相変わらず、日本株はダメダメです。
日経平均株価については、以前から、テクニカル的に25日移動平均線(7月2日現在2万2488.44円)を下回っている間は、嫌な値動きが継続することを覚悟してはいました。また、2日は前回の下落時(5月30日の2万2000円割れのタイミング)に強力にサポートとして機能した75日移動平均線(同2万2179.42円)を明確に割り込みました。このため、見切り売り・ヘッジ売りが加速したため、値幅を伴った下落となったのでしょう。
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結果として、7月2日の日経平均株価は前週末比492.58円(2.21%)安と、大幅に反落してしまったのだと思います。
日本株急落の原因は、米中貿易摩擦の激化懸念
「貿易摩擦」が「通貨安戦争」に発展する可能性も
そして、こうなってしまった主因は、やはり、金融市場での、米中貿易摩擦激化懸念の強まりなのだと思います。このままでは、米中は7月6日にまず340億ドル分の追加関税を発動する予定です。このため、市場では、この米中貿易摩擦が世界経済、とりわけ中国経済への悪影響が大きいことへの警戒感が強まっているのです。
具体的には、市場は、2015年8月の「チャイナ・ショック」の再現を怯えています。あの当時は、経済指標不振を背景とした、中国人民銀行(中央銀行)の8月11日の人民元切り下げ(人民元を約3年ぶりの安値水準に誘導したこと)が、輸出拡大のための人民元の切り下げと受けとめられたことが、世界的株安へと波及したきっかけでした。
実際、日経平均株価は、8月11日高値2万0946.93円だったのが、9月29日には1万6901.49円まで下落しました。2カ月弱で4045.44円(19.31%)の急落に見舞われたのです。
ちなみに、7月2日の上海総合指数は大幅反落し、前週末比71.8611ポイント(2.52%)安の2775.5570と年初来安値を更新し、2016年3月1日以来、2年4カ月ぶりの安値水準に沈んでいます。
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同日の人民元相場が一時1ドル=6.6588元と、2017年10月27日以来、約8カ月ぶりの元安・ドル高水準を付けたことや、6月30日に発表された政府版の6月の製造業PMIが51.5と、前月から0.4ポイント低下して市場予想の51.6も下回ったことが嫌気された結果です。
このような状況下、中国人民銀行は7月5日付で預金準備率を0.5%引き下げます。米国の対中追加関税の発動を翌6日に控えていることもあり、米国への報復措置として、中国が通貨安誘導を強めたとの見方が強まっています。
つまり、足元では、「貿易摩擦」が「通貨安競争」に発展することへの警戒感が強まっているのです。
本来、株式市場に対して好材料であるはずの円安が、
日経平均株価を押し上げない理由とは?
ところで、7月2日発表の日銀短観6月調査では、大企業製造業DIは、前回3月調査から3ポイント悪化し、プラス21と2四半期連続で悪化しました。原油高による原材料費の上昇が影響しました。しかし、先行きの業況判断 DIは、大企業製造業がプラス21と横ばいであり、先行きそれほど悲観的ではありません。これは取り敢えずの安心材料です。
また、大企業製造業の2018年度の想定為替レートは1ドル=107円26銭でした。足元の円相場と比較して大幅な円高想定のため、今の水準が続けば、今後、企業収益の押し上げ要因となる見通しです。
このような円安は本来、日経平均株価の強力な押し上げ要因なのですが、投資家の関心が人民元相場と上海株式相場に集中しているため、円安という好材料は残念ながら無視されるでしょう。つまり、円相場と日経平均株価の連動性は当分の間、ほぼ皆無とみておくべです。
逆に、当面は、人民元相場ならびに上海株式相場と、日経平均株価の連動性が一段と強まる見通しです。ちなみに、上海証券取引所のプレ・オープニング・セッションは日本時間の10時15分~10時25分、前場は10時30分~12時30分、後場は14時~16時です。
現在の株式市場の状況をふまえると
大型株・小型株ともに無理して買わないのが「吉」
さて、今回、日経平均株価がどこまで下がるのか? こればかりは「神のみぞ知る」です。
環境的には、米中貿易摩擦が緩和すれば一気に市場の不安が解消され、買い戻されるでしょう。ですが、トランプ政権は、秋の中間選挙を視野に対外強硬路線を続ける公算のため、そう簡単にはこの貿易摩擦問題の落とし所がみえてくることはなさそうです。
こういった相場で気をつけないとならないのは、値ごろ感で安易な押し目買いをしないことだと思います。よほど突っ込んだ状況(急落、セリングクライマックスの実現)か、コツンときたこと(曖昧な底入れ感が出ること)がある程度確信が持てるタイミングまでは、「買い」はないと思います。
慎重にいくならば、「日経平均株価が少なくとも5日移動平均線を超えるまでは、株は買わない」という選択もありでしょう。なお、これは裁定取引やインデックス売買の影響の受けやすい大型株の話です。
小型株に関しては、日経平均株価などの株価指数とはあまり関係なく動きます。ただし、それでも、今年1月前半に積み上げた信用買いの期日が7月初旬に到来することを考慮すれば、小型株の積極的な売買も、期日のピークとみられる来週(7月9日~13日)明けにしておいた方がよさそうです。それまでは、どの銘柄を買うかを選定することに注力し、小型株市場への資金投入は控えておきたいですねえ。
信用取引の評価損が膨らんでいる人は
マイナスが大きい銘柄から損切りしてポジションの縮小を
ですが、残念ながら多くの個人は、7月2日現在、既にそれなり規模の買いポジションを抱えて膨らんだ評価損に苦しんでいる、または、それなりの規模の信用買い建玉を抱えて相場ではなく信用維持率との戦いに日々明け暮れていることでしょう。
特に、新興市場の銘柄を信用で買い建てている多くの個人は、非常に厳しい状況と推察されます。具体的には、松井証券の「マザーズ銘柄のネットストック信用評価損益率」を見ると、7月2日の信用買いの評価損益率はマイナス21.16%です。このマイナス幅マイナス20%超は、「追証」が相当量発生するはずのレベルです。
現物取引(現金取引)のみ方は、戻りを待ちたいなら待てばよいでしょう。しかし、信用取引を活用して、身の丈を超えて取引を行って、追証リスクにさらされ苦境に追い込まれてしまっている方は、「投げるべきか、耐えるべきか? それが問題だ」というハムレットのように、心が揺れ動いていることでしょう。
本来、ここまで追い込まれる前に、リスク・資金管理をしっかりしておくべきなのですが、それはまあ、「言うは易く行うは難し」なんでしょう。
いずれにせよ、信用取引を行い現在苦境に陥った方は、まずは相場があなたにとって最悪の方向に向かったことを前提に、「眠れぬ玉は持つな」、「眠れるほどに張れ」といった相場格言を想起して、早急に身の丈に合ったポジションに縮小しましょう。理想は、「全て現物にして、信用買い建玉はゼロにすること」です。
なお、買い建玉の整理の順番は、評価損益率の悪いものから順に切っていくべきです。
多くの個人は評価損益率の良好なものから切っていく傾向があります。しかし、経験則上、相場が戻り場面に入った場合、それまでの下落率の低い銘柄は需給があまり悪化していないので戻ってくれますが、下落率の大きかった銘柄は需給が劇的に悪化してしまった結果、(全体相場が戻っても)全く株価が戻らないケースが多々あるのです。
だから、買いポジションを縮小させる場合、下落率の大きい、需給が悪いものから順に切っていくべきなのです。
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