最新の公示地価の発表を受け報道された「全国的な地価上昇」のウソとは?
ダイヤモンド・ザイでは、記者が集めたマネー・経済関連の最新トピックを「ZAi NEWS CHANNEL!」で毎号紹介している。今回はその中から「全国的な地価上昇」に関する記事をピックアップ!
国土交通省が3月末に発表した2018年1月1日時点の公示地価は、商業・工業・住宅の全用途で0.7%のプラスだった。地価上昇は3年連続で、これはバブル崩壊の1992年以降で初めてのことらしい。驚くのは、外資マネーが流入して再開発が活発な大都市圏だけではなく、地方圏平均でも商業地が0.5%とわずかながら、26年ぶりに上昇に転じたこと。新聞各紙も「地価上昇が全国的に波及、脱・資産デフレが進む」などと報じているが、はたして本当だろうか。その背景に迫ると、不動産鑑定士が"お客さん"の自治体に忖度して公示地価が決まる実態が見えてきた!
外国人観光客の恩恵を受ける札幌市や福岡市
2018年の公示地価で、上昇率ベスト3を独占したのは、北海道倶知安(くっちゃん)町。スキーリゾートが人気のニセコ地区は、商業地も住宅地もプラス30%を超えた。
オーストラリア人を中心とする外国人観光客が押し寄せるニセコ地区は、スキー場に隣接する住宅地だけではなく、JR倶知安駅周辺の商業地にも地価上昇が波及した。
2017年の訪日客数は、2869万人と過去最高を記録。地方圏の商業地の上昇を牽引しているのも、外国人観光客の増加で店舗やホテル需要が高まっている地方都市なのだ。それらの恩恵を受けている4市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)だけを取り上げると、前年との平均変動率は7.9%ものプラスになる。
だが、ほとんどの地方都市はそんな活況とは無縁だ。人口流出・高齢化にあえぎ、住宅地は空き家が続出、駅前立地がシャッター通りと化している街も少なくない。
記者の実家がある茨城県。同じ関東でも1都3県とは違い、“地盤沈下”が激しい。日立市に向かう国道6号沿いは閉鎖したドライブイン、飲食店、ガソリンスタンドなどが生い茂った草に覆われ、寂しい風景が続く。
散歩に出れば、月ごとに増える空き家、駅前は土日なのにシャッターを閉めている店舗、テナント募集の店舗が軒を連ねる。外国人観光客はほとんど見たことがない。
それでも、茨城県の地価変動率は住宅地、商業地ともに▲0.7%。つくばエクスプレス沿線の再開発エリアが人気を集めていて、それが全体を押し上げているとしても、実感からするとマイナス幅が少ないように感じる。
地方の地価下落は、自治体の財政を直撃
茨城県以外に目を転じても、地方圏の商業地で、前出の上昇率の高い4市(7.9%)を除いた市区町村の変動率も▲0.4%とマイナス幅は小さい。公示地価に詳しい不動産鑑定士が重い口を開く。
「実は、公示地価は大きく上げ下げできない事情がある。税金との絡みが公示地価にゆがみをもたらしています」
公示地価は国が示す地価の指標だ。国土交通省によると、売り急ぎや買い急ぎなどの特殊事情を除いた「正常な価格」(必ずしも実勢価格ではない)を表しているという。公的な土地評価はほかにもあって、都道府県が毎年9月ごろに公表する基準地価、国税庁が毎年7月ごろに公表する相続税路線価、市区町村が3年に1回、4月ごろに公表する固定資産税評価額がある。
問題は、相続税路線価は公示地価の8割水準、固定資産税評価額は公示地価の7割水準に設定されていることである。相続税路線価はその名の通り、相続税や贈与税の算出に用いられる評価額であり、固定資産税評価額は固定資産税や不動産取得税を決める基準となる。つまり、公示地価は国や自治体の税収を決める基準の大元になっているのだ。
だから、公示地価を実勢にあわせると、銀座の一等地のように公示地価の2~3倍でも売れるところは急激に相続税や固定資産税が上がってしまうし、反対に、過疎化する地方のように、公示地価の8割水準の路線価でさえ売れないエリアは、税収が大きく落ち込んでしまう。
問題として大きいのが、後者である。いまや、自治体の税収の40%強が固定資産税によるものだ。地価下落は自治体の財政悪化に直結する。
「不動産鑑定の世界でも忖度がある」
不動産鑑定士の資格を持ち、複数の著書で「公示地価は実質的に破綻している」と主張する森田義男税理士が語る。
「自治体はできるなら公示地価は下げてほしくないと考えている。国交省もそれは認識している。調査にあたる鑑定士は、数字のごまかしはできないが、なるべく希望に沿う数字を出す。だから、結果的に地方の公示地価は“高示地価”になる。お上の意に沿わない鑑定評価をすると、翌年から仕事が来なくなる恐れがある。鑑定の世界にも、忖度が働くのです」
森田氏によれば、特に地方の鑑定士にとっておいしいのは、公示地価よりも固定資産税評価額の仕事だという。1地点当たりの報酬は5万4000円(税別)で公示地価や路線価より低いが、評価地点は全国で約44万地点に及ぶ。3年に1回、200億円以上の金額(税金)が、全国の不動産鑑定士に配分される計算になる。衰退が進む地方において、鑑定士に民間の仕事はほとんどない。
鑑定士に限らず、「士業」の多くは官庁の強い影響下にある。税理士は国税庁、司法書士なら法務省。だが、多くの士業は官庁から直接仕事をもらうことはない。ほとんどのお客さんが民間の人だ。ところが、鑑定士の世界は違う。お客さん=官庁なのだ。
森田氏のように鑑定士の仕事に見切りをつけ、税理士として生計を立てているならいざしらず、“お客さん”には逆らえない。
今後も加速する人口減少が重荷
だが、公示地価は我々が払う税金と密接に絡んでくる。地価下落が進んでいる地方で、公示地価の8割水準の路線価でさえ売れない土地は珍しくない。これは、相続税を払って不動産を維持しても割が合わなくなることを意味する。
おりしも、3月末に厚生労働省が発表した将来推計人口によれば、2030年にはすべての都道府県で人口が減り始め、2045年には7割の市区町村で2015年に比べ人口が20%以上減る見通しだ。秋田県では41.2%、青森県では37.0%も減るという。
地方においては、一部の人気エリアを除き、これからも地価下落の大きな要因となる人口減少・高齢化が重くのしかかる。かくして、公示地価と実勢価格とのかい離は、ますます広がっていく。
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