「勝者のゲーム」と資産運用入門

ベアマーケットラリーには気をつけろ!
FRB議長発言で今年5回目となるラリーが終了。
今後の相場動向は景気悪化への解釈が鍵を握る太田忠の勝者のポートフォリオ 第57回

2022年11月9日公開(2022年11月8日更新)
太田 忠
facebook-share
twitter-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事
1

何度でも言う。「ベアマーケットラリーには気をつけろ!」

 私が今年になって度々口にしている言葉であり、現在の株式市場を語る際のキャッチフレーズになっている。ベアマーケットラリーとは、弱気相場の中での上昇局面を指し、大きな下落トレンドの中でしばしば発生する。「おっ、いよいよ底打ちか?」「そろそろ買えるタイミングだよね」と思ってラリーについて行くと、突然、手のひらを返されたように下落が始まり、あれよあれよという間に安値を更新してしまうのが特徴だ。今年の米国市場がまさにこの「ダマシ上げ」の連続になっているため、「ベアマーケットラリーには気をつけろ!」と発信している。

 昨年末のNYダウは3万6338ドル。そこから反発を繰り返しながら9月30日には2万8725ドルまで下落した。下落幅は7613ドル安、ちょうど25%の下落率となった。その間に発生した反発局面は小さなものも含めると4回あった。すなわち、4度にわたって「もうそろそろ…」「底打ちだよね」と解釈してエントリーし、「あー、騙された!」という投資家たちが大勢いたというわけである。

 もう少し詳しく見てみると、4回目の反発である6月17日の2万9888ドルから8月17日の3万4152ドルまで4264ドル高、14.3%上昇した大きなラリーの局面では、まさに「前のめり」の楽観論が支配していた。「原油価格が下がり始めた」「株式市場にとって一番の悩みの種であるインフレはそろそろピークアウトだ」「さあ今こそ、株の絶好の買い場!」という雰囲気に満ち溢れていたが、その後のCPI(消費者物価指数)ショックで楽観論は見事に打ちのめされ、6月17日に安値をさらに下回る年初来安値を更新し、9月30日には2万8725ドルまで下落した。

11月のFOMCのFRB議長発言で5回目のベアマーケットラリーが終了

 そして5回目のベアマーケットラリーが始まった。9月30日の2万8725ドルから10月28日の3万2861ドルまで一気に4136ドル高、14.4%上昇という再び大きなラリーがやって来た。この結果、10月の月次でのNYダウの上昇率は+14.0%となり1976年1月以来の大きな上昇を演じた。

 「えっ、今の不透明な相場環境で46年ぶりの上昇率って、そんな大きな要因はあるの?」という疑問が湧いてくるが、実質的には何もない。これはまたもや「前のめり」の楽観論で形成されたお祭り騒ぎである。「米連邦準備理事会(FRB)は11月に0.75%の利上げをするが、12月は0.50%へと利上げペースを引き下げる」「おっ、いいね、もう金融緩和になってきたよね」「ここはもう大底だから、先回りして買わなきゃ!」という理屈である。

 ところが、11月2日のFOMCにおいてFRBのパウエル議長によってその楽観論は打ちのめされた。予想通り4回連続となる0.75%の利上げが決定され、政策金利は4.00%まで上昇。声明発表において「12月はいったん利上げペースを緩める」との方針が示唆されたことでその日のNYダウは一時418ドル高まで買われたものの、パウエル議長が記者会見で「利上げ停止の検討は時期尚早」「政策金利は我々の想定よりも高水準になる」との見解を述べたため結局は505ドル安と急落。1日で900ドル以上の乱高下となり、金融引き締め長期化への警戒感が高まった。

※この連載は、ワンランク上の投資家を目指す個人のための資産運用メルマガ『太田忠 勝者のポートフォリオ』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、メルマガ配信の他、無料期間終了後には会員専用ページで「勝者のポートフォリオ」や「ウオッチすべき銘柄」など、具体的なポートフォリオの提案銘柄の売買アドバイスなどがご覧いただけます。原則毎月第一水曜夜は、生配信セミナーを開催。

 

国内外で6年連続アナリストランキング1位を獲得した、
トップアナリスト&ファンドマネジャーが
個人投資家だからこそ勝てる

「勝者のポートフォリオ」を提示する、
資産運用メルマガ&サロンが登場!

老後を不安なく過ごすための資産を自助努力で作らざるを得ない時代には資産運用の知識は不可欠。「勝者のポートフォリオ」は、投資の考え方とポートフォリオの提案を行なうメルマガ&会員サービス週1回程度のメルマガ配信+ポートフォリオ提案とQ&Aも。登録後10日間は無料!

太田忠の勝者のポートフォリオ

10日間無料 詳細はこちら※外部サイトに移動します


ポール・サイ 米国株&世界の株に投資しよう!
【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】2人の専門家がおすすめの「最優秀カード」が決定!2021年の最強クレジットカード(全8部門)を公開! 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カードは、 本当は“ゴールド”ではなく“プラチナ”だった!? 日本初のゴールドカードの最高水準の付帯特典とは? 高いスペック&ステータスを徹底解説!アメリカン・エキスプレスおすすめ比較 おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

買っていい高配当株
米国株150診断
最新理論株価

11月号9月21日発売
定価780円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[買っていい高配当株/米国株診断]
◎第1特集
買っていい高配当株は87銘柄!
人気の株500+リート14激辛診断2023秋

●儲かる株の見つけ方[1]旬の3大テーマ
第1四半期高進捗/円安が追い風/半導体・AI
●儲かる株の見つけ方[2]5大ランキング
第1四半期で上方修正した株/PBRが低い株/高配当利回り/少額で買える/理論株価と比べて割安
●儲かる株の見つけ方[3]セクター別の指標平均
配当利回り1位は石油・石炭!
●2023年夏のイチオシ株21
10万円株7/高配当株7/株主優待株7
●気になる人気株売り×買い分析
大型株393/新興株86/Jリート10

 

◎【別冊付録・その1】

割安か割高かがパッとわかる!
全上場3905銘柄の最新理論株価
◎【別冊付録・その2】

全28ページ!株や投信の選び方も!
新NISA入門「成長投資枠の儲けワザ」編
 

◎第2特集
人気のS&P500は来年夏に最高値へ
米国株150診断

●新NISAで米国株を買うべき4つの理由
●GAFAM+αで安心して持てる6銘柄
●20年増配が続く株
●20年ずっと株価が上がる株

●世界を変えるテーマ株を探せ!
●人気の126銘柄の投資判断
●NASDAQ46
●ニューヨーク証券取引所
●バフェット&孫社長に乗れ


◎第3特集
世界のインデックス丸わかり!
米国株vs全世界株どの指数に投資する?


◎人気連載もお楽しみに!

●マンガ恋する株式相場
「愛情のお返し!? 増える株主還元」
●マンガ
「長時間労働が常態化。残業代が出ない教師のブラック労働」

●おカネの本音!VOL.14「徳川家広さん」徳川19代目が語るあの将軍の裏バナシや昔と今の日本経済!
●人気毎月分配型100本の「分配金」速報データ!
「予想分配金提示型は高分配を維持!今回から6本を入替え!」


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

【法人カード・オブ・ザ・イヤー2023】 クレジットカードの専門家が選んだ 2023年おすすめ「法人カード」を発表! 「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報