7月1日以降、22日まで15営業日のうち、東証1部の売買代金が活況の目安となる2兆円を上回ったのは、1日の2.2兆円、18日の2.1兆円のわずか2日だけです。17日までは、11営業日連続で2兆円割れとなり、2016年10月以来2年9カ月ぶりの連続記録となりました。
なお、12営業日ぶりに兆円を上回った7月18日の日経平均株価は、前日比422.94円(1.97%)安の2万1046.24円でした。この日は、一時は2万993.44円と、6月18日以来1カ月ぶりに心理的節目の2万1000円大台を割り込む場面がありました。このように、急落しないと売買代金が膨らまない状況です。
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一方、翌7月19日の日経平均株価は、前日比420.75円(2.00%)高の2万1466.99円と急反発しました。しかしながら、この日の東証1部の売買代金は1.9兆円と、2兆円を超えることはありませんでした。
このことから、やや乱暴に言えば、「現状、多くの投資家は日経平均株価が2万1500円付近では買いたくないが、2万1000円付近では押し目買いをしたい」と考えているのでしょう。また、「多くの投資家が日本株への興味を失っている」とも言えるでしょう。
日経平均株価はPBR1倍が下値支持線となって、
当面の間は「横ばいトレンド」が継続!
ちなみに、7月22日の日経平均株価のPBRは1.07倍でした。終値が2万1416.79円でしたから、PBR1倍は2万15.69円です。このPBR1倍の水準は、相場が急落した場合の純資産ベースでの強力な下値サポート水準として意識されるはずです。
それはともかく、一般的に「出来高(売買代金)は株価に先行する」と言われています。現状のように恒常的に東証1部の売買代金が2兆円割れとなっている状況を考えると、「日経平均株価に先高観も、先安観もない」と言えるでしょう。
つまり、日経平均株価は「トレンドレス」、即ち「横ばいトレンド」を継続する可能性が非常に高いと考えています。「横ばいトレンド」を前提とするならば、投資戦略は「逆張り」です。「上がれば弱気・下がれば強気」になりましょう。
個人投資家の動きが止まったことで、
新興市場の流動性が枯渇
ところで、東証1部以上に投資家の関心がなくなり、流動性が枯渇しているのが新興市場です。
具体的には、7月22日のジャスダックの売買代金は201億円と、2012年12月4日の197億円以来、約6年7カ月ぶりの低水準に落ち込みました。また、マザーズの売買代金は649億円で、こちらは2018年11月27日の619億円以来の低水準でした。まさに「そして誰もいなくなった」状態です。
新興市場の売買代金低迷の主因としては、「相場が下落しても押し目を買う個人が減少したこと」が指摘されています。
東証の投資部門別売買動向では、4~6月の個人売買代金は49.8兆円と、前年同期から23%減少し、アベノミクス相場が始まった2012年10~12月期の31.2兆円以来の低水準を記録したそうです。このように、個人投資家の動きがほぼ完全に止まっています。
個人投資家の動きが止まった主因は、「相場をけん引するテーマ不足」、「ここ数年間の大型IPO銘柄の株価低迷」などが指摘されています。その結果、個人投資家が主役の新興市場の流動性が枯渇し、新興市場の株価指数の低迷も継続しているのです。
各種統計でも個人消費は悪化しており、
外食・小売りを中心とした「個人消費関連銘柄」が低迷
新興市場を含め内需株が冴えない主因は、やはり、消費増税の業績への影響を多くの投資家が危惧しているからでしょう。また、働き方改革の推進に伴い、「残業も減っているものの、残業代も減っている可能性が高い」ため、消費への悪影響も心配されているようです。つまり、増税と所得減によるダブルパンチが個人消費に著しい悪影響を与えることが懸念されます。
例えば、6月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、現状判断DIは、前月差0.1ポイント低下の44.0でした。企業動向関連のDIは変わらなかったものの、家計動向関連のDIが低下したことから、2カ月連続の低下となりました。
一方、2~3カ月先の景気の先行きに対する判断DIは、45.8でした。家計動向関連、雇用関連のDIは上昇し、企業動向関連のDIは変わらなかったことから、前月を0.2ポイント上回りました。しかしながら、内閣府は「このところ回復に弱さがみられる。先行きについては、海外情勢等に対する懸念がみられる。」とまとめています。
また、内閣府が公表した6月の消費者態度指数は5月の39.4から0.7ポイント低下して38.7となり、9カ月連続で前月を下回りました。内閣府は、「消費者態度指数の動きから見た6月の消費者マインドの基調判断は、弱まっている。(据置き)」としています。
そして、日銀の「生活意識に関するアンケート調査」調査でも、個人の景況感(1年後、現在対比)DI(「良くなる」-「悪くなる」)はマイナス36.1と、前回(2019年3月)のマイナス30.6から悪化しました。
これら各種統計をみる限り、明らかに個人消費は悪化しています。このため、外食・小売りを中心に、個人消費関連銘柄群への売り圧力が強まりそうです。また、個人投資家の手の内・マインドは悪化したままです。このため、個人投資家の関与率の高い市場、銘柄群への売り圧力も強いままでしょう。
以上のことから当面は、「個人」に関連する市場、銘柄群はアンタッチャブルだと思います。
台湾積体電路製造(TSMC)の業績改善をきっかけに、
半導体市況の復調期待が高まる!
では、こんな相場環境で買えるのは何か? 私は「半導体関連」だと考えています。
というのは、半導体受託生産の世界最大手で、米アップルのiPhoneやパソコンなど多彩な機器向けを手掛ける、台湾積体電路製造(TSMC)が、2019年7~9月期の売上高が前年同期に比べて最大約1割増えると発表したことで、昨年後半から低迷する半導体市況の復調期待が高まっているからです。
米国でも半導体中心にハイテク株が堅調です。日本でも同様にハイテク関連が物色されるでしょう。
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