節約の達人が伝授!ゼロから貯める節約術

「医療保険」を見直す際に考えるべきポイントは?
医療保険の必要な保障額の計算方法のほか、
進化する「がん保険」「先進医療特約」も紹介!

【第31回】 2017年1月17日公開(2017年1月17日更新)
風呂内亜矢
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 新しい年を迎えたこの時期は、保険について見直すのにちょうどよいタイミングです。病気は前もって予測できないので、不意のトラブルに備えて、あらかじめ医療保険に加入している人も多いのではないでしょうか?

 しかし、もしも実際に病気にかかってしまった場合、どのくらいお金がかかるのか、理解している方は意外と少なく、「なんとなく入っている」ケースも多いようです。

 病気にならないことが望ましいのはもちろんですが、万が一の際にどのくらいのお金が必要となるのかを理解すれば、やみくもに心配して過剰な保険をかけてしまったり、逆に必要な保険をかけ忘れて、いざという時にあわてたり……といった事態を防げます。

 そこで、今回は病気になってしまった時に必要となるお金や保険について、再確認の意味を込めて解説したいと思います。

公的な扶助が充実している日本の医療制度。
まずは実際に負担する金額がどのくらいかチェック

 まず、医療費の基本中の基本から。ご存じのとおり、医療費は全額自己負担ではありません。日本では国民皆保険制度が実施されているので、国民健康保険など、誰もが何らかの公的な健康保険に加入しているはずです。

 そのため、医療機関を受診した場合、実際にかかる医療費の一部を自分で支払い、残りは健康保険によってまかなわれる仕組みになっています。

 自己負担額は、小学校就学前は2割。70歳から74歳までの人は2割負担、75歳以上の人は1割負担(現役並みの所得がある人は3割負担) 。それ以外の人は3割負担です(※未就学児は「乳幼児医療費助成制度」があり、自治体から全額、もしくは一部助成が受けられるため、原則的には2割負担することはありません。小学生以上も助成の対象となる場合が多いですが、何歳まで対象になるかは自治体ごとに異なります)。

 その自己負担額が高額になった場合、さらに「高額療養費制度」があります。これは、ひと月あたりの医療費の自己負担が一定の額を超えた場合、申請すれば差額の給付を受けることができる仕組みです。払いすぎた医療費がキャッシュバックされるイメージです。

 高額療養費制度は2015年1月から一部内容が変更されているので、制度のことは前から知っている、という人も下の図表で再度確認してみてください。

◆高額療養費制度の概要
所得区分 ひと月あたりの自己負担限度額 3ヵ月以上高額医療費を
負担した人のひと月あたりの
自己負担限度額(※2)
(1)年収約1160万円~
健保:標準報酬月額83万円以上
国保:年間所得901万円超
25万2600円+
(医療費-84万2000円)×1%
14万100円
(2)年収約770~約1160万円
健保:標準報酬月額53万円以上83万円未満
国保:年間所得600万円超901万円以下
16万7400円+
(医療費-55万8000円)×1%
9万3000円
(3)年収約370~約770万円
健保:標準報酬月額28万円以上53万円未満
国保:年間所得210万円超600万円以下
8万100円+
(医療費-26万7000円)×1%
4万4400円
(4)~年収約370万円
健保:標準報酬月額28万円未満
国保:年間所得210万円以下
5万7600円
4万4400円
(5)住民税非課税
3万5400円
2万4600円
(※1)ここでいう「年間所得」とは、前年の総所得金額及び山林所得金額並びに株式・長期(短期)譲渡所得金額等の合計額から基礎控除(33万円)を控除した額のことを指す。
(※2)高額医療費を申請される月以前の直近12ヵ月の間に高額療養費の支給を受けた月が3ヵ月以上ある場合は、4ヵ月目から「多数該当」という扱いになり、自己負担限度額が軽減される。


 ご覧のとおり、所得によって上限は変わりますが、高額療養費制度があるおかげで、一定額を超えた分の医療費は負担しなくてよいことがわかります。

 なお、図表の内容は高額療養費を支払っている期間が3ヵ月以内の場合に適用されるもの。4ヵ月以上連続して高額療養費を負担している場合には、さらに負担額が減る仕組みになっています。また、制度を利用する回数に制限はありません。

 たとえば、年収約400万円の人の場合、1ヵ月のうちにかかった医療費が35万円だったとすると、自己負担限度額は、

「8万100円+(35万円-26万7000円)×1%=8万930円

 となり、申請すれば差額(35万円-8万930円)の26万9070円分が給付されることになります。

 1ヵ月に35万円の医療費と言われるとあわててしまいますが、実際には9万円弱で済むと分かれば、そこまで家計をひっ迫する事態にはならないのではないでしょうか。このように、日本の公的な医療保険はかなり充実しています。この点を押さえたうえで、それでも必要になるお金をどう工面するかを考えましょう。

医療保険に入る前に「必要かどうか」から見直しを。
公的な健康保険でまかなえない費用も知っておこう!

 いざというときの医療費を工面する方法としては、ある程度まとまったお金を貯金しておくか、あるいは民間の医療保険でカバーするといった方法が一般的です。貯金ができる前に病気やケガをしたら元も子もないので、とりあえず民間の医療保険に加入しようと考える人も多いのではないでしょうか。

 一般的に、公的な健康保険の対象外となる費目でよく挙げられるのが、入院中の差額ベッド代や、健康保険適用外の先進医療にかかる費用などです。差額ベッド代は1泊5000~6000円であることが一般的ですが、医療機関によっては数万円にのぼることもあります。先進医療にかかるお金は後で詳しく説明しますが、数千円から数百万と金額に幅があります。

 また、会社員のように「傷病手当金」の給付がない自営業者は、入院中に働けなくなった分の損失も考える必要があります。

 先の事例でいえば、「ひと月の自己負担額8万930円=1日の負担額は約2610円」となります。これに差額ベッド代や損失利益分などの事情を勘案して、日ごろの貯金でまかなえると考えるならば、無理に医療保険に入る必要はないと言えます。

 特に、掛け捨ての医療保険と比較すると、貯金は自由度が高いもの。つつがなく健康であった時に手元に残ることを考えれば、まずは第一の選択肢として考えるべきでしょう。

民間の医療保険に加入するなら、身の丈にあった保障を選択。
手厚すぎる保障内容は保険料増加の原因に

 貯金だけでまかなうのが不安という場合は、必要な分の保障を考えて医療保険への加入を検討しましょう。とはいえ「日額給付金」は高ければいいというものではなく、比例して保険料も高額になるので、自分に必要な額を見定めることが重要です。

 一般的に、会社員であれば(勤務先から傷病手当などが出ると想定されるため)日額5000円程度、自営業者であればそれ以上(1万円程度)が目安となります。

 社会全体の流れとして、短期間の入院が増加し、重篤な病気でもなるべく入院期間を圧縮して、在宅医療を奨励する動きが見られます。そのため、医療保険に入るときは、「日帰り入院でも保障される」「入院の場合、1日目から保障される」といった条件を満たすものだと、使い勝手が良い(=保障を受けやすい)でしょう。

 ただ、「日帰りや短い入院日数なら費用もそれほど多くないのだから、貯金でまかなえばいい。それより長期入院のときに保障が出るタイプを選ぶべき」という考え方もできるので、どんな条件の保険がいいと一概には言えません。

 自分は日帰り入院でも保障を受けたいのか、長期入院のみ保障が出ればいいのか(日額給付金が同額なら、後者のほうが保険料は安くなります)、よく考えてみましょう。

とにかく「がん」だけが不安なら、
がんの診断で一時金が出るがん保険だけに加入してもOK

 すでに医療保険に加入している人も、健康トラブルが発生したとき、「どんなケースでどのくらい保障があるか」を確認しておくことが大切です。一般的に、医療保険は入院の際に日額で給付されます。加えて、特定の手術を受けると、手術給付金が受け取れます。

 これに対し「がん保険」は、がんと診断された時点で、給付診断金を一時金で受け取れます。また、放射線や抗がん剤での治療を受けた時に、治療給付金の形で、やはりまとまった金額を受け取れます。

 ですから、「通常の病気にかかる医療費は貯金でまかない、高額になりがちながん治療のみ、まとまった保険金で対応」というスタイルを選択するなら、あえてがん保険にだけ加入する手もあります。

人気の先進医療特約は本当に必要かどうかを判断。
先進医療に特化した保険も登場している!

 さて、近年医療の分野の保険を考える上で注目を集めているのが、「先進医療特約」です。

 現段階で保険診療の対象となっておらず、全額自己負担になる「先進医療」。高額なイメージがひとり歩きしているため、いざという時の不安を感じて関心を抱く人が多いのでしょう。

 しかし、実はひと口に先進医療といっても、さまざまな種類があることをご存じでしょうか?

◆先進医療例参考資料
※出所:厚生労働省「第38回先進医療技術審査部会 資料5-4」
  先進医療費用 平均入院期間 年間実施件数 実施報告医療機関数
重粒子線治療
308万6340円 12.1日
1889件 4施設
前眼部三次元画像解析
3817円
0.6日
7788件
70施設


 上の図表は、先進医療に分類される治療の一例です。「重粒子治療」のように入院治療を必要とし、300万円以上かかるものもありますが、「前眼部三次元画像解析」のように日帰り治療で4000円弱で済むものもあり、千差万別です。

 また、先進医療の内容によっては、施術できる医療機関が全国で数ヵ所しかなく、地方在住者が継続的に治療を受けるのは現実的に難しいケースも。

 つまり、先進医療といっても高額なものばかりではありませんし、治療法として存在していても、自分が活用できるかどうかは未知数なので、医療保険やがん保険での先進医療への対処はマストというわけではないのです。

 ただ、やはりいざ必要となったときの負担は大きいので、お守り感覚で特約として付けておくのはいいと思います。多くの医療保険、がん保険などで先進医療特約は用意されており、月額100円程度で付けられる場合が多くなっています。

医療保険やがん保険に加入していない人向け!
特約ではなく先進医療単体で保障する保険が登場

 また、「先進医療の保障はほしいけど、医療保険やがん保険に入るつもりはない」といった理由で、先進医療単独での保険を希望する人もいるかもしれません。

リンククロス コインズは年齢・性別を問わず、月々500円と手頃な保険料が魅力。
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 これまで先進医療保険は通常の医療保険の特約のみの形が一般的でしたが、2016年9月20日に損保ジャパン日本興亜ひまわり生命が販売を開始した「Linkx coins(リンククロス コインズ)」は、先進医療と臓器移植に特化した保険です。

 月々500円の保険料で先進医療の技術料が通算2000万円まで保障されるので、先進医療のみの保険を望む人は要チェックです。

 長い人生には、突然の出費を余儀なくされる「負のライフイベント」があります。健康上のトラブルは、起こってほしくないからこそ、起こった時に備えて万全の備えで臨みたいもの。新しい年を迎えたこのタイミングに、必要な備えを見極めるところから始めてみてください。

(取材・構成/麻宮しま)

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