「保険は3年前に見直したから大丈夫!」「効率がいい掛け捨てに変えて保険料は安くなったのでOK」なんて、思っていたら大間違い。ここから保険をどうするかが、金持ち家族と貧乏家族の分かれ道。金持ち家族がやっている当たり前の保険ワザをデータとともに紹介しよう。
1回の保障額の見直しで満足する貧乏家族!
住宅ローンでの保障減額は金持ち家族の鉄則!
Q25は男性の死亡保障額の平均額の調査結果だ。毎年減額傾向にあり、最新の13年の調査では、男性は平均して死亡すると1882万円出る生命保険に加入していた。07年は2382万円だったのでわずか6年で500万円も減っている。
背景には収入の伸び悩みによる保険のスリム化、死後のことよりも現在を重視する姿勢(医療保険へのシフト)、ムダな保険はいらないという情報が広まったことが挙げられる。
賢い金持ち家族が増えたように思えるが、まだまだ不十分。子どもが成人したら保障を減らすなど、ライフステージに沿って保障額を見直すことが金持ち家族への第一歩だが、FPの江原さとみさんは「死後、本当はいくら必要か、そのうち保険でいくらカバーするかという視点がまだ欠けています」と指摘する。
特にサラリーマンなら、死んだ場合、残された家族には子どもの数に比例して遺族厚生年金が支給され、日常生活を支えてくれる。勤務先が死亡退職金の出る会社なら、保障額はその分減らしてもいい。住宅ローンの残債は団体信用生命保険で完済されるのでゼロになる。
つまり住宅ローンを組んだら、その分の保障額を減額するのが鉄則なのに、「若い頃に加入した保険を放置している人が後を絶たない」(江原さん)という。
また1882万円という平均額が妥当で、保障額の目安になるかといえば、そうとは限らない。深野さんは「本当に2000万円も必要な人は多くない。3000万円以上の高額な保険は、相続税の節税対策用で加入している人も少なくない。こうした契約が平均額を押し上げている。この数字を見て、自分の保障額も平均額まで増やさないといけないなどと思わないで」と注意を促す。
こうしたことからも、一般的なサラリーマンで2000万円以上の保障額は過剰で、貧乏家族である疑いが強い。
では、保険料はいくら払っているのか。Q26は年収別の毎月支払っている保険料。平均額と、その3年前との比較も調べた。以前よりスリム化は進んだが、年収300万円未満でも6割が月額1万円以上の保険料、平均で1万4000円も払っていた。
貧乏家族は貯蓄性の保険を
中途解約して結局損するはめに!
この調査では貯蓄性のある商品への保険料も含むため、全額が死亡保障のための掛け金とは限らない。だが、厳しい家計の中から高額な支出がなされていることがわかる。
江原さんは「掛け捨てなら月収の1%以内、貯蓄型でも3%以内が金持ち家族の目安。保険への支出で貯蓄額が減るなら本末転倒」と警告。しかも貯蓄性の保険といっても、中途解約すると定期預金より損する。無理な保険料を維持できず、中途解約して損するのが貧乏家族の特徴だ。
Q27は保険に加入した目的。死亡保障よりも医療保障を目的に加入する人が増えているのが顕著な傾向だ。節約志向にマッチした割安な掛け捨て医療保険が続々と登場し、それで十分と思う人が増えているからだ。
この結果に対し深野さんは「宣伝も増え、医療保険の認知度は高まったが、国の手厚い支援制度は知られていないのでは」と疑問を呈する。
「ガンになったら、どのような医療を受けたいかイメージしてください。個室にこだわらない、保険が適用されない医療は受けないと思うなら、自己負担は月額約8万円が上限となる高額療養費制度があるので医療保険は不要。貯蓄で対応すべき」
仮に長期治療が必要な難病を患っても、自己負担はゼロか低額で済む難病患者への支援制度もある。
自分が望む医療を自問自答し、それにいくら必要か、自己負担はいくらか、貯蓄で対応できないか、そうした確認が金持ち家族への第一歩だ。
ところで、今好評発売中のダイヤモンド・ザイ7月号では、ザイ1万人大調査の結果を大公開し、今回紹介した保険ワザだけでなく、貯金のワザ、住宅購入&ローンのワザ、億を作った人の投資法などを大特集で掲載している。日本人のお金と投資の現状を知るとともに、貧乏家族から金持ち家族に変身するテクニックを身につけてほしい。
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