IPO株の銘柄分析&予想

直近「IPO株」の中で、株価上昇が期待できる2銘柄!創薬ベンチャーの「モダリス」、AI関連株の「ニューラルポケット」は過熱感はあるが、株価上昇余地も大きい!

2020年9月22日公開(2022年9月20日更新)
ザイ・オンライン編集部
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2020年8月に新規上場した直近「IPO株」の中で、アナリストが株価上昇に“強気”な「モダリス(4883)」と「ニューラルポケット(4056)」を分析!

発売中のダイヤモンド・ザイ11月号には、前号からスタートしたばかりの新連載「10倍株を探せ!【IPO株】研究所」を掲載!「IPO」とは、企業が上場して、市場に株式を公開すること。IPO株は公開価格と比較して、初値が大幅に上昇する場合が多いほか、上場してからも値動きがダイナミックで、短期間のうちに急騰することも少なくない。ただし、上場直後に盛り上がった後、すぐさま失速してしまう銘柄もあるため、“玉石混交”な側面もある。

この連載では、直近で新規上場したIPO株にスポットを当て、IPO株の専門家であるフィスコの小林大純さんが、今後の投資判断を「買い」「強気」「中立」「弱気」「売り」の5段階で評価。その中から、今後“10倍高”の可能性を秘めた注目の2銘柄をピックアップして解説する。「成長株」投資に興味がある人は、ぜひ参考にしてほしい!
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2020年8月に新規上場したのは4銘柄のみ
いずれも初値が公開価格の2倍以上に急騰!

 2020年前半のIPO株は、新型コロナウイルスの影響で初値割れが相次いだが、6月以降に新規上場した銘柄に限って言えば、初値割れはゼロ。8月に上場したIPO株は、すべて初値が公開価格の2倍以上になった。
【※「IPO(新規公開株)」の最新情報はこちら!】
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 特に、8月20日に上場したニューラルポケット(4056)と、25日に上場したインターファクトリー(4057)は、初値が公開価格の5倍以上になり、IPO市場の活況を印象づけた。

 「東証マザーズ指数がコロナ・ショック前の高値を大きく超えていることからもわかるように、このところ新興株への資金流入が続いています。個人投資家の資産も増えていることから、IPO直後の株にも資金が集まりました」(フィスコの小林大純さん)

 さらに、8月のIPO件数が4件と少なかったことも、株価急騰の要因となった。「値動きがいい銘柄は上場直後から買われ続けました。8月11日に上場したティアンドエス(4055)は、上場から約2週間で、株価が初値の4.2倍になったんです」

 ティアンドエスは初値時点からPERが約50倍で、決して割安ではなかったが、PER200倍まで買われたことになる。

 「8月に上場した4銘柄は、どれも時流に乗った事業内容で、成長性を評価できます。ただし、現状は株価に過熱感がある。それでもここから買えるのは、中長期でも高成長が継続できる事業を行っていて、今の株価水準が許容できる銘柄だけです」

2020年8月の【IPO株】4銘柄の投資判断とは?

上場日 公開価格 予想PER(PBR) 株価
(9/4)
今後1年の
上値メド
投資判断
3日  モダリス(4883・東M)
1200円 322.3倍(20.83倍) 3210円 4500円 強気
【分析コメント】東京大学発のゲノム編集技術を用いた創薬ベンチャー。年央のIPOの中でも注目度が高かった。創薬ベンチャーは赤字企業が多いが、同社は黒字。
最新の株価はこちら(SBI証券へ)
7日  ティアンドエス(4055・東M)
2800円 178.1倍(72.73倍) 2万3200円 2万8000円 中立
【分析コメント】大手企業や半導体工場向けにシステム開発や運用保守、AI関連のソフトウェア開発などを手掛ける。半導体業界の継続的な設備投資が追い風だが、過熱感が強い。
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20日  ニューラルポケット(4056・東M)
900円 935.3倍(160.46倍) 7800円 1万円 強気
【分析コメント】独自開発のAIによる画像・動画解析技術などをスマートシティやデジタル広告向けなどに展開。注目度の高いAI関連で、高PERでも株価上昇に期待。
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25日  インターファクトリー(4057・東M)
960円 229.7倍(107.14倍) 7790円 8500円 中立
【分析コメント】中規模から大規模のEC業者に、ECサイトを構築するサービス「ebisumart」をクラウドで提供。ビジネス拡大が続く見通しだが、株価に過熱感。
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注目は前評判も高かった創薬ベンチャーの「モダリス」と、
初値が公開価格の5倍超になった「ニューラルポケット」!

 ここからは、8月に新規上場した4銘柄の中で、小林さんが「中長期でも高成長が期待でき、過熱感があるなかでも注目に値する」と評価する2銘柄を詳しく紹介していこう。

 まずは、創薬ベンチャー企業のモダリス(4883)だ。

 モダリスは、東京大学発のゲノム編集技術を用いた創薬ベンチャーとして知られ、2020年中盤のIPOの中でも注目度が高かった。初値は公開価格の2.1倍と好調で、その後も株価上昇が続いている。赤字企業が多いバイオベンチャーとしては珍しく、黒字企業である点も魅力。ライセンス契約を結んだ製薬会社から一時契約金やマイルストーン収入(※医薬品の開発段階で、一定の成果を出したときに受け取れる収入)などを得ている。

 また、モダリスは希少疾患に対して効率よく有効な治療薬を生み出せる「CRISPR-GNDM」を用いた研究開発を行っており、PERは高水準だが成長期待が高い。さらに、モダリスの社長は大手メディアに「新薬候補を拡充できる見通しが立っている」と述べており、黒字維持が期待できる。米国の類似企業の時価総額と比べ、上昇余地がある。

 続いて、小林さんが注目するもう一つの銘柄は、独自のAI技術で急成長を続けているニューラルポケット(4056)だ。

 ニューラルポケットはAIによる画像・動画解析技術などをスマートシティやデジタル広告向けなどに展開。近年、AI関連株は特に初値が高くつきやすく、ニューラルポケットの初値も公開価格の5.6倍になっている。

 AIの進展には画像の高度な解析がカギとなる。ニューラルポケットは高い画像解析技術を持っているため、デジタルサイネージ広告や物流施設の業務効率化サービスなどの顧客が増えている。また、売上高が増加しても、人件費などの費用が膨らみにくいビジネスモデル。このため、高い利益の伸びが期待でき、PERが高くてもテーマ性の高さと相まって許容されやすく、これからでも投資を検討する価値はあるだろう。
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■「IPO株が当たらない!」という人は、まずこちらの記事へ!
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IPO[主幹事]の多いおすすめ証券会社

◆SMBC日興証券
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) ネット配分・抽選方法 口座数
2024 2023 2022
23社
52社
19社
52社
24社
47社
10%:1人1票の平等抽選
最大5%:「ステージ別抽選」
※1
345万
【ポイント】
大手証券の中でもIPOに力を入れており、例年、主幹事数・取り扱い銘柄数ともに全証券会社中でトップクラス! また、国内五大証券会社のひとつだけあり「キオクシアホールディングス」や「日本郵政グループ3社」「ソフトバンク」などの超大型IPOでは、主幹事証券の1社として名を連ねることも多い。10%分の同率抽選では、1人1単元しか申し込めないので資金量に関係なく誰でも同じ当選確率となっているのがメリット。さらに、預かり資産などによって当選確率が変わる「ステージ別抽選」も提供。平等抽選に外れた人を対象にした追加抽選で、最高ランクの「プラチナ」だと1人25票が割り当てられて当選確率が大幅にアップする。
※1 預かり資産残高などによって決まる「ステージ」ごとに、別途抽選票数が割り当てられる。
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◆SBI証券
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) ネット配分・抽選方法 口座数
2024 2023 2022
11社
76社
21社
91社
13社
89社
60%:1単元1票の平等抽選
30%:「IPOチャレンジポイント」順に配分
10%:知識・経験・資力と取引状況を踏まえて配分
1245万
【ポイント】
ネット証券にもかかわらず、主幹事数、取扱銘柄数ともに大手証券会社に引けをとらない実績を誇る。特に取扱銘柄数がダントツで、2024年は多少数が減ったものの全86社中76社と約88%のIPO銘柄を取り扱った。つまり、SBI証券の口座さえ持っていれば、ほとんどのIPO銘柄に申し込めると考えていいだろう。個人投資家への配分の100%がネット投資家へ配分されるのも魅力。1単元1票の抽選なので、多くの単元を申し込むほど当選確率は高くなる。当選確率がアップする「IPOチャレンジポイント」が、資金量・取引量と関係なく、IPOに申し込み続ければ誰にでも貯められるのもメリットだ。また、スマートフォン専用サイトでIPOの申し込みや情報確認ができるのも便利。
※SBIネオトレード証券、FOLIOの口座数を含んだSBIグループ全体の口座数。
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※ 主幹事数、取扱銘柄数はREITを除く。口座数は2023年12月末時点。
【2025年2月1日時点】


【2025年版】数多くのIPO株に申し込める!
IPO[取扱銘柄数]の多いおすすめ証券会社

◆楽天証券 ⇒詳細情報ページへ
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) ネット配分・抽選方法 口座数
2024 2023 2022
0社
54社
0社
61社
0社
65社
100%:1単元1票の平等抽選 1200万
【ポイント】
ここ数年、IPO取扱数は年々増加しており、2024年には54社と全証券会社のなかで松井証券と並んで第2位にランクインを果たした。楽天証券に配分されたIPO株は、基本的に100%が抽選に回されるのも個人投資家にはメリット。ただし、抽選方法は「1単元1票」なので、資金を用意して多くの単元数を申し込んだ人ほど有利になる。株の売買手数料が1日100万円までの取引なら手数料0円になったのものメリット大。IPO当選後に売る際の手数料もお得だ。2022年10月にみずほ証券と業務提携したことで、みずほ証券が引き受けるIPOの一部ついて楽天証券が販売委託するとしており、今後ますます取扱銘柄数が増えることが期待できる。
※口座数は2025年1月末時点
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楽天証券の公式サイトはこちら
◆松井証券 ⇒詳細情報ページへ
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) ネット配分・抽選方法 口座数
2024 2023 2022
0社
54社
0社
70社
0社
55社
70%以上:1人1票の平等抽選 160万
【ポイント】
年々IPOの取扱数を増やしており、2024年には54社と全証券会社中で楽天証券と並んで2番目に多くのIPOを取り扱った。事前入金なしにブックビルディング申し込み&抽選が受けられるので、手持ち資金の心配をすることなく手軽にIPOに申し込むことができるのは大きなメリット! ただし、抽選結果が「当選」となっても購入申込をしなかった場合などは、その後6カ月間、IPO・POの抽選対象外となるので注意しよう。 配分予定量の70%以上で「1人1票」の平等抽選が行われるので、限られた資金しかない個人投資家でも当選が期待できる。
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マネックス証券 ⇒詳細情報ページへ
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) ネット配分・抽選方法 口座数
2024 2023 2022
1社
50社
0社
53社
0社
61社
100%:1人1票の平等抽選 265万
【ポイント】
毎年多くのIPO銘柄を取り扱っており、2024年の取扱銘柄数は50社と全証券会社中で第5位にランクインした。マネックス証券に割り当てられたIPO株は、100%すべてが1人1票の平等抽選で配分される。取引実績や資金量に当選確率が左右されないのは、個人投資家にとっては大きな魅力だ。
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◆マネックス証券のNISA口座は手数料が一番お得! 国内株は無料、外国株も買付は実質無料。外国株やIPOの銘柄数も多いので、投資初心者にはおすすめ!
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【IPOだけでなく「米国株」の銘柄数もトップクラス!】
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◆岡三オンライン ⇒詳細情報ページへ
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) ネット配分・抽選方法 口座数
2024 2023 2022
0社
49社
0社
49社
0社
38社
10%以上:1人1票の平等抽選
90%以下:取引実績による優遇抽選
46万
【ポイント】
以前は独立したネット証券だったが、2022年1月からグループ会社の岡三証券と合併。基本的に岡三証券が主幹事・幹事証券に入ったIPO銘柄はすべて岡三オンラインでも取り扱う使うようだ。IPOには力を入れており、ここ数年は取扱銘柄数が急増している。また、割当の100%をネット投資家に配分するのも魅力。取引実績が多いほど優遇されるステージ制が導入されているが、全体の10%以上は取引実績によらず全員を対象とした抽選で割り振られる。買付資金は当選後に入金すればOKなので、資金余力を気にせず申し込めるのも大きなメリットだ。
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◆大和コネクト証券 ⇒詳細情報ページへ
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) ネット配分・抽選方法 口座数
2024 2023 2022
0社
37社
0社
44社
0社
42社
70%:1人1票の平等抽選
30%:優遇抽選
【ポイント】
大和証券グループのスマホ証券で、大和証券が幹事証券となっているIPO銘柄は基本的にすべて取り扱っている。全割当のうち100%すべてがネット配分で、そのうち70%が1人1票の平等抽選に配分されるのがメリット。また、優遇抽選の対象条件は「39歳以下」「NISA口座を開設済み」「信用取引口座を開設済み」「信用取引の建玉を保有」「投資信託を保有」の5つで、該当する項目が多いほど当選確率はアップする。どの優遇条件も比較的ハードルが低いのはメリットだ。
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◆「スマホ証券」の手数料やおすすめポイントを比較!「LINE証券」「大和コネクト証券」「STREAM」など、株初心者でも使いやすいスマホ特化の証券会社を紹介
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◆岩井コスモ証券 ⇒詳細情報ページへ
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) ネット配分・抽選方法 口座数
2024 2023 2022
0社
35社
0社
42社
0社
37社
10%以上:1人1票の平等抽選 34万
【ポイント】
IPOの取り扱い銘柄数は2023年が42社、2024年が35社と大手証券会社に引けをとらない実績を持つため、IPO投資家であれば口座を持っておきたい証券会社のひとつ。入金のタイミングはブックビルディング後の購入申込期間。その後抽選が行われ、当選すれば約定・受渡となる。また、1人1票の平等抽選で、申し込み単元数は10単元まで。NISA口座でのIPO株の購入も可能。
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◆三菱UFJ eスマート証券(旧:auカブコム証券)⇒詳細情報ページへ
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) ネット配分・抽選方法 口座数
2024 2023 2022
0社
20社
0社
26社
0社
23社
10%以上:1人1票の平等抽選 176万
【ポイント】
五大証券会社のひとつである「三菱UFJモルガン・スタンレー証券」は毎年複数のIPO銘柄で主幹事を受け持っているが売買手数料が高めなのがネック。しかし、同じグループ会社のネット証券「三菱UFJ eスマート証券(旧:auカブコム証券)」なら「三菱UFJモルガン・スタンレー証券」が引き受けるIPO銘柄に申し込み可能(一部銘柄を除く)なうえ、売買手数料が安めなので使い勝手が良い。ちなみに複数単元を申し込んでも当選確率は変わらないので、資金量が少ない人でも不利にならない。なお、2025年2月1日から「三菱UFJ eスマート証券」に名称が変更される。
※2025年2月1日から名称変更。
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※ 主幹事数、取扱銘柄数はREITを除く。口座数は2023年12月末時点。
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