★★★★★ (5段階中5 5が最高評価)
やっと出た! 5つ星評価の成長株!
出ました。レーティング5が...!
2019年11月に設立50年を迎えるパルステック工業株式会社を強い買い推奨とします。理由は、市場の評価がPER10倍で配当利回り3.7%では低すぎるからです。そしてポータブルX線残留応力測定装置の成長率が高いことです。
一般的に、ユニークな検査装置メーカやヘルスケア医療機器メーカは30倍台のPERも当たり前です。例えば、半導体検査では、半導体分野ではレーザーテック(6920)はPER44倍。ヴィスコ・テクノロジーズ(6698)は32倍です。浜松ホトニクス(6965)が34倍ですね。生体検査を同じく手がけるフクダ電子(6960)はPER16倍です。医療では島津(7701)やシステックス(6969)なども30倍程度です。インターアクション(7725)は25倍(希薄化考慮)程度です。
一方で同社のPERはたったの9倍です。
「なんだか、変だなあ。これはおかしいのでは?」と思ったのです。それが訪問取材のきっかけでした。
今、訪問後の感想としては、「やっぱり、おかしい。同社にはPER17-18倍の価値があるな」と思ったのです。
IRがあまり積極的でなく、業績がずっと不振だった
なぜこのようなギャップが生じるかというと、主に2つの理由からです。
1) 同社がIRを積極的に行っていなかったこと
私が取材を申し込んだのは1年以上も前です。今回、ようやく取材を行うことができました。同社は今後とも投資家の取材を受け付ける予定ですので、今、ようやく、開示に前向きになってきたのです。PERは今期予想で10倍程度です。配当利回りは3.7%です。財務内容は良好です。自己資本比率は73%です。成長率も高いのです。また、2019年3月期の増収率は20%です。モメンタムもよいのです。3Q(第3四半期)に前期2019年3月期の業績を上方修正しました。μ-X360sなどの新製品が伸びているので、2020年3月期も強い年になると思います。
2) ずっと業績が不振だったこと。
赤字が続き、継続の前提に疑義注記があり、それが解消されたのが最近であること。2015/3に黒字になりましたが、これはまだ光ピックアップ分野の特需があったためでした。2016/3は減益でしたが、内容はむしろよく、成熟した光ピックアップが減ったものの、2012年に開発したポータブル残留応力測定装置X-360シリーズ(X360とX360n)が伸びたからです。2016年度3Qにようやく継続の疑義が解消されました。
2017年はこの新製品がバージョンアップし、μ-X360sが誕生。世界最小、最軽量、計測速度30%アップをキャッチフレーズに拡販に成功します。X360sは周辺機器も相次いで開発。X線を扱う資格がなくても、測定の技術がない方でも測れるように工夫がなされました。
もう一つの成長分野であるヘルスケア部門でもDNAやインフルウイルス検査機器が利益貢献し始めました。
これらの新製品が飛躍。2017/3は大幅増収増益。2018/3は13期ぶりに復配。そして2019/3は2度の上方修正を経て大幅な増収増益をまたも達成したのです。
売上10分の1後に人員整理、新製品が売上を牽引!
同社は光ピックアップ製品の検査装置で業界標準なのですが、CDやDVDなどの光ピックアップ製品が大幅に減少する中で、業績不振に陥った過去があります。ピークの1998年には148億円の売上と9億円の営業利益を達成。でも、その後、長期の低迷に陥りました。12年間も無配当だったのです。
それが現在の一桁のPERの評価になっていると考えます。ところが、現在、光ピックアップの売上構成比はたったの10%程度なのです。多くは業務用の光ディスク向けです。もう、光ピックアップ検査装置は、減りようがないのです。
過去、2度の人員整理を行なっています。私は人員整理をする企業は好きではないのですが、同社の場合は、致しかたないと同情するほどの大凋落でした。
まず、ピークで何が起こったか。日本の家電が元気だった頃、CDプレイヤーだけではなく、 CD-RやCD-RWなどに加えてDVDなどが登場。パルステック工業は光ピックアップを扱うほぼ全てのメーカーにほぼ全ての規格に対応した検査装置を提供。これが150億円という売上ピークにつながったのです。ところが、スマホの時代に入り、CDもDVDも市場が大きく縮小してしまい、数量は激減。検査装置の価格も5分の1になってしまいました。
ピークの10分の1に売上がなれば、企業は人員整理をしなければ倒産してしまいます。事実、2016年まで同社には継続企業の前提に疑義の注記が与えられていました。倒産するかもしれない企業の製品を大企業は買わないと思います。疑義が解消されて、展示会への集中的な販促費の投入などが花開いたのがこの2-3年の動きでした。
前述のように、新分野であるX線ポータブル残留応力測定装置とヘルスケア部門が大きく伸びています。
今では、売上構成比の30%は自社ブランドのX線残留応力検査装置(μ-X360s)が占めます。これがすごくて、シェアは9割以上です。また、ヘルスケア分野で検体検査装置をOEMですが手がけています。
これが売上構成比の2割程度を占めます。
その他の部門ですが、自社開発の3Dスキャナー部門が売上構成比の20%を占めます。残りは光応用受託部門です。
3Qでは受注高は前期比57%増の26億円となりました。3Q売上は前年同期比25%増の16億円でした。2Q受注高は16億円(前年比+19%)でしたから、3Qの3ヶ月だけで10億円の受注。年間風速では40億円の受注だったのです。
画期的な持ち運び型残留応力測定機でシェア95%を実現!
残留応力測定は昔からありますが、持ち運び型の製品化は世界で初めてのことでした。昔は、破壊検査で調べたいものを切り出して測っていたのです。μ-X360sは測定したいものを切る必要はなく、現場にこれをもっていけばよいのです。7年前は、大学の先生も「ポータブル??できるわけない!!」と認めてくれませんでした。学会で発表したり、展示会で営業したり、地道な努力をしてアピールしました。ようやく大学の先生に使ってもらうことが叶い、6-7年前から市販の営業を始めたのです。リガク社のスマートサイトが競合ですが。95%がパルステック工業のシェアです。
顧客は自動車部品や自動車メーカです。鉄やアルミを使う人たちです。彼らは燃費や電費(EVの場合)を重視するため、とにかく部材を軽くしたいのです。薄くしたいのです。でも、強度や品質は保ちたいのです。この相反することをどこまでやりきれるのかが顧客の課題です。無理すると残留応力が悪さをします。
顧客はこれまでは職人の長年の経験とカンによって、商品を開発してきました。鉄の焼き入れに関して、例えば、この強さは焼き入れ三回だろうというカンでやっていました。ところが顧客が360sを使って数値を測ると、焼き入れは1回だけで良いことがわかりました。3回やらなくてよかったのです。部品2プロセスを省くとそれだけ部品ロットごとに数百万円のコスト削減ができたのです。
今でも、素材の開発は各メーカーの極秘中の極秘事項。研究開発の現場はかなり閉鎖的なのです。
完成車メーカーにはまだ全部は入っていません。まだR&Dセクションのみの販売です。これから将来は、量産工場の分だけ普及していきます。最終的には品質部門まで普及していきます。まだまだ国内でも海外でも展開の余地があります。Blue Oceanです。
これからも展示会で販促費を一番かけているのがX360sです。まだまだ残留応力のことを知らない開発者が多いのです。
売上ゼロから数年で売上の3割まできました。今後、数年で倍になるでしょう。
これまでの残留応力測定装置と比べてコストは60分の1以下。スピードが20倍となり、コストが3分の1だからです。
5年前にはなかった検体検査装置も売上の2割に!
5年前はほぼなかった事業が、今は、売上の20%ぐらいを占めるようになりました。急成長しています。インフルエンザのウイルスを瞬時にチェックしたりする検体検査装置は、ニッチな試薬装置です。同社では、大手試薬メーカー複数からの開発試作品のビジネスをいただいています。一部が量産になり、今、開発と量産は半分半分です。今後、量産になれば、大きく売上は伸びる可能性があります。
ここは試薬メーカーのOEMで黒子の役割を同社は果たしています。大手から見ると市場規模が小さい特殊なニッチ分野の検体検査ですので、参入する旨味がないそうです。
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