クレジットカードの達人!ゴールド&プラチナカード比較
【第37回】 2017年7月15日 岩田昭男  [消費生活評論家]

クレジットカード業界の勢力図が「Apple Pay」の
登場で一変!?「VISA一強」から「アップル社」主導の
新時代の到来に伴い、おすすめカードにも変化の兆し

「Apple Pay」に大部分のクレジットカードが登録可能に!
「Suica」とクレジットカード決済の両方で「Apple Pay」が勢力拡大

 前回は、日本に上陸して約8カ月が経つ「Apple Pay」の基本情報と、「Apple Pay」で利用できる「Suica」に関するトピックを中心として紹介しました。

【※関連記事はこちら!】
「Apple Pay+Suica」が世界標準になる日も近い!?アップル社も注目の日本発の電子マネー「Suica」は世界の交通系ICカードのスタンダードになれるか?

 その後編となる今回は、「Suica」決済に加え、「Apple Pay」のもう一つの柱であるクレジットカード決済について解説します。

 まずは、「Apple Pay」に関する簡単な復習から始めましょう。「Apple Pay」とは、iPhoneを財布代わりにして決済ができるサービスのこと。電子マネー「Suica」のほか、多種多様なクレジットカードを登録することができます。

 ただし、「Apple Pay」はiPhoneを各種電子マネーの読み取り端末(フェリカ対応端末)にかざして決済をするため、通常だと磁気ストライプをスライドさせて読み取るクレジットカードを、そのまま利用することはできません。

 よって、「Apple Pay」でクレジットカード決済をするときは、ポストペイ式電子マネーである「iD」や「QUICPay」を経由する、というやや複雑な仕組みになっています。

 「Apple Pay」の日本でのサービス開始から1年も経たないうちに、日本で発行されている多くのクレジットカードが、「Apple Pay」に対応するようになりましたが、これは驚異的なスピードだったと言えるでしょう。

「Apple Pay」によって、注目度が低かった
「ポストペイ式電子マネー」への注目が集まることに

 クレジットカード業界の動きはスピーディーでしたが、そもそもアップル社のクレジットカード業界への参入は、従来のクレジットカード会社にとって“黒船”と呼べるほどの衝撃だったはずです。

 なぜなら、これまで長い間、非接触ICカード技術の国際標準規格ではない「フェリカ」が、iPhoneに搭載されることはないと思われていたため、アップル社のクレジットカード業界への参入はあり得ないとされてきたのです。

 しかし、前回の記事で解説したように、国際的に「フェリカ」が見直されたことで、「Apple Pay」が日本で導入され、結果的にアップル社は日本のクレジットカード業界の勢力図を大幅に塗り替えることとなりました。

 具体的には、「iD」を運営するNTTドコモと三井住友カード、「QUICPay」を運営するJCBとトヨタファイナンスが、業界における存在感を急激に強めたのです。

 日本において、電子マネーは短期間のうちに素早く利用者を増加させましたが、利用者が増えたのは「Suica」「楽天Edy」「nanaco」「WAON」などの「プリペイド式(前払い式)電子マネー」ばかりでした。

 一方、「iD」や「QUICPay」のような「ポストペイ式(後払い式)電子マネー」は、その性格上、クレジットカードとの差がほとんどないことから、「プリペイド式電子マネー」ほどは利用されてこなかったという経緯があります。

 しかし、「Apple Pay」によって「ポストペイ式電子マネー」を介さなければクレジットカードが利用できない環境が生まれ、「iD」と「QUICPay」の立場は一躍“なくてはならないもの”へと変化しました。「ポストペイ式電子マネー」の関係各社にとっては神風が吹いたようなものだったと思います。

今後、クレジットカードは電子決済が当たり前に!
カード業界の盟主が「VISA」から「アップル」に変わる?

 棚ボタで利を得たNTTドコモやJCBなどとは対照的に、割を食ったのは、長年クレジットカード業界の王者として君臨してきた「VISA」です。

 クレジットカードには共通するレギュレーション(規定)があり、カード番号の桁数やナンバーをエンボス加工にすること、ICチップの搭載など、いちいち細かく決められているのですが、このレギュレーションの取り決めを仕切ってきたのは「VISA」でした。

 しかし、今後どんどん「カード」よりも「スマホ」での電子決済が主流になっていくとすると、新たに電子決済のレギュレーションが必要になります。その取りまとめ役は「VISA」ではなく「アップル社」が担う可能性も高いでしょう。

 これまでにも、最新技術が導入されることで、業界が様変わりした例はたくさんあります。

 例えば、音楽業界ではネットで音楽をダウンロードすることが当たり前になり、CDが売れないという状況になりました。出版業界ではネットで膨大なコンテンツが無料で読めるようになって、紙の本へのニーズが大きく下がりましたが、今後、本格的に電子書籍が普及すれば、さらに紙の本のニーズは低下することになるでしょう。それと同じような状況がクレジットカード業界でも起こり、従来の常識が通用しなくなる時代が、もうそこまで来ているように思えます。

 近年、「フィンテック」が大きなテーマとなっています。「Apple Pay」もフィンテックの大きな流れの一部ですが、今この瞬間も「お金」を取り巻く環境はめまぐるしく変わっています。「スマホ決済なんて興味がない」などと言っていると、あっという間に時代に取り残されてしまうかもしれません。

「Apple Pay」でおすすめのクレジットカードは?
「Suica」関連の3枚はやっぱり外せない!

 さて、これから「Apple Pay」を利用するとして、どんなクレジットカードを登録すればいいのでしょうか? もしくは、すでに登録しているクレジットカードを見直すとして、どのクレジットカードに乗り換えればいいのでしょうか?

 基本的に、今は多くのクレジットカードが「Apple Pay」対応となっているため、手持ちの好きなクレジットカードを登録すればOKです。しかし、アップル社は「Apple Pay」において、「Suicaファースト」の方針を明確にしています。そのため、必然的に「Suica」と関連性が深いクレジットカードが特におすすめ、ということになります。

 なお、「Apple Pay」にクレジットカードだけ登録して、「Suica」は登録しない、というのはもったいないので、「Suica」とクレジットカードの両方を登録するようにしたほうがいいでしょう。一度利用すると、その便利さに驚くと思います。

 おすすめのクレジットカードですが、「Apple Pay」のサービスが始まった直後に、この連載で掲載した「Apple Payで一番お得な最強クレジットカード発見!10月25日スタートの「Apple Pay」で利用できるSuicaとクレジットカードのお得な活用法を伝授!」で紹介したものと、基本的に大きな変化はありません。

 改めて紹介しておくと、まずは「Suica」付きでお得なクレジットカードの王道である「ビックカメラSuicaカード」は通常還元率が1.0%、「Suica」チャージ時の還元率は1.5%と高く、年会費もずっと無料にしやすいので、特におすすめです。

ビックカメラSuicaカード
還元率 1.0~1.5%
(一般加盟店1.0%、JR東日本の切符や定期券、「Suica」チャージなど1.5%
ビックカメラSuicaカード公式サイトはこちら
発行元 ビューカード
国際ブランド VISA、JCB
年会費(税抜) 初年度無料、2年目以降477円
(年一回の利用で次年度無料
家族カード なし
ポイント付与対象の
電子マネー
Suica、モバイルSuica
【ビックカメラSuicaカードのおすすめポイント】
電子マネー「Suica」利用者がもっとも得するカードがコレ! 初年度年会費無料、年に1回でもカード決済をすれば次年度以降も無料で、「モバイルSuica」の年会費(1000円)も無料になる。通常還元率1.0%で、「Suica」「モバイルSuica」チャージは還元率1.5%に!
Suica搭載のクレジットカードでおすすめの1枚!ビックカメラSuicaカード公式サイトはこちら


 もちろん、オーソドックスな「Suica」付クレジットカードで、定期券機能もついている「『ビュー・スイカ』カード」もいいでしょう。

「ビュー・スイカ」カード
還元率  0.5~1.5%
(一般加盟店0.5%、JR東日本の切符や定期券、「Suica」チャージなど1.5%
「ビュースイカ」カード詳細はこちら
 発行元  ビューカード
 国際ブランド  VISA、Master、JCB
 年会費(税抜)  477円
 家族カード  あり(年会費477円、税抜)
 ポイント付与対象の
 電子マネー
 Suica、モバイルSuica
【「ビュー・スイカ」カードのおすすめポイント】
「定期券」機能を搭載できるビューカード! 年会費は通常477円(税抜)だが、「Web明細サービス」登録で年240ポイント(=600円相当)がもらえるので、「実質」年会費無料。利用金額に応じたボーナスポイントがあり、還元率は年70万円以上なら0.67%、年100万円以上なら0.77%、年150万円以上になると0.87%と、一般的なクレジットカードの1.7倍に!「定期券」購入や「Suica」チャージ分は還元率1.5%「モバイルSuica」年会費(1000円)も無料になるので「Suica」ユーザー必携の1枚!
Suica搭載のクレジットカードでおすすめの1枚!「ビュー・スイカ」カード公式サイトはこちら

 「『ビュー・スイカ』カード」よりも補償が充実した、ワンランク上のクレジットカードが持ちたい人には、「ビューゴールドプラスカード」がおすすめです。

ビューゴールドプラスカード
還元率 0.5~1.5%
(一般加盟店では0.5%、JR東日本の切符や定期券、「Suica」チャージなどは1.5%
ビューゴールドプラスカード詳細はこちら
発行元 ビューカード
国際ブランド JCB
年会費(税抜) 1万円
家族カード(税抜) あり
(1人目は年会費無料、2人目以降3000円)
ポイント付与対象の
電子マネー
Suica、モバイルSuica
Sビューゴールドプラスカード公式サイトはこちら

 今挙げたものは、いずれもJR東日本系列のビューカードが発行しており、ショッピングでの利用時のみならず、「Suica」へのクレジットチャージでもポイントが貯まります。しかも、「Suica」へのクレジットチャージの場合、ポイント還元率が1.5%と高くなる点は、大きなメリットです。

 「Suica」だけでなく、「Apple Pay」でクレジットカードをどんどん使っていきたいということであれば、「Apple Pay」に搭載されている「iD」や「QUICPay」でお得になるクレジットカードがいいでしょう。

 そこで、おすすめなのが「Orico Card THE PLATINUM」です。通常のクレジットカード利用時や「モバイルSuica」にチャージした場合のポイント還元率は1.0%ですが、「iD」や「QUICPay」を利用した際にはポイント還元率が1.5%にアップします。

 「Orico Card THE PLATINUM」を「Apple Pay」に登録すると、利用する電子マネーは「QUICPay」となるので、「Apple Pay」で決済をする場合は常に還元率が1.5%となり、とてもお得に「Apple Pay」を利用できます。年会費が1万8519円(税別)という上級カードではあるものの、「Apple Pay」でクレジットカードを利用したい人には、かなりお得な一枚です。

Orico Card THE PLATINUM(オリコカード ザ プラチナ)
還元率 1.0~3.5%
Orico Card THE PLATINUM(オリコカード ザ プラチナ)
発行元 オリコカード
国際ブランド Master
年会費(税抜) 1万8519円(税込2万円)
家族カード あり(3人まで年会費無料)
ポイント付与対象の
電子マネー
モバイルSuica、ICOCA、
iD、QUICPay、au WALLET
Orico Card THE PLATINUM(オリコカード ザ プラチナ)公式サイトはこちら!

(※関連記事はこちら!⇒「Orico Card THE PLATINUM」は割安な年会費、高還元率+付帯サービスも充実のプラチナカード!使い方次第で「Orico Card THE POINT」より得!?

 また、マクドナルドをよく利用する人には、「dカード」がおすすめです。マクドナルドで決済する際、「dカード」を提示すると通常1%ポイントが貯まりますが、さらに「iD」で決済すると割引やポイントの上乗せがあり、合計5%分も得することができます。

dカード
還元率 1.0%
「dカード」のカードフェイス
発行元 NTTドコモ
国際ブランド VISA、Master
年会費 永年無料
家族カード あり(年会費無料)
ポイント付与対象の
電子マネー
iD
【dカードのおすすめポイント
「NTTドコモ」のカードだが、auやソフトバンク利用者でもお得なクレジットカード! 通常還元率1%と高還元で、2019年9月16日以降の申し込み分から年会費が永年無料になり、ますますお得なカードに進化! さらに、ローソン利用分は請求時に3%オフになり、ポイント付与と合計すると最大5%の超高還元が実現!「dカード」で貯まる「dポイント」は携帯電話料金に充当できるほか、「Ponta」にも交換可能となり、ドコモユーザー以外でもお得なクレジットカードだ。
「dカード」の公式サイトはこちら


 マクドナルドのサービスは、2017年12月末までのキャンペーンです。「dカード」のように、多くのカード会社が「Apple Pay」と絡めてお得なキャンペーンを実施しています。

 クレジットカードの話からはズレてしまいますが、「au WALLETカード」のキャンペーンも注目に値するでしょう。「au WALLETカード」は、クレジットカードの国際ブランドである「MasterCard」に対応している店舗であれば、基本的にどこでも利用することができるニュータイプのプリペイドカードです。なお、プリペイドカードのほかに、「au WALLETクレジットカード」もあります。

 この7月から、プリペイドカードの「au WALLETカード」も「Apple Pay」に設定できるようになりました(「au WALLETクレジットカード」も設定可能です)。

 導入にあたり、「Apple Pay」に「au WALLETカード」及び「au WALLETクレジットカード」を設定して買い物をすると、ポイント(WALLETポイント)が通常の5倍になるキャンペーンを実施中です。

 さらに、「au WALLETカード」に加えてキャンペーン期間中に「Suica」も登録し、「Apple Pay」で「au WALLETカード」を利用すると、「WALLETポイント」が10倍に跳ね上がります。プリペイドカード「au WALLETカード」の還元率は通常0.5%なので、還元率は最大5%に。「au WALLETクレジットカード」のほうは通常の還元率が1%なので、最大10%になります(※キャンペーン期間は2017年8月31日まで)。

【※関連記事はこちら!】
Apple Pay対応のクレジットカードで選ぶ! Apple Payに登録して得する高還元率カードはコレ!

「Apple Pay」はセキュリティ面でもカード以上に安全!
「スマホ」決済の可能性はますます生かされることに期待!

 「Apple Pay」でのクレジットカード決済に関しては、「セキュリティは大丈夫?」という不安を抱いている人もいるのではないでしょうか。ですが、結論から言うと、「Apple Pay」のセキュリティ対策はかなり高度です。

 iPhoneなどアップル社の製品は、「紛失モード」に設定することで、紛失時には簡単に「Apple Pay」の利用を一時停止できます。むしろ、不正利用を防ぎづらいクレジットカードよりも安心です。また、クレジットカードは決済時にカードを店員などに渡さなければなりませんが、「Apple Pay」は自分の手から離さず、かざすだけでいいのでこの点も安心材料です。

 アップル社のセキュリティ対策は入念で、まず購入者のクレジットカード番号を別の文字列に置き換え、カード情報を購入店に残さない「トークン決済」を採用し、不正利用を防ぐ措置をとっています。2016年12月に可決・成立した割賦販売法の改正では、クレジットカード情報の漏洩などを防ぐ安全管理の措置を義務づけていますから、この仕組みは安心感がありますね。

 また、これはセキュリティとは関係ありませんが、アップル社の製品には、ハンディキャップのある人に考慮した設計を重視している、という強みがあります。このあたりは、さすがシリコンバレーの雄であるアップル社、と言えるでしょう。

 従来の「Suica」は、例えば目の不自由な人が、一人で使いやすい形状となっているわけではありませんでした。しかし、iPhoneで「Suica」を利用するのであれば、位置情報や音声ガイダンスを組み合わせるなどして、使い勝手を良くできるかもしれません(ただ、こういった特徴は欧米では高い評価を受けそうですが、現実主義の塊のような日本人には響きにくい可能性もありますね)。

 このように、すでにクレジットカード業界にさまざまな変化を起こし始めている「Apple Pay」。今後の展開からまだまだ目が離せません。

(取材/麻宮しま)