世界投資へのパスポート

2016年中の米利上げ予想は4回から2回へ!今回のFOMC声明文から判明した重要なポイントやFRBのシグナルからわかる、いま買うべき株を解説!

【第410回】 2016年3月20日公開(2022年3月29日更新)
広瀬 隆雄
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<今回のポイント>
1.FOMCはハト派的だった
2.ドットプロット(FRBメンバーによる今後の政策金利の予想)が驚くほど下がった
3.あからさまなドルのトークダウンが始まった
4.FRBはシェール産業での雇用減を憂慮している
5.FRBはインフレを演出したくて、ウズウズしている
6.FRBに逆らわず、資源株を買っておけ!

FFレートは0.50%の維持が決定するも
年内利上げ回数の予想は4回から2回に半減!

 先週、連邦公開市場委員会(FOMC)が終了し、米国の政策金利が発表されました。予想通り、現行のフェデラルファンズ・レート、0.50%が維持されました。

 しかし細かい点を見ると今回のFOMCはサプライズがたくさん出ました。そのすべてがハト派的でした。

 まずFRBメンバーによる今後の政策金利の予想(=通称、ドットプロット)が「あっ!」と息を呑むほど下がりました。

 2016年末の時点でのフェデラルファンズ・レート予想は、これまでの1.4%から0.9%に下がっています。一気にドットプロットがこれだけ下がるのは極めて珍しいことです。

 0.9%という数字が持つ意味を、少し考えてみたいと思います。

 現行のフェデラルファンズ・レートは0.50%です。いま米国連邦準備鮮度理事会(FRB)は、よほどのことが無い限り、利上げの際の刻み幅は0.25%を使用します。

 すると、次に利上げされた際の政策金利は:

 0.50+0.25 = 0.75%

 になります。同様に、その次の利上げでは政策金利が1.00%になるというのが順当です。

 つまり上のドットプロットの0.90%という数字は「年末までに2回程度の利上げがある」ということを、ほのめかしていると考えることができます。

 一方、前回、つまり12月のFOMCの時は1.40%が予想されていたので、それを利上げ回数に直すと:

 0.50+0.25+0.25+0.25+0.25=1.50

 が最も近似する数字ということになります。つまり4回程度の利上げが、ほのめかされていたわけです。

言い直すと、今回のFOMCでは、今年中の利上げ回数に関するシグナルが、これまでの4回から2回へと半減したわけです。これは大事件です。

 このようにFRBが金利をどんどん上げないとシグナルしたことは、景気にとってはプラスです。だから市況株、素材株、エネルギー株などが買われたのは、当然の成り行きです。

「海外要因」がFOMCの声明文に盛り込まれたのは
日銀やECBをけん制する動きの現れ

 2015年の8月に世界のマーケットが中国経済減速懸念で下げた時、FRBは「海外要因の不透明」を原因に利上げを見送るという説明をしました。

 その後、市場が安定すると「海外要因」はFOMC声明文から消えました。

 しかし今回は再びこれが声明文に盛り込まれています。これが今回のFOMCでの二つ目のサプライズです。

 ここ数週間は世界のマーケットが比較的安定していました。だから、いま「海外要因」を理由に挙げて利上げを見送るというのは、唐突な印象を与えます。

 これはつまりFRBが世界同時株安のリスクを心配しているということではなく、むしろ日銀や欧州中央銀行(ECB)をけん制する動きなのです。

 これで今後の日銀やECBの対応は格段に難しくなりました。

ドル安誘導を突然始めたのは
シェール業界の雇用を維持するため

 FRBは長いことドル高に対し「見て見ぬフリ」をしてきました。それが突然、あからさまなドル安誘導を始めた理由は、シェール産業における雇用の減少がじわじわ効いてきているためです。

 シェール業界では2014年秋からこれまでに10万人、業界全体の雇用の16%が失われたと言われています。

 シェール産業は給与水準が高いので理工系の学生にとって理想の就職先でした。FRBは、そのような業界が崩壊するのを、いよいよ座視できなくなったのです。

 シェール業界を盛り立てる最も近道のやり方は原油価格を吊り上げることです。原油価格を高くしようと思えば、ドル安がベストな方法です。なぜならドルと原油価格は逆相関の関係にあることが知られているからです。

インフレを演出したいFRB、
株式投資はシンプルに資源株を買えばOK

 今回のFOMCの最後のサプライズは、記者会見でイエレン議長が「少なくともデータを見る限り、賃金上昇プレッシャーは見当たらない」と発言したことです。これも挑発的すぎるハト派発言です

 通常、FRBは賃金インフレにはとりわけ警戒しています。その理由は、賃金は一度上がりはじめたら「クセになる」からです。つまりなかなか騰勢を食い止めることが出来ないということです。

 このためFRBのメンバーは、さまざまな物価の統計の中で賃金の統計だけは厳粛に受け止めます。

 それからすると、今回の「データを見る限り、賃金上昇プレッシャーは見当たらない」というコメントは、古参のFEDウォッチャーからすれば、まるでタガが外れてしまったような、破廉恥(はれんち)な発言です。

 そのくらいインフレを演出したくて、ウズウズしているわけです。

 株ですか?

Don't fight the FED.(FRBに、逆らうな!)

 という言葉通り、素直に資源株に乗るべきだと思います。

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