今、「ふるさと納税」が熱い！株主優待よりお得でノーリスクな税金の活用法

 最近、「ふるさと納税」の制度を利用して、各地の名産品をただ同然でざくざくゲットしている人が増えている。「ふるさと納税」と聞くと、自分のふるさとのために住民税を支払う制度というイメージが一般的には強いが、実際には日本全国どの市町村も選べるし、ふるさと納税をした自治体から米、肉、海産物などさまざまな特典が送られるケースがふえているのだ。ふるさと納税に詳しい個人投資家の夕凪さん(ハンドルネーム)に、ふるさと納税のお得な使い方を聞いた。 

実質2000円の負担で、1万6000円相当の商品がもらえるケースも

 株主優待よりも、今、「ふるさと納税」にハマってます――。

 そう語ってくれたのは、ＺＡｉの誌面にもたびたび登場していただいている個人投資家の夕凪（ハンドルネーム）さんだ。

 夕凪さんはイベント投資など手堅いノウハウの数々で資産を殖やして、今年（2012年）には勤めていた会社をやめて夢の専業投資家になった。また、株主優待を狙った投資にも熱心で、お米、お菓子、飲食券など多数の優待をゲットしている。

 その夕凪さんが、「優待以上にハマっている」というふるさと納税って、いったいどんなものなのか。

 たとえば、夕凪さんは米子市へのふるさと納税によって、下の写真のような品をゲットした。都内などにある米子市ゆかりの飲食店の食事券や、どらやき、お茶、石鹸など、6000円相当のつめ合わせセットだ。このセットを夕凪さんは、米子市にふるさと納税制度によって3000円以上寄付することで得ることができた。

 3000円寄付して、6000円分の品を貰えるというだけでもお得感はある。

 しかも、ふるさと納税による寄付は、一定の額までほぼ全額が税額控除されるのだ。つまり、支払った寄付金とほぼ同額の金額を、自分が支払った税金の中から控除してもらえるのだ。「ごくおおざっぱにいうと、ふるさと納税というのは、自分の住んでいる自治体に支払わなければならない住民税を他の自治体に振り向けるということ」（夕凪さん）なのだ。

 たとえば、「米子市の場合は、4万円の寄付をすると、支払った税金が3万8000円分税額控除されて、1万6000円分の商品がもらえる、という感じ」（夕凪さん）だ。

 米子市では、１万円以上の寄付をした場合には、体験パックに加えて地元企業とタイアップして設定した記念品（5000円相当の品物で57種類から選べる）を１品（３万円以上の場合は２品）もらえるのでお得感が強い。

 実際に、4万円寄付してどのくらいの税金が控除されるかは所得や家族構成にもよるが、夕凪さんに挙げてもらったパターンでは、寄付による実質的な支払額はたった2000円で、1万6000円相当の商品がもらえることになる。

 「株主優待の場合は、株価の変動リスクが付き物ですけど、ふるさと納税にはそういうリスクがない。まさに、株主優待を超えた超お得な制度だと思います」という夕凪さんのコメントにもうなずける。

米、肉、魚介類など、全国の名産品がもらえる

 では、米子市以外にはどんなふるさと納税の特典があるのか。

 もちろん、ふるさと納税しても特典がない自治体もあるのだが、特典を実施している自治体は北海道から沖縄まで実にたくさんあって、どんどん増えているところだ。

 どんな自治体が、どんなふるさと納税の特典を実施しているかは『ふるさと納税ポータルサイト ふるさとチョイス』 『ふるさと納税 特産品 情報局』などのサイトで検索できるが、定番は、お米、肉、魚介類、野菜・果物などだ。

 たとえば、お米に関しては、

埼玉県 幸手市    1万円のふるさと納税で13.5kg
奈良県 御杖村   6000円のふるさと納税で8kg
宮崎県 綾町    1万円のふるさと納税で11kg

などの特典が実施されている。

 ３つの自治体に合計2万6000円のお金をふるさと納税として寄付して、2万4000円の税金の控除が受けられれば、実質2000円で実に33.5kgものお米がゲットできることになる。

 お米の特典を実施している自治体は他にもたくさんあるし、肉、魚介類、野菜・果物などの特典も多くの自治体が実施している。

 「ふるさと納税を熱心にしている僕の知り合いは、佐賀県・玄海町の黒毛和牛をもらって焼き肉パーティをしたと喜んでいました。また、北海道・士別市のメロンなども良かったそうで、僕もこうした自治体への寄付を検討中です」と夕凪さん。

 玄海町の記念品は、寄付金額が５千円以上、士別市は1万円以上と、とても手頃な金額で得られる特典だ。

 様々な自治体の特典の中から気に入ったものを探してみるのは楽しそうだが、夕凪さんは「3000円の寄付で6000円相当の特典がもらえる米子市は必須で、あと、寄付の半分程度の特典が戻ってくるところを中心に探すといいと思います」（夕凪さん）とアドバイスしてくれた。

確定申告が必要だけど、医療費の還付申告と同じくらいカンタン

 ふるさと納税をやってみる上でちょっとやっかいなハードルが２つある。

 一つ目のハードルは、「合計いくらの寄付金額までなら、ほぼ全額控除されるか」（夕凪さん）を把握することだ。

 夕凪さんのいう「ほぼ全額控除」というのは、「寄付金－2000円」という金額が税額控除されるということだ。

 これについては、
松山市のふるさと納税のサイトでだいたいの金額が計算できる。

 また、先ほど紹介した『ふるさと納税ポータルサイト ふるさとチョイス』の中のページに、条件別、所得別に、どのくらいまでの寄付金ならほぼ全額控除になるのか計算した一覧表が掲載されている。

 この一覧表を参考にすると、たとえば、

夫婦と高校生の子供一人の家族で給料収入700万円の場合→6万円
夫婦のみの家族で給料所得が500万円の場合→3万6000円
単身者で給料収入が300万円の場合→２万円

 というのが、ほぼ全額分（寄付金－2000円）の税金が控除されるだいたいのメドになる。

 「あまり神経質にならず、だいたいそのくらいの金額をメドにふるさと納税すれば、出費額に対する特典の割合はかなりお得なものになるはずです」(夕凪さん)。

 ふるさと納税をする際のもう一つのハードルは確定申告だ。

 ふるさと納税で寄付した金額を税額控除してもらうには、どうしても確定申告が必要になる。

 確定申告をしている自営業者の人やフリーランスの人にとっては、書き込む項目(寄付金控除)が一つ増えるだけなのでほとんど問題ないだろう。また、給与所得者の人でも、医療費控除などを行ったことがある人にとってはあまりハードルは高くないはず。仕組みはほぼ同じだからだ。

 ふるさと納税に関する寄付金の還付申告も、医療費の還付申告も、じつはそれほど難しくない。

 確定申告書類を税務署や市役所などでもらうか、国税のホームページからプリントアウトして、源泉徴収票を片手に、「給与所得」、「給与所得控除」、「基礎控除」などの必要項目を書き写し、自治体から送付されてくる証明書を添付して「寄付控除」の金額を書き、支払うべき税額を計算し、それを郵送などで申告期間中（2月半ばから3月半ば）に税務署に申告すれば所得税から直接控除されて、サラリーマンの場合は還付金がもらえる、ということになる。

 また、市町村に納める住民税も所得税の控除に合わせて、翌年分が減額される。わからない点があれば税務署に電話で問い合わせしながら書き込めばいい。

 インターネットによる申告「ｅ－ｔａｘ」も利用できるし、郵送による手続きも可能だ。税務署に行く必要はないし、一度経験してしまえば、その後はスムーズに手続きできるようになるはずだ。ぜひ一度チャレンジしてみよう。

 なお、実際にふるさと納税の寄付の手続きは、寄付したいと思う市町村のホームページに出ている方法で行う。

 銀行振り込みや郵便振替なども多いが、最近はクレジットカードで支払えるところも増えていて、どんどん便利になっている。

税金の還付＋記念品＋クレジットカードのポイントも！

「ふるさと納税をし、税金を還付してもらって、クレジットカードのポイントまで付けてもらえれば一番いいですね」と夕凪さん。どんどん使い勝手が改善しており、工夫しだいで、さまざまなメリットを得られるのもふるさと納税制度の面白い点だ。

 また、もちろん、私たちがふるさと納税を通じて全国各地の自治体のことを知るきっかけになるし、地方が活性化するひとつの起爆剤としての可能性も秘めている。そういうことも意識しなからふるさと納税制度を利用してみると、自分の世界がより広がりそうだ。

（取材・文／小泉秀希）