2020年2月期も最高益更新し、株価も戻り期待
大阪に本社があるパルグループホールディングス(2726)は、若い女性向けを中心に多数のアパレルブランドを全国展開する企業です。業績は2016年から増収増益を続け、2020年2月期も過去最高益を更新。直近の株価は1232円(7月8日終値)と、年初来高値1905円と比べて低い水準にあり、今後の戻りが期待できそうです。
同社は順風満帆に成長してきたというわけではなく、過去にユニクロやザラなどのファストファッションに市場を奪われた時期がありました。しかし、4年前に経営を抜本的に改革。商品サイクルを8週間から4週間に短縮し、さらにブランドごとの製造を主力素材を集約して効率生産できる体制を確立。ECも自社で立ち上げるなどして成長路線に回帰したのです。
出る杭を引き上げ、社員のやる気を引き出す経営
同社の特徴は、人材活用にあります。社員が自らブランドを立ち上げ、自ら長となってブランドを育成し、業績を上げれば役員にもなれるという、やる気ある社員にとっては夢のような環境と言えます。人材重視の社風は、創業者であり、会長を務める井上英隆氏の経営理念による面が大きいです。経営は「人・カネ・モノ」と言われますが、同社は何はともあれ「人・人・人」という考えです。同社のホームページには「出る杭を引き上げる」社風と書かれています。
宣伝費の削減や高い人材定着率など好循環を築く
実際、同社の環境で育まれた社員は只者ではありません。インスタグラムでフォロワーが数万人いる社員が多数います。自らモデルとなり、担当ブランドでコーディネイトした姿をSNSで発信し、フォロワーに購入してもらうという好循環を作り出しています。SNSを活用したマーケティングは、プロのモデルを雇い、着こなしをファッション雑誌に広告出稿するなどの従来の方法と比べて宣伝費を削減できるメリットがあります。
離職率が高いアパレル業界にあって、人材定着率は高い水準です。自発性を引き出す社風に加えて、年収水準も高めです。新卒入社時は年収300万円ぐらいからスタートし、5年目ぐらいにはインセンティブを加味して年収600万円ぐらいになるそうです。同社のインセンティブ制度の取り組みは業界内でも注目され、大手の同業他社にも導入が広がっています。
投資家の過小評価で、株価は割安な水準か
株価は割安な水準でしょう。今後、主力ブランドの「CIAOPANIC TYPY」や「Discoat」は大型出店が見込め、増収が期待できます。既存店の前年対比の売上も悪くないでしょう。自社ECサイトの収益性が高く、その比率は上がっていくでしょう。これらの要因から株価は崩れないと思われます。セルサイドアナリストのカバーもなく、時価総額の割には過小な評価だと思われます。
会員のリクエストからポートフォリオの組み込み銘柄に
同社は、私が助言するDFRポートフォリオ銘柄の1つです。ユニークなのは、DFR会員のリクエストで取材し、その後、成長性やバリエーションを検討し、組み入れを決めたことです。実は、私自身はファッション音痴で(笑)、アパレル企業には滅多に取材しません。同社の組み入れは、会員のリクエストがなければ実現しませんでした。
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(DFR投資助言者 山本潤)
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