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2022年12月1日公開
ポール・サイ
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【読者からの質問に答える】米国株のETFや投信に投資してマイナスになってしまった。どうしたら良いのか?

 今回は最後に、読者の方から来た質問を取り上げてみたいと思います。

 「QQQとアライアンス・バースタインの米国成長株投信(為替ヘッジなし)に投資しています。今はマイナス状態で、どうすればいいか迷っています」とのことでした。

 質問者は70歳の方です。ここでは本連載の読者のために、一部回答してみたいと思いますが、私が配信しているメールマガジンでは、もっと詳しく回答しようと考えています。

 「QQQ」というのは、NASDAQ100指数に連動する有名なETF(上場投資信託)ですね。

 具体的な数字はここでは伏せますが、質問者の方は、QQQの方が損が大きいと書いていて、現時点までで結構大きなマイナスリターンになっているようでした。

 米ドル/円相場はここ1ヵ月ほどは米ドル安・円高になっているものの、それ以前はかなり大きく米ドル高・円安が進んでいました。そのため、QQQは為替を含んだ円ベースで見ると、ピークから14~15%しか下落していません。

 ですから、詳細がわからない点はありますが、おそらく質問者の方がQQQと仰っているのは、QQQと同じようにNASDAQ100指数に連動するETFの中で、為替ヘッジつきのものなどではないかと推測します。

 米国株投資の役割の1つは為替の分散です。なので、為替ヘッジつきのものは私はお奨めしないです。

 さらに、中長期で見れば、これから為替は円安方向に動く可能性が高いと私はみています。為替ヘッジをつけるとヘッジコストもかかります。乗り換えるなら、短期的なタイミングを見計らって、少し円高になった時期に、為替ヘッジなしのものに乗り換えることが考えられるでしょう。

投信の運用方針は、ほぼすべての運用会社が似たり寄ったり。大きく異なることの1つは手数料!

 質問者の方が保有しているもう一方、アライアンス・バースタインの米国成長株投信ですが、これは資料を見てみました。

 私が配信しているメールマガジンではいい投信の見分け方を詳しく説明する予定ですが、ここでは簡略に書くと、投信の資料を見ても、その投信の善し悪しは判断しづらいところがあります。たとえば、投信の運用方針は、ほぼすべての運用会社が似たようなことを書いているのです。

 違いが出るのは運用成績と運用会社の信用と手数料です。

 アライアンス・バースタインの米国成長株投信を野村證券で購入すれば、購入時に3.3%もの販売手数料がかかってきます。また、この投信では毎年、信託報酬が1.727%かかります。この2つを合わせると、コストはかなり高いと言えるでしょう。

 株価指数を3%程度上回るような運用を中長期的に続けるだけでもかなり大変なことですので、1.727%を毎年払うとなると、かなりの足枷になります。日本のアクティブファンドの手数料はとても高いです。これは業界全体の問題です。

 これだけコストが高いのなら、他のものに乗り換えた方がいいと思います。損失を確定させることで、他の譲渡益と相殺し、税金を減らすこともできます。

米国株のETFへ投資するなら、為替ヘッジつきのものと為替ヘッジなしのもの、どちらが良いのか?

 では、どこに乗り換えるのがいいでしょうか?

 まず、QQQのようなNASDAQ100指数連動型の金融商品ですが、その中身はかなりハイテク寄りで、リスクは高い方になります。

 しかし、長期的に運用するのであれば、アライアンス・バースタインの米国成長株投信よりもQQQに軍配が上がります。長期運用であれば、成長性の高いハイテク株に投資した方が高リターンが得られると考えるからです。米国成長株投信はハイテク株をオーバーウェイトしているものの、42%しか持っておらず、58%はヘルスケア・消費財銘柄になっているのです。

 先ほどもちょっと書きましたが、QQQのようなNASDAQ100指数連動型の金融商品に投資するなら、為替ヘッジはついていないものに投資することをお奨めします。

 米国市場上場のETF、本家QQQには為替ヘッジはないと思いますので、これに投資すればいいでしょう。

 また、QQQと同様のNASDAQ100指数に連動するETFは東証にもいくつか上場していて、こちらには為替ヘッジつきのものも、為替ヘッジがないものもありますが、東証上場のNASDAQ100指数連動ETFに投資するなら、為替ヘッジがないものを選ぶのが良いでしょう。

 また、QQQと似たような米国市場上場ETFでは、XLK、FTEC、VGTなどもお奨めです。

似たような中身で信託報酬の差はなんと43倍! あなたはどちらに投資しますか?

 米国成長株投信についてですが、こちらはS&PのETFに乗り換えた方がいいでしょう。たとえばS&P成長株ETF(SPYG)です。

 SPYGは情報技術セクターを44%持っていて、米国成長株投信はこれが42%ですから、ほぼいっしょです。しかし、SPYGの信託報酬は0.04%しかありません。米国成長株投信の信託報酬はこれの43倍もあります!

 米国市場上場の株式やETFを購入する時にかかる取引手数料は証券会社によって異なりますが、主要ネット証券では0.495%以下です。

 さらに最近では米国市場上場の一部ETFの買付手数料を無料とする施策を行っているネット証券も目立ちます。その一方、米国成長株投信の販売手数料は先ほど書いたとおり、3.3%です。取引にかかるコストの差は歴然としています。

 質問者の方のポートフォリオ全体の構成がわかりませんので、コメントしづらいところがありますが、70歳という年齢を考えると、ある程度、リスクを減らすか、徐々にリスクを減らし始めた方がいい時期だと思います。

 QQQはリスクが高く、期待リターンも高めです。SPYGは中の上ぐらいのリスク・リターンです。

 70歳とのことですので、どちらかというと、SPYGの方に少し重点を置いて投資してもいいのではないかと思います。

 最後にポートフォリオに債券を組み込むかどうかですが、インフレ率が高い状況ですので、債券は実質的な譲渡益をあまり大きくは期待できないと思います。債券をもし組み込むとしたら、「ポートフォリオの一部を現金にしておくぐらいなら債券にしておこう」といった程度の考え方がいいのではないかと思います。

 

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。

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