フランス大統領選挙は
新EU派のマクロン勝利で終わる
2017年5月7日(日)に行われたフランス大統領選挙の決選投票で、エマニュエル・マクロン候補が次期大統領に選ばれました。
彼の考えは、穏健かつ保守的であり、親EU(欧州連合)的です。
フランスのEU離脱の危機が遠のき
欧州の政治リスクは低下
今年の欧州は、3月のオランダ第二院選挙に始まって、昨日のフランス大統領選挙、そして9月にはドイツ連邦議会選挙など、選挙が目白押しです。その中でもフランス大統領選挙は、「マーケットにとって、最も危ないイベント」だと言われてきました。
その理由は、極右政党である国民戦線のマリーヌ・ル・ペン候補が善戦すると見られていたからです。
ル・ペン候補は「私が当選したら、フランスがEUを離脱すべきかどうかに関する国民投票を実施する」と公約していました。去年、英国が実施した同様の国民投票でイギリスのEU離脱が決まってしまった経緯を持ち出すまでもなく、国民投票は思いがけない結果を招くことがあります。
ドイツとフランスの2カ国でEUのGDPの47%を占めている関係から、もしフランスがEUを抜けるとEUが崩壊するリスクがあります。
したがって、昨日実施されたフランス大統領選挙で親EU派のマクロン氏が勝利したということは、大きな山場を乗り越えたことを意味します。
欧州経済の近況は
データ的にもかなり改善
さて、最近の欧州経済ですが、ひとことで言えば、かなり改善しています。まず、GDPは下のチャートのように推移しています。
長らく高止まりしていた失業率も下がって来ました。
メーカーの購買担当者のマインドは、改善しています。
さらに、消費も勢いを増しています。
欧州経済は「米国経済に3年から4年遅れてキャッチアップする」と言われています。それならば、そろそろ欧州の出番がやってくると考えられます。
好調な欧州に投資するには、
欧州株ファンドに加え、ドイツ銀行が狙い目
2017年3月20日の本コラムでは、欧州市場への投資方法として、ウィズダムツリー欧州株米ドルヘッジ付ファンド(ティッカーシンボル:HEDJ)を紹介しました。
それに加えて、個別株のアイデアとしてドイツ銀行(ティッカーシンボル:DB)も良いと思います。
同行は去年、「自己資本が充実していない」という批判を浴び、株価が低迷しました。しかし、4月に約80億ユーロの増資を完了し、自己資本の問題を解決しました。
同行は、歴史的に債券為替コモディティ部門に力を入れてきました。しかし、高速トレーディング(HFT)が債券取引にも普及するにつれ、債券トレーディングは昔ほどウマ味がなくなっています。
そこで、ドイツ銀行では資本集約的なトレーディングのビジネスを縮小し、M&Aアドバイザリーなどのビジネスへのシフトを行っています。それに絡めて人員削減も進めています。
ドイツ銀行の本店はフランクフルトなので、英米の投資銀行とは違い、英国のEU離脱によるパスポーティング(=EU域内のひとつの国で銀行免許を受ければ、域内の他のどの国でも業務を行えるという規定)の問題に頭を悩まされることはありません。
ドイツ銀行を巡る問題として「次の成長が、一体、どこから生まれるのかが見えない」ということがあります。しかし今回、大統領選挙をめぐる不確実性が去ったので、今後、欧州経済は元気になると予想されます。
そうなれば企業の投資意欲やM&Aも活発化することが予想されます。すると、「次の成長を何処へ求めるか?」という問題も、自ずと解消すると考えられます。
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