ザイスポ!
【第50回】 2012年8月30日 ザイ・オンライン編集部

領土問題の背景にもあるエネルギー争奪戦の新星!
米国発の「シェールガス革命」は日本の関連銘柄にもビッグチャンスだ!

韓国の李明博大統領による竹島上陸や、香港の活動家グループによる尖閣諸島上陸が国会でも取り上げられ、国民の関心がよりいっそう高まっている竹島・尖閣問題。とくに尖閣諸島の周辺海底には大量のメタンハイドレート(天然ガス)が眠っていると推測されているため、根底には“資源獲得”の思惑があると見られている。もし、日本がここで資源開発できれば、天然ガスの輸入国から一気に輸出国に変わるくらいの劇的な出来事が生じるかもしれない。

実際、そんなダイナミックな変化を米国に起こしたのが「シェールガス革命」だ。そもそもシェールガスとは何なのか、そしてシェールガス関連にどんな注目銘柄があり、日本経済や原油相場にどのような影響を及ぼすのか、専門家に取材した。

米国で大量にシェールガスが採れるようになった理由

米国テキサス州ダラスの「バーネットシェール掘削現場」 出所:石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)

 シェールガスとは、地下百~数千メートルのところに横に長く延びる頁岩(けつがん=シェール)層の微細な割れ目に閉じ込められたガスのこと。これまで採掘は困難とされてきたが、技術の進歩によって商業生産が可能になった。従来からのガス田型ガスを「在来型ガス」というのに対して、シェールガスは「非在来型ガス」と呼ばれる。成分は多少異なるが、同じ天然ガスの仲間だ。

 在来型ガスは、溜まっている場所(ガス田)に地表から垂直に掘って採掘する。一箇所にガスが溜まっているため、採掘しやすい。

 一方シェールガスは、大量の水を使って水圧で頁岩層に割れ目をつくり、そこから出てくるガスを集める。2000年代に入ってから水平掘り水圧破砕などの採掘に必要な技術が開発され、2005年から生産量が飛躍的に伸びた。

 その結果、米国のガス生産量は2005年から年率4%で増加している。ただ、大量の水を使うことから「水質汚染のリスクをはらんでいる」と指摘する声もある。

シェールガス

シェールガスの実用化で、世界の天然ガス供給量は倍増?

 天然ガスの消費大国である米国は、これまで世界で生産される天然ガスの約4分の1を使用していた。2006年時点では天然ガスの需要が今後も増加すると予想し、LNG(液化天然ガス)の輸入増を計画していたが、国内でシェールガスの大量生産が見込めるようになったため、2011年時点では輸入量見通しを大幅に下方修正している。

 エネルギー事情からみたグローバル経済の動向に詳しい宮前耕也・SMBC日興証券金融経済調査部エコノミストによると、「シェールガスの埋蔵量は米国を含む米州に最も多く、その量は調査機関によって数字が異なりますが、技術的に採掘可能な量として、少なくとも60年分はあるといわれています」。

 これは、中東に多い在来型ガスの埋蔵量(推定60年分)に匹敵する膨大な量だ。ちなみに、日本は地質年代が新しいため、シェールガスの商業生産は難しいとされている。