では、(円高による収益悪化リスクを内包しつつも)2018年度も企業収益で好調が見込めるということは、バリュエーション面でのサポート要因になるはずです。

今の株式市場では、キャッシュポジションを増やし
次の買い場を待つことも必要

 当面の戦略ですが、小型材料株が短期資金の受け皿にならないようだと、徹底して様子見して(投資資金をほぼオールキャッシュにして)、バーゲンハンティングのチャンスを虎視眈々と狙う、または、徹底して様子見し、安心して投資できる環境に変化するまで気長に待つというしかないと思います。

 いつも攻めてばかりではなく、時には相場から一歩引いて、最良のエントリータイミングを待つことも、成り上がり投資戦略としてはありでしょう。

 それを「潔しよし」とはせず、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」とばかりに行動するにしても、今の環境では、「キャピタルゲイン狙い」でなく、「インカムゲイン狙い」に徹した方がよさそうです。

 具体的には、2018年度も好業績・増配が期待でき、且つ、現時点でも予想配当利回りが高い銘柄を仕込むというものです。ただし、インカムゲイン狙いは「金持ちの戦略」と思うので、私はあまりお勧めしません。

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