闇株新聞[2018年]

メルカリ(4385)の新規上場を闇株新聞が分析、今後値上がりするか否かのポイントはここだ!闇株新聞が徹底分析する「メルカリの将来性」

2018年6月28日公開(2022年3月29日更新)
闇株新聞編集部
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フリマアプリのメルカリ(4385)が、6月19日に東証マザーズに新規上場しました。楽天でオークション事業立ち上げに携わった山田進太郎氏(現在会長兼CEO)が2013年2月に創業し、ネット業界を牽引してきた多彩なメンバーを多く抱え、創業5年ちょっとでIPOに漕ぎ着けたことになります。市場の期待は大きく初値は公募価格を67%も上回りましたが、その後は乱高下。今後の成長と投資判断のポイントを、刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』が掘り下げます。

メルカリ(4385)の新規上場を闇株新聞が分析、今後値上がりするか否かのポイントはここだ! 闇株新聞が徹底分析する「メルカリの将来性」

今期は2期連続の赤字決算になる見込み
約630億円の資金調達でどうなるか!?

 メルカリは市場の前評判が高く、新規上場時に時価総額が1000億円を超えるなど「日本では数少ないユニコーン企業と言われていました。

※編集部注 ユニコーン企業とは……評価額10億ドル以上の非上場ベンチャー企業のこと

 日本におけるフリーマーケットの市場規模は2017年で約5000億円、うちメルカリの取り扱いは2900億円あり、国内の市場シェアは6割にも上ります。

 メルカリは6月決算なので現時点で2017年7月~2018年3月の9ヵ月分しか集計できていませんが、営業利益で19億円の赤字、最終純利益では34億円もの赤字となっています。国内では50億円の営業利益があるものの、創業直後(2014年)から進出している海外(米国)では69億円の営業損失となっています。

 前期(2017年6月期)も27億円の営業赤字と42億円の最終純損失でしたから、このままいくと2期連続の赤字決算になりそうです。

 赤字決算でもビジネスモデルが確立され将来の収益化が十分見込まれるのであれば、IPOに踏み切って資本基盤と現金ポジションを強化するのは決して間違っていません。

 メルカリはIPO以前に少なくとも4度の資金調達を行っており、2018年3月時点で資本金が88億円まで膨れ上がっています。それでも同時点で自己資本比率が9.8%しかありません。

 同じく2018年3月時点で長期借入金が148億円、未払い金が254億円もあり、一方では現金と預金が535億円もあります。見かけほど資金繰りはラクではなかったはずです。

 今回のIPOは、国内外合わせて1816万株の公募と、2255万株の売り出しを行い、さらに284万株のオーバーアロットメントによる売り出しも加わって、最大4355万株が市場に出てくることになります。またオーバーアロットメントを除くと、国内分が1676万株、海外分が2395万株と、海外分に多くを割り当てています。

※編集部注 オーバーアロットメントとは……当初予想の数量を超える買い需要があった場合に、主幹事証券会社が大株主から株式を借りて、公募と同条件で追加販売すること。

 売り出し・公募価格もブックビルディング方式による上限価格の1株=3000円となったため、全体では最大1306億円のIPOとなりました。メルカリは公募とオーバーアロップメントを含めて630億円の資金調達ができたはずです(証券会社への報酬は考慮していません)。

1306億円の公募・売出しに応募が殺到
期待先行、株価乱高下、だが夢はある

 驚くべきはこの1306億円の公募・売り出し株数に対し、国内50倍、海外20倍の応募があったことです。メルカリは調達した630億円を「人・技術・海外への投資」に充てると公表、とりわけ海外市場における知名度向上と事業拡大を最優先課題とするようです。

 そのためにフェイスブックやグーグルからも幹部社員を招き入れています。要するに創業以来の海外事業は投資が嵩むばかりで成果が出ずに全体の足を引っ張っており、一刻も早い資金投入で知名度を上げる必要に迫られていたのです。メルカリのIPOは何度も延期されていましたが、それが今回「やっと間に合った」といったところです。

 さて、上場初日(6月19日)の値動きは初値が公募価格を67%上回る5000円、最高値はさらに20%上昇して6000円、最後は5300円で取引を終えて時価総額は7172億円となりました。

 ところが翌日から株価は初値を割り込み、上場4日目となる先週末(6月22日)の終値は4550円、時価総額も6157億円となっています。公募・売り出し価格の3000円も、初値の5000円も、先週末終値の4550円も、時価総額の6157億円も、合理的に説明できないのことは同じです。

 問題は先行する市場の期待に応えられるかどうかですが、巨額資金を投入している米国市場での知名度向上と事業拡大が絶対条件となっており、経営リスクも結構高いと言わざるを得ません。

 最近の海外市場では、4月に新規上場した音楽配信サービスの「スポティファイ・テクノロジー」の時価総額が3兆円超、なかなか新規上場できない配車サービスの「ウーバー・テクノロジーズ」の時価総額が7.5兆円とも言われています。

 中国企業では配車アプリの「滴滴出向」が時価総額6兆円、米国上場を諦め香港単独上場となりそうなスマートフォンの「小米」も時価総額5兆円を超えると言われています。明らかに過熱状態ですが、海外でも近々上場可能な「ユニコーン」がそれほど多くなく、さらにヒートアップすると見ています。

 それらに比べればメルカリの時価総額は1桁少なく、今後の米国での事業展開によってはさらに時価総額が膨らむ可能性があります。それにはやはり米国市場における知名度とビジネスの拡大が必須。そう考えると今回のIPOにおける公募・売り出しの半分以上を海外市場に割り当て、調達資金の大半を海外市場に投入しようとするメルカリの戦略もよくわかります。

 結局のところ今後の株価や時価総額は、国内市場での投資判断基準ではなく、米国の新規上場企業群のそれにどこまで近づけていけるかで考える必要があります。メルカリはその可能性を秘めた日本で唯一の新規上場企業であり、注目に値します。

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