今夏にも2回目の利上げが予想される中、
強弱観が対立しNY株式市場は一進一退が続く
このところ米国株式市場は、高値圏で一進一退の展開を続けています。
S&P500指数は、去年5月につけた高値2134.72に、あと82.4ポイント(4%)に迫っており、もう一息で新波動入りを狙える水準です。
その反面、連邦準備制度理事会(FRB)は、この夏にも去年の12月に続き2回目の利上げをする可能性があります。前回の利上げ後にはマーケットが下がったので、利上げを警戒する声も強いのです。
このように現在のNY市場は強弱観が対立しています。
6月23日の英国の国民投票に動揺を与えないために
市場関係者の大多数は次の利上げを7月と予想
米国の政策金利はフェデラルファンズ・レートと呼ばれます。
フェデラルファンズ・レートは先物が取引されており、その取引価格から、市場参加者の織り込んでいる利上げ確率を計算する方法があります。その確率は、CME FedWatchというサイトに公開されています。
それによると次の連邦公開市場委員会(FOMC)である6月15日の利上げ確率は26%、そして、その次のFOMCのある7月27日の利上げ確率は、最新のデータ(グラフ中、黄色の5月20日)では52.6%(43.2+9.4)になっています。
つまり市場関係者は「6月の利上げの確率は低いけれど、7月にはたぶん利上げする」と予想しているわけです。
6月と7月では1カ月しか離れていないのに、なぜこうも利上げ観測が違うのでしょうか?
それは6月23日に英国で国民投票が予定されているからです。そこでは「イギリスはEUから離脱すべきか?」ということが、英国民に直接問いかけられます。
もしこの国民投票で英国がEUを抜けるということになると、マーケットは動揺するでしょう。したがって、この重要イベントの直前にFRBが利上げするのは得策ではないのです。
超低金利下での運用難下で米国の高配当株に注目
利回りのスイート・スポットが3~5%の理由とは?
そんな不安材料がぶら下がっているのならば、いっそのこと全部キャッシュにしてしまいたい……そういう居ても立っても居られない様な気持ちになる投資家もいるでしょう。
しかし折から日本や欧州はマイナス金利となっており、生命保険会社や年金ファンドなどの機関投資家はリスクを取らざるを得ない状況にあります。つまり超低金利下での運用難です。
その場合、日本や欧州の国債に比べて少しでも利回り面で有利な米国債に世界の投資家の資金が集中しますし、その延長として、魅力的な配当を出している優良株などへも自ずと物色の矛先が向かうわけです。そういう状態では株は下がりにくいのです。
そして高配当利回り株が最近、人気になっているのも、まさしくそのような理由からです。
さて、配当利回りを手掛かりに株を買うときのコツをお教えします。それは極端に高利回りの株は避けろ! ということです。
私なら、配当利回りで6%を超える銘柄は、パスします。
それはどうしてか? と言えば、そのような企業は減配リスクがあるからです。さらに言えば、配当利回りが7~8%もある銘柄は、倒産を織り込んでいるとすら言えるでしょう。
私の考える、スイート・スポット(最適値)の配当利回りは3~5%です。殆どの優良企業が、この利回りレンジの中に納まってしまうはずです。
「なんだ、それっぽっちか?」
そんな風に思わないで下さい。べらぼうに安い中古住宅を買ったら、お化けが出る屋敷だった……という風に、上手い話には裏があるものです。それは株の世界でも同じ。
欲をかかず、3~5%という、リーズナブルな配当利回りの銘柄で、無理せず投資する……今の相場環境では、そういう肩ひじ張らない姿勢がベストだと思います。
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