iDeCo(個人型確定拠出年金)おすすめ比較&徹底解説[2021年]
2018年6月30日 山崎 俊輔

iDeCoでは「バランス型投信」に任せて“ほったらかし
投資”が正解! メンテ不要&低コストの「バランス型
投信」を賢く選ぶ4つの条件とおすすめの商品を紹介!

「iDeCo」での投資は「バランス型ファンド」を
しっかり選んで「ほったらかし」にするのがおすすめ!

iDeCoのおすすめ金融機関

 「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」で投資をスタートさせるとき、特に投資初心者ほど「今、人気のファンド(投資信託)はどれか」と考えてしまいます。しかし「iDeCo」で人気商品のランキングを調べることはあまりおすすめできません。というのも、「iDeCo」はファンドを次々乗り換えることには適していないからです。

 そもそも、金融機関(運営管理機関)が「iDeCo」で取り扱う商品は、2018年5月以降は最大35本に限られています(現在は移行期間で、35本を超過しているところは今後5年以内に35本に減らすことになります)。長期の積み立てが前提の制度ということもあり、商品の入れ替えもあまり行われないでしょうし、自分好みのファンドが自分の選んだ金融機関に追加されるとは限りません。

 もし買いたいファンドが自分の金融機関にない場合、金融機関そのものを変更する手もありますが、手続きに労力がかかる割に、ファンドを乗り換えたからといって効率的な売買になるとは限らないので、おすすめはできません

 しかも、頻繁にマーケットの状況をチェックし、売買の指図を行おうとすれば、仕事やプライベートのどこかを削ることになります。やりすぎれば日常生活の支障を来します。仕事でミスをやらかすかもしれません。

 それに、「iDeCo」で投資に大きな労力を割いたところで、投資信託の売買は「翌日もしくは翌々日の基準価額での売却」「さらに数日後の購入」となるので、タイミングを狙った売買はほとんど不可能なのです。

 掛金の上限があることから「iDeCo」での投資は金額ベースでもあまり大きくなりませんし、ファンドの見直しや入れ替えなど、投資に伴う負担は極力軽くする方向で考えるべきでしょう。

 ということで、「iDeCo」での投資は、経済成長の平均点を確実に獲得する戦略(インデックス投資)で、可能な限りメンテナンスが不要な(つまりほったらかしにできる)商品を選ぶのがいいと思います。そして前回も解説したように、初心者でも1本でそれを実現できるのが「バランス型ファンド」です。

「iDeCo」では「バランス型ファンドをしっかり選び、基本的には長期保有」という「ほったらかし投資」をすることをおすすめします

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iDeCoを始めるために必要な4つのステップを解説! iDeCo口座を開設する金融機関の選び方、積立商品&掛金額の決め方など、具体的な手続きと注意点を紹介

バランス型ファンドなら資産配分もリバランスも
“お任せ”できて投資の労力が格段に減る!

 それでは、「iDeCo」投資の選択肢として、バランス型ファンドを選ぶメリットは何でしょうか。

メリット1:「分散投資」が簡単に行える

 まず第1に「バランス型ファンドは分散投資が容易である」という点です。株式、債券、国内、海外などの複数の資産に投資対象を分散するのは投資の基本です。理想的には、自分に合った資産配分(アセットアロケーション)になるように、それぞれの資産(アセットクラス)へ投資する投信を%単位で組み合わせていくのが最も効率的な方法になりますが、これは個人にとってはほとんど不可能でしょう。

 例えば、国内株と外国株を何%ずつ組み合わせるのが効率的かは、プロの年金運用でも答えが出ない悩みです。特に個人においては、効率的な資産配分を行ううえで基礎となる「期待リターン」や「リスク」、「標準偏差」などの数値を得るのも簡単ではありません。金融機関などのウェブサイトでシミュレーションができるサービスもありますが、その前提が妥当なものか判断することすら難しいのです。

 また、基礎数値を手に入れたとしても、個人にとって理想的なポートフォリオ(金融商品の組み合わせ)はひとりひとりのリスク許容度によって異なりますし、年齢や環境変化に応じてリスク許容度も変化します。それを検証するのも、個人にとっては困難です。

 そこで解決策として、資金のうちどのくらいを安全資産にしてどのくらいを投資に回すか、すなわち「定期預金:投資金額」の割合だけは自分で決めて、バランス型ファンドを1本だけ買い、国内外にどのような分散投資を行うかのポートフォリオ作りは、バランス型ファンドに任せてしまうのが1つの有力な(そして現実的な)方法です。

 そのほうが、思いつきでお手製ポートフォリオを作るよりはるかに労力は少なく、かつ効率的になる可能性が高いと考えられます。

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iDeCoで失敗しない「資産配分」と「運用方法」を3つのステップで紹介! 定期預金と投資信託への適切な資産配分とおすすめの投資信託の種類とは?

メリット2:「リバランス」が簡単にできる

 次のメリットは「バランス型ファンドはリバランスが不要である」という点です。

 投資では、資産配分の比率を維持するのが、中長期的には合理的なやり方です。市場が上下に動いていくとき、「当初想定していた保有比率」に従って、値上がりしている資産(例えば株式)が高値になったときは部分的に売って利益確定を行います。同じ株式が値下がりしている時期にはむしろこれを買い増して、「保有比率」を維持することで結果として安値仕込みにつながります。これを繰り返し、リスクを一定に保ちつつ、運用収益の確保を目指します

 この投資行動は「リバランス」といわれて、プロの年金運用では一般的に行われるものですが、個人にとっては今まで実行が困難でした。しかしバランス型ファンドなら、投信の運用会社が自動的にリバランスを行ってくれます

 バランス型ファンドは、あらかじめ設定された投資比率を維持するように、運用の見直しが適宜行われるからです。仮に「国内株30%±3%」と設定されていれば、株価が上昇した場合は高くても33%に収まるよう株式保有割合を抑え、株価が下落している場合も27%より少なくならないように調整されます。

 これも、個人が投資をコントロールする労力を減らしてくれることを意味します。

バランス型ファンドのデメリットも確認
ただし選び方次第で利用する価値は十分あり!

 こうしたメリットがある一方で、もちろんバランス型ファンドにはデメリットもあります。注意点を確認しておきましょう。

デメリット1:単品のファンドより相対的に割高になる

 複数の資産に投資を行う以上、単一の資産に投資をするファンドと比べて、運用コスト(信託報酬など)は割高になります。明確に割高であれば、バランス型ファンドの利用は避けるほうが合理的です。

 ただ、低コストであることを採用の条件としてルール化した「つみたてNISA」のスタート以降、「iDeCo」のバランス型ファンドにも価格引き下げの波が押し寄せています。今や、かつての日本株インデックスファンド(信託報酬は年0.7%くらいが珍しくありませんでした)よりも低い運用コストで、国内外に分散投資が行えるようになっているのです。

 例えば、信託報酬が年0.5%以下で国内外に分散投資されるバランス型ファンドであれば、これは十分に選択肢になり得るのではないかと思います。

デメリット2:完全に自分に合ったポートフォリオにはならない

 バランス型ファンドは、典型的なポートフォリオ(資産の組み合わせ)を3タイプほど設定するのが一般的です。ファンド名で「積極型」「標準型」「安定型」と称したり、「75」「50」「25」のように株式の比率の数字でリスクの度合いを示したりすることがよくあります。

 これは言い換えれば“オーダーメイド”ではなく、3タイプから自分の好みに近いものを選ぶ“レディメイド”型ということです。

 とはいえ、スーツを買うとき完全オーダーメイドにする人は少数派でしょうし、完全オーダーメイドで食事を注文することもほとんどありません。レディメイドが便利で味もまあまあであれば(そして安ければ!)利用の余地はあると思います。

「iDeCo」で「ほったらかし投資」を実現する
バランス型ファンド選びの4つの条件

 さて、「iDeCo」で買えるバランス型ファンドにもさまざまな種類があります。どんな条件で選ぶべきでしょうか

条件1:「X資産均等」タイプはあえて選ばない

 まず、最近人気の「4資産均等」「8資産均等」といった「X資産均等」ファンドは候補から外します。こうした配分は、投資理論にもとづく資産の効率的な組み合わせという観点からは合理的ではないからです。

 例えば8資産均等ファンドで言うと、国内・先進国の株式・リート・債券および新興国の株式・債権の8つの資産に12.5%ずつ投資するわけですが、「不動産投資割合が25%もある」「海外への投資割合が62.5%もある」「実は日本国内株には12.5%しか投資していない」というようなことになります。これを聞いて「えっ?」と思う人は、実際の配分割合を確認していない、ということです。

条件2:「ターゲットデート」ファンドはあえて選ばない

 「ターゲットデート」(「ターゲットイヤー」とも呼ばれます)のファンドは、若いうちはリスクを高めに設定し、運用のゴールが近づくとリスク資産の比率を引き下げる運用を行う投資商品です。年齢に応じたポートフォリオのリスク割合の修正まで自動化できるところに魅力があります。

 ただ、信託報酬がやたら高いファンドが多いことと、60歳のゴールが近づいてリスク資産の割合を引き下げる(株式などを売却する)時期にもし市場の急落があると、損失確定を愚直にするだけになってしまう、という問題があります。

 普通のバランス型ファンドで「ほったらかし投資」を続け、人生の一度だけ、50歳代のどこかで市場の急騰がやってきたときに、利益確定する──それくらいなら、個人の投資としても負担はあまり大きくないと思われます。したがって、ターゲットデートファンドも外したほうがいいでしょう。

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条件3:株式投資比率が高いものを選ぶ

 ここまでで残ったのは、資産配分(ポートフォリオ)が基本的に固定されたタイプの、一般的なバランス型ファンド(「スタティック型」と呼ばれることもある)でしょう。このとき、ポートフォリオが異なる3タイプほどがあったら、あえて「株式投資比率が一番高いもの」を選びます

 株式投資比率が低いバランス型ファンドは債券の割合を高くしていることが多いのですが、債券投資に期待される役割(利回りが低いが元本割れもしにくい)については、預貯金を保有することでカバーできます。つまり、「定期預金:バランス型ファンド」の組み合わせで資産全体の配分を行うのであれば、バランス型ファンドでわざわざ多くの債券を持つ必要はないのです。

 株式投資比率が低いバランス型ファンドは、過半が債券運用になるため、「株価が20%も上がっているのにファンドは4%しか上がらない(株式投資比率20%の場合)」といったことになります。その割に、運用手数料(信託報酬)は債券部分も含めたファンド全体にかかります。

 むしろバランス型ファンドには、「リスクはあるが期待リターンも高い」投資をしてもらうべきです。したがって、株式投資比率が高いファンドを選ぶことにします。

条件4:とにかく運用コストが低いものを選ぶ

 ここまで商品性の条件で絞り込んできましたが、最後の、そして最重要の要素は運用コストです。

 少なくとも、「信託報酬が年0.75%以下」(海外資産を組み入れたインデックス型ファンドの場合)という「つみたてNISA」の基準はクリアするべきです。「iDeCo」全体でインデックス型ファンドのコストが下がってきていることも考慮して、「信託報酬年0.5%以下」を条件としてみてはどうでしょうか。

4つの条件をクリアするおすすめのバランス型ファンドはこれ!
バランス型ファンドのラインナップで金融機関を選ぶのも手

 4つの条件に合う「国内外に分散投資が行え、かつローコストで投資ができるバランス型ファンド」としては、例えば下記のような商品が挙げられます。最近では「iDeCo」のファンドを比較しながら、採用する金融機関(運営管理機関)もチェックできるサイトもあるので便利です。

 「ファンド名
信託報酬(年・税込)/「iDeCo」で取扱のある金融機関

 「DCインデックスバランス(株式80)
0.216%SBI証券

 「Smart-i 8資産バランス 成長型」 
0.216%/りそな銀行(つみたてiDeCoプラン)

 「DCニッセイワールドセレクトファンド(株式重視型)
0.2376%/日本生命保険(Vプランα)

 「三菱UFJプライムバランス(成長型)(確定拠出年金)
0.2592%/京葉銀行、山梨中央銀行

 「マイバランス70(確定拠出年金向け)
0.2592%/イオン銀行、西日本シティ銀行

 「マイバランスDC70
0.2592%/野村證券、岩手銀行、琉球銀行

 「三井住友・DC年金バランス70(株式重点型)[マイパッケージ70]
0.2592%/三井住友銀行(SMBC個人型プラン)、ジャパン・ペンション・ナビゲーター、荘内銀行、ジブラルタ生命保険

 ここまでは年0.3%を切っておりかなりローコストのバランス型ファンドです。0.5%以下だとこのあたりも選択肢です。

 「DCマイセレクション75
0.3456%/岡三証券、三井住友信託銀行(プランN)

 「DIAMバランス・ファンド<DC年金>3成長型」 
0.3456%/中央労働金庫

 「ブラックロック・つみたて・グローバルバランスファンド
0.3934%/三井住友銀行(SMBC個人型プラン)

 「DIAM DC 8資産バランスファンド(新興国30)[宝船]
0.405%/第一生命保険(Vプランα)

 「野村世界6資産分散投信(DC)成長コース
0.4212%/ゆうちょ銀行(Aプラン)

 これらのファンドは取り扱う金融機関(運営管理機関)が限られており、口座管理手数料が無料の金融機関と必ずしも一致しないのが悩ましいところですが、「運用コストが安くて、国内外に分散投資したバランス型ファンド」をラインナップに採用していることを、金融機関選びの選択肢にするのも、一つの方法だと思います。

 ぜひ検討の参考にしてみてください。

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山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)[ファイナンシャルプランナー]
1995年株式会社企業年金研究所入社後、FP総研を経て独立。ファイナンシャル・プランナー(2級FP技能士、AFP)、1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)、消費生活アドバイザー。若いうちから老後に備える重要性を訴え、投資教育、金銭教育、企業年金知識、公的年金知識の啓発について執筆・講演を中心に活動を行っている。新刊『読んだら必ず「もっと早く教えてくれよ」と叫ぶお金の増やし方』(日経BP社)が好評発売中。