2021年9月に新規上場した「IPO株」全14銘柄の中から「セーフィー」と「プロジェクトカンパニー」の2銘柄を詳しく解説!
ダイヤモンド・ザイ12月号の連載「10倍株を探せ!【IPO株】研究所」では、IPO株の専門家であるフィスコの小林大純さんが、2021年9月に新規上場した「IPO株」全14銘柄を「買い」「強気」「中立」「弱気」「売り」の5段階で評価している。今回はその中で小林さんが注目している2銘柄を詳しく紹介!
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2021年9月に新規上場した「IPO株」は全部で14銘柄!
初値はすべて公開価格を上回るも「強気」以上の評価は5銘柄のみ
9月の新規上場は14銘柄と多め。月の後半に11社が集中し、特に28日は4社同時上場というIPOラッシュだったが、14銘柄すべてで初値が公開価格を上回った。9月中旬まで相場全体が大きく上昇していたのに加え、22日に上場したシンプレクス・ホールディングス(4373)が、初値後ストップ高まで値上がりしたことも投資家の意欲を刺激して、買いはまずまず活発だった。
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もっとも、多くの銘柄はその後株価が下落し、初値を下回っている。9月下旬に起きた世界株安の影響はもちろん大きいが、フィスコの小林大純さんは「公開価格が強気すぎるケースも目立った」と指摘する。
背景には、公開価格が安すぎるという批判があるもようだ。公正取引委員会が調査に乗り出したとも報じられている。
「実際の公開価格の割高・割安感はまちまちですが、明らかに高すぎの銘柄は、その後に公開価格割れとなっています。価格設定が適正かどうかにも注意を払うべきです」(小林さん)
全体的に初値の上昇率は控えめで、9月後半に上場した銘柄では3~4割程度のプラスが多い。
「公開価格から画一的に初値の水準が決まる傾向が強かった印象を受けます。こうした状況は、セカンダリー投資(上場後の株を買う投資)のチャンスでもあります。銘柄の選別をしっかり行えば、初値後の株価上昇を読みやすいといえるでしょう」(小林さん)
2021年9月の【IPO株】14銘柄の投資判断は? |
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上場日 | 公開価格 | 初値 (騰落率) |
株価 (10/5) |
PER (PBR) |
今後1年の 高値予想 (安値予想) |
投資判断 |
2日 | ◆モビルス(4370・東M) | |||||
1280円 | 1830円 (+43.0%) |
1400円 | 53.5倍 (5.77倍) |
1800円 (1000円) |
中立 | |
【分析コメント】コンタクトセンター向けクラウドソフトなど。チャットボット(自動応答)市場でトップシェア。契約数は順調な伸びだが、今後の増益を見越しても株価の割安感が乏しい。 | ||||||
2日 | ◆メディア総研(9242・東M) | |||||
2900円 | 3105円 (+7.1%) |
2367円 | 20.6倍 (4.32倍) |
3000円 (2000円) |
中立 | |
【分析コメント】理工系の高専生・大学生向け就活イベントが主力。前期はオンライン開催へのシフトで利益率が上昇したが、今期は 元の水準に。株価も割安感がなく公開価格を下回って推移。 | ||||||
13日 | ◆Geolocation Technology(4018・福Q) | |||||
2240円 | 3550円 (+58.5%) |
2830円 | 25.3倍 (9.45倍) |
3200円 (2400円) |
中立 | |
【分析コメント】IPアドレスのデータベースを土台にした各種サービスを提 供。地域活性化や不正アクセス防止関連で引合いが強い。上場初日は注目されるも、その後の売買減少が気掛かり。 | ||||||
22日 | ◆コアコンセプト・テクノロジー(4371・東M) | |||||
3500円 | 7040円 (+101.1%) |
4975円 | 77.2倍 (21.86倍) |
6500円 (3500円) |
強気 | |
【分析コメント】製造業・建設業向けDX支援が中心。初値は公開価格の約2倍でやや過熱感があったが、その後の調整で妥当な株価水準に。顧客数を年2割超のペースで増加させていく計画。 | ||||||
22日 | ◆ユミルリンク(4372・東M) | |||||
1000円 | 1711円 (+71.1%) |
1276円 | 22.4倍 (4.08倍) |
1600円 (1000円) |
中立 | |
【分析コメント】企業から消費者に向けたメール配信・SMS配信サービス。デジタルマーケティングの普及が追い風。初値後の下落で 過熱感は薄れるも、業績成長のさらなる加速を待ちたい。 | ||||||
22日 | ◆シンプレクス・ホールディングス(4373・東1) | |||||
1620円 | 1660円 (+2.5%) |
2041円 | 26.3倍 (3.03倍) |
2300円 (1700円) |
中立 | |
【分析コメント】金融システム開発で有名。MBO(自社の経営陣による買収)による上場廃止を経て再上場。大型IPOだったが海外投資家が旺盛な買い。ただ 初値後の上昇で割安感は薄れた。非金融領域の開拓に期待。 | ||||||
24日 | ◆レナサイエンス(4889・東M) | |||||
670円 | 976円 (+45.7%) |
785円 | ー (12.54倍) |
950円 (600円) |
中立 | |
【分析コメント】医薬品や医療機器を研究開発する東北大学発ベンチャー。コロナ治療薬も取組む。腹膜透析用の極細内視鏡が年度内にも承認申請の予定だが、赤字先行で株価の評価が難しい。 | ||||||
上場日 | 公開価格 | 初値 (騰落率) |
株価 (10/5) |
PER (PBR) |
今後1年の 高値予想 (安値予想) |
投資判断 |
28日 | ◆ジィ・シィ企画(4073・東M) | |||||
1890円 | 2560円 (+35.4%) |
2250円 | 33.9倍 (6.59倍) |
3000円 (1800円) |
強気 | |
【分析コメント】クレジットカードなどキャッシュレス決済システムの開発や保守運用、クラウド型サービスを提供。業績は拡大傾向で、テーマ性もあり株価上昇の余地が大きい。 | ||||||
28日 | ◆ROBOT PAYMENT(4374・東M) | |||||
1860円 | 3725円 (+100.3%) |
2965円 | 108.4倍 (34.23倍) |
3500円 (2200円) |
中立 | |
【分析コメント】EC黎明期からネット決済代行を手がける。請求業務用のクラウドサービスも。市場の拡大とともに業績が成長。ただ需給面の不安もあり、株価の上昇余地は限られそう。 | ||||||
28日 | ◆デジタリフト(9244・東M) | |||||
1570円 | 2110円 (+34.4%) |
1649円 | 22.1倍 (7.09倍) |
2200円 (1400円) |
強気 | |
【分析コメント】フリークアウトHD傘下のネット広告代理店。中規模以上の顧客が中心で、小規模事業者の開拓にも注力。22年9月期の業績拡大を視野に入れれば株価は上昇余地あり。 | ||||||
28日 | ◆リベロ(9245・東M) | |||||
1400円 | 1940円 (+38.6%) |
1298円 | 31.0倍 (5.57倍) |
1500円 (1000円) |
弱気 | |
【分析コメント】部屋探し・引越・ライフライン手配などをワンストップで提供する。不動産会社や法人向けのサービスが主力。業績は堅調も、類似企業に比べ公開価格が強気すぎた。 | ||||||
29日 | ◆セーフィー(4375・東M) | |||||
2430円 | 3350円 (+37.9%) |
3750円 | ー (84.65倍) |
5500円 (3000円) |
買い | |
【分析コメント】監視カメラ映像システムの有力企業。大型上場ながら海外投資家の買いが旺盛で初値後の株価も堅調。短期的な需給軟化に要注意だが、今期は6割近い増収予想と高成長。 | ||||||
29日 | ◆プロジェクトカンパニー(9246・東M) | |||||
2650円 | 3500円 (+32.1%) |
4660円 | 92.3倍 (39.40倍) |
5000円 (3200円) |
強気 | |
【分析コメント】DX推進の支援サービスを提供。企業のDX関連投資の増加に伴い業績を大きく伸ばしており、来期も好業績が期待できる。採用の強化でさらなる成長を目指す。 | ||||||
30日 | ◆アスタリスク(6522・東M) | |||||
3300円 | 5760円 (+74.5%) |
5450円 | 51.6倍 (16.92倍) |
6500円 (3500円) |
中立 | |
【分析コメント】自動認識技術による物品管理システム。ファストリとの特許係争で知名度が高い。多様な分野で活躍が期待できるが、短期的には業績のブレが大きそう。今後の動向に注目。 | ||||||
※データは10月5日時点。 |
アナリストのイチオシは、今期だけでなく来期も大幅な成長が
見込まれる「セーフィー」と「プロジェクトカンパニー」!
ここからは、2021年9月に新規上場した14銘柄の中で、小林さんが特に注目している2銘柄を詳しく紹介していこう。
まずは、唯一の「買い」推奨となったセーフィー(4375)だ。
セーフィーは監視カメラ映像のクラウド録画・分析サービスを提供する企業。監視や防犯といった用途にとどまらず、生産性向上や業務改善のための導入が広がっている。有力なクラウドサービス企業と比べても、売上成長率の高さが際立つ。市場予想では来期も5割超の増収で、黒字転換を見込む。来期の業績はまだ株価に織り込みきっておらず、上昇の余地が大きい。
続いて紹介するのは、プロジェクトカンパニー(9246)だ。
プロジェクトカンパニーは、新規事業開発や事業変革の支援、SNS運用などのマーケティング支援、スマホアプリなどのユーザーテスト・改善提案が3本柱。一気通貫のサービスを強みとする。企業のDX推進が追い風。顧客数は増加傾向で継続的に入る売上の比率が大きく、安定した高成長が期待できそうだ。PERは高いが、類似企業と比べ割高感はない。
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【2024年11月1日時点】
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◆SMBC日興証券 | ||||
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) | ネット配分・抽選方法 | 口座数 | ||
2023 | 2022 | 2021 | ||
19社 52社 |
24社 47社 |
26社 80社 |
10%:1人1票の平等抽選 最大5%:「ステージ別抽選」※1 |
345万 |
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◆SBI証券 | ||||
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) | ネット配分・抽選方法 | 口座数 | ||
2023 | 2022 | 2021 | ||
21社 91社 |
13社 89社 |
21社 122社 |
60%:1単元1票の平等抽選 30%:「IPOチャレンジポイント」順に配分 10%:知識・経験・資力と取引状況を踏まえて配分 |
1245万 ※ |
【ポイント】 ネット証券にもかかわらず、主幹事数、取扱銘柄数ともに大手証券会社に引けをとらない実績を誇る。特に取扱銘柄数がダントツで、2023年は全96社中91社と約95%のIPO銘柄を取り扱った。つまり、SBI証券の口座さえ持っていれば、ほとんどのIPO銘柄に申し込めると考えていいだろう。個人投資家への配分の100%がネット投資家へ配分されるのも魅力。1単元1票の抽選なので、多くの単元を申し込むほど当選確率は高くなる。当選確率がアップする「IPOチャレンジポイント」が、資金量・取引量と関係なく、IPOに申し込み続ければ誰にでも貯められるのもメリットだ。また、スマートフォン専用サイトでIPOの申し込みや情報確認ができるのも便利。 ※SBIネオトレード証券、FOLIOの口座数を含んだSBIグループ全体の口座数。 |
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※ 主幹事数、取扱銘柄数はREITを除く。口座数は2023年12月末時点。 |