サッカー日本代表、ベスト8はならずも大健闘!
4度目の挑戦、ベスト8への進出ならず ―。
サッカーW杯カタール大会。森保ジャパンは強豪スペインを破って決勝トーナメントへ進出。試合前の予想では確率的に最下位の位置にあったが、結果は首位突破となった。試合中に一時、決勝トーナメント進出は日本とコスタリカという瞬間があったり、ここでスペインに同点にされたら日本は敗退という瞬間があったりで、本当に手に汗握る90分間だった。結局、「死の組」と言われた今回のE組では、日本2ー1ドイツ、日本2ー1スペイン、スペイン1ー1ドイツという結果なので、日本は文句なく強かったということになる。
決勝トーナメントの初戦はクロアチア。先制点を奪いながらも試合は延長戦までもつれての1-1の引き分け。前回大会準優勝のクロアチアに一歩も引けをとらずの戦いはあっぱれだった。PK戦では惜しくも1-3という結果になったが、運も大きく左右する面が大きいPK戦。実は2008年のユーロ大会準々決勝でクロアチアとトルコはPK戦にもつれた。モドリッチ、ラキティッチ、ペトリッチの3人とも失敗して今回と全く同じ1-3の展開となりクロアチアは敗退したことがある。それはともかく、今回のW杯において世界の人々に最もサプライズを与えたのは過去優勝国を次々と倒した日本だ。次回の2026年のW杯はカナダ・メキシコ・米国の3ヵ国共同開催であるが、次回こそ「ベスト16の壁」の突破に期待したい。
中国各地で抗議デモが起きるなど、国民の猛反発を買うゼロコロナ政策
さて、今回のテーマは中国である。すでに4年目に突入した中国のゼロコロナ政策。国営中国中央テレビがサッカーW杯の中継でマスクなしで観戦するファンの姿を意図的にカットして放送し、それが国民感情を大いに逆なでする形で中国各地で大きな抗議デモに発展している。暴動の動画も多数拡散されている。中国では現在、首都北京など主要都市で新型コロナ感染者が急増していることを受けて、ロックダウン(都市封鎖)が実施されているのはご存知の通りであろう。ロックダウンや移動制限の対象は4億人にのぼり、経済への打撃はますます長引きかねない。若者の失業率は7月には20%近くを記録した。世界の主要国の大半が行動規制を完全に撤廃する中、中国だけがゼロコロナ政策を続けている。
そのため、W杯のスタジアムで何万人もの観客がノーマスクで歓声を上げて応援する姿は、自宅軟禁を強いられている中国人にとっては衝撃的であり、「中国は世界から取り残されている」ことを嘆く投稿がSNSにあふれている。ゼロコロナ政策に反対する数千人規模の抗議デモが起き、あからさまに習近平国家主席の退陣を求める声が高まっている背景には単に「ノーマスク格差」があるわけだけではないのだ。
コロナ対策の成功例としてアピールしてきた習近平政権への不審が強まる
習近平政権はゼロコロナ政策を中国の大いなる成功事例として人民にアピールしてきた。「欧米は何百万人もの死者が出た。だが、中国だけは人民とその命を最優先してコロナとの戦いに勝利する偉業を成し遂げた」と。ところが、W杯の信じられない光景を見て、「中国だけがコロナ政策に失敗している」「この差は何だ?」「習近平の話はウソじゃないか!」という人民の怒りが噴出したのだ。自分達は何回も何回もPCR検査を受け、ロックダウンで自宅から自由に出られず、この先どれくらい軟禁されるかわからない。さらに、新疆ウイグル自治区ウルムチの火災で犠牲者が出た事で抗議デモは中国共産党や習近平批判に完全に変わったのだ。
中国各地での一連の抗議デモにより、習近平氏の面目は丸つぶれである。10月に開催された第20回中国共産党大会において総書記として異例の3期目の就任を決め、テレビカメラの間で前総書記の胡錦濤氏を無理やり議場から退席させるシーンを世界中に見せつける演出をおこなった習近平氏。「今や私の権力は揺るぎないものになった。終身にわたって中国に君臨し、真の中国の皇帝として君臨する」というメッセージを送った。その習近平氏が今、大きなピンチを迎えている。
従来の中国共産党ならば、習近平氏の姿勢には反対なはずである。なぜなら毛沢東氏が1976年に死去して以降、1人の人物が政治体制と国家を完全に支配し、死ぬまで権力を握り続けるような「第二の毛沢東」の誕生を防いできたからだ。しかし、習近平氏は皇帝が支配する時代に逆戻りさせようとしている。
習氏のメンツを保ちつつ、ゼロコロナ政策を段階的に緩和するのは困難
中国共産党の支配下にある中国政府はゼロコロナ政策の「出口」を模索し始めた。習近平指導部の威信を傷つけぬよう、段階的な緩和に動くというシナリオが想定されるが、これは実はなかなか困難なのだ。なぜなら、中国はロックダウンに加えて有効性の高い海外製ワクチンを輸入してこなかったため、コロナウイルスに対する集団免疫をほとんど獲得できていないからだ。規制緩和すれば感染爆発を引き起こし、200万人以上が死亡するとの試算もある。また、何よりも政策の転換は習近平氏の失政を認めることにつながる。そういうことを一番嫌う習近平氏は、人民を武力で封じ込めてでも自らの正しさを実証することを優先する可能性が高い。
そうすると、中国の対外政策が非常に懸念点になってくる。強硬的な対外政策をさらに強硬にして、内的不満を解消しようという方向性に走るからだ。詳しい解説はまたの機会に譲りたいが、台湾侵攻を含めてこれは世界にとって脅威である。台湾の統一地方選で与党・民主進歩党が大敗して蔡英文が党主席を辞任し、親中派の国民党が台頭してきたこと。そして江沢民・元国家主席の死去。習近平指導部の勝負のしどころもあり、また大きな岐路に立たされているのだ。
12月7日水曜日の午後8時から、今年最後となるWebセミナーを開催!
さて、マーケットである。私がDFR(ダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ)で昨年10月から投資助言をおこなっている「勝者のポートフォリオ」は今週もベンチマークをアウトパフォームし、年初来高値も4銘柄と好調である。11月25日には過去最高値も更新して「来たるべき金融相場に備えて」の第1弾にあたる新規銘柄も組み入れた。
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●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもメルマガ配信などで活躍。
※この連載は、ワンランク上の投資家を目指す個人のための資産運用メルマガ『太田忠 勝者のポートフォリオ』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、メルマガ配信の他、無料期間終了後には会員専用ページで「勝者のポートフォリオ」や「ウオッチすべき銘柄」など、具体的なポートフォリオの提案や銘柄の売買アドバイスなどがご覧いただけます。原則毎月第一水曜夜は、生配信セミナーを開催。
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