過去にクレジットカードに申し込んだことがある方ならおわかりのように、どんなクレジットカードでも、入会にあたっては審査があります。クレジットカードは「利用者が一時的に借金して決済する」という仕組みなので、お金の貸し手であるクレジットカード会社は、ある程度、その相手を選びます。無担保融資ですから、信用の置けない相手にクレジットカードを発行し、貸し倒れになっては困るからです。

そこで行われるのが「入会審査」です。そして、一般的なクレジットカードよりもゴールドカードやプラチナカードといった上級カードのほうが、利用限度額が大きくなる分、当然ながら入会審査も厳しくなります。
ただ、その「審査基準」というのが具体的にどのようなものかは、一般的にあまり知られていないですし、誤解も多いように見受けられます。審査についてきちんと理解しておかなければ、いずれ上級カードを持ちたいというときに、つまずいてしまう可能性があります。そこで今回は、クレジットカードの審査をテーマとしてお話を進めていきましょう。
クレジットカード会社が最も恐れているのは「貸し倒れ」。
入会審査は貸し倒れによる焦げ付きを未然に防ぐため
まず、理解しておきたいのが「クレジットカードはその人の信用力を測る物差し」であるという点です。簡単にいうと、「お金を貸しても大丈夫」と万人に太鼓判を押されるような人が、イコール「信用力のある人」です。
それでは、どのような状態であれば信用力が高いと見なされるのでしょうか? それを測る基準として一般的によく知られているのが「年収」です。しかし、単純に年収だけで判断されるわけではありません。年収がそれほど高くなくても、上級カードの審査に通る人はいます。
クレジットカード会社はもっと複合的な要素に基づいて、審査を行っています。その審査基準のコアにあるのは、「3つのC」といわれるもの。それは以下のような内容です。
●Capacity(キャパシティー)=返済能力
●Character(キャラクター)=性格
●Capital(キャピタル)=資産
このうち最も重要視されるのは「キャパシティー」です。キャパシティーの有無は、その人に定期収入があるか、これまでにクレジットカードの利用額の返済が滞った履歴がないか……といった点から判断されます。
仮に年収が高くても、すでに保有しているクレジットカード利用額の返済にちょこちょこ遅れていたりすると、最終的に返済はしていたとしても「だらしない性格」という烙印を押され、「キャラクター」の部分でマイナス判定が下されます。
最後に「キャピタル」というのは、不動産や貯蓄の有無です。クレジットカード申込者が急に失業すると、返済が滞る可能性があります。そんなときに、担保となる資産を有しているかどうかをチェックするわけです。
すべてのクレジットカードの審査において、これらすべてを厳密にチェックしているわけではありませんが、上級カードの審査では必ず3つのCが重視されています。とはいえ、一部のゴールドカードでは、そこまで審査が厳しくないものもありますし、一般カードのハードルはさらに低く設定されていると考えていいでしょう。
医師、弁護士、公務員、大企業の会社員の信用力はハイレベル。
逆に、自営業や非正規労働者の信用力は低いと判定される
3つのCにおいて問題がないかを推し測るために、クレジットカード会社は申込者の属性など、細かなプロフィールをチェックしています。主な確認事項は以下のとおりです。
●年齢
●勤務年数
●職種
●勤務先規模
●年収
●居住年数
●住居形態
●家族構成
●電話
ざっと見ただけで、クレジットカード会社がチェックする意図がすぐにわかるものもあれば、ややわかりにくいものもあるかもしれません。順に説明していきましょう。
まず、「年齢」については、各クレジットカード会社で「20歳以上申し込み可」などの条件を設定しています。上限は65~70歳程度の場合が多いでしょう。対象年齢から外れている人は、そもそも申し込みができません。この基本の条件を満たしていることは大前提です。
次に、「勤務年数」は一般に長いほど有利とされますが、最近は転職も一般化しているため、そこまでシビアに見られなくなってきました。特に、転職によって以前より規模の大きな会社に移った場合などは、むしろ好感触で受け止められます(ただ、クレジットカードによっては「勤続1年以上」を入会条件としていることもあります)。
また、新入社員で勤務歴のない人の場合、勤務年数は問われません。多くのクレジットカード会社は新入社員にクレジットカードを持ってもらいたいと考えているので、新入社員であることはむしろ審査に有利に働くこともあります。
「職種」に関しては、「高い年収が継続して受け取れるか否か」で判断されるため、医師(特に開業医)、弁護士、公務員などが有利です。ちなみに、歯科医師は高給の人も多い一方で、近年は有資格者の数が増えすぎて、廃業する人も増加している影響から、信用が低いとも言われます。
このように、若干でもマイナスイメージのある職種には、点が辛くなるのがカード審査の特徴です。なお、前述のように、高い年収を確保し続けられる公算が高いことから、勤務先の規模は大きいほど信用がアップします。
持ち家、固定電話の有無、家族の有無などから
「借金を踏み倒して夜逃げするリスク」を測られている
続いて「年収」ですが、もしあなたがゴールドカードを作りたい場合には、「年収500万円以上」というのが一つの目安となります。ちなみに、一般カードで年会費無料のものであれば、「年収200万円以上」が目安と考えておけばいいでしょう。
ただ、クレジットカード会社は年収の額面だけでなく、可処分所得も重視していることを忘れてはいけません。
仮に、同じ会社に勤め、年収も同じという35歳の男性が2人いたとしましょう。一方が独身、一方が4人の子持ち、持ち家あり……だった場合、可処分所得が多いのは明らかに前者でしょう。そのため、この比較では前者のほうが有利(クレジットカード会社の優良顧客になると見なされる)なのです。
もっとも、クレジットカード会社は可処分所得の高さだけでなく、持ち家の有無や今の住まいの居住年数、家族形態などもチェックしています。また、独身よりも結婚している人、賃貸よりも持ち家のある人のほうが、信用力は高いです。
独身の人は、賃貸物件での一人暮らしよりも、実家暮らしのほうが信用されます。賃貸物件で一人暮らしの場合、あちこち転々としているよりは、一カ所に長く住んでいる人のほうが、安定感があると見なされます。また、電話も「携帯電話だけ」という人より「固定電話がある」という人のほうが信用されます。
なぜこのような基準になっているかといえば、家や家族、固定電話といった、いってみれば「簡単に夜逃げできない要素」を多く持っている人のほうが、クレジットカード会社からしてみると安心してお金を貸しやすいからです。
賃貸の住居の居住年数などは、「書類にウソを書いてもバレないのでは?」と思われるかもしれません。確かにバレないこともあるでしょうが、上級カードの場合は免許証などから転居の履歴をチェックして裏を取ることも行われています。もし、そこでウソがバレてしまうと、3つのCの「キャラクター」の部分で問題があると見なされるため、審査を通るのは難しくなるでしょう。
以上を総合すると、既婚のDINKS、あるいは子どもが1~2人程度の人で、大企業や官公庁などに勤務し(あるいは開業医、医師として働き)、年収がすでにそこそこ高く、将来的にも安定しており、なおかつ持ち家などの資産があって、無理なローンを組んでおらず(可処分所得が多く)、過去にカードの返済が滞っていない人――これこそが信用力のすこぶる高い人といえます。
流通系カードなど、作りやすいカードを持つところからスタート
クレジットヒストリーを積み重ねれば、信用力が高くなっていく
逆にいうと、独身の自営業者、あるいはフリーターや非正規労働者、年収は200万円未満(あるいは不安定)、親とは別居で賃貸暮らし――というような状況の人は、残念ながら「信用力が低い」と位置付けられやすくなります。特に、独身で年収が低すぎる人だと、どのようなクレジットカードであっても、作るのは難しいかもしれません。
しかし、自営業者や非正規労働者でも悲観する必要はありません。
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