何度でも言う。「ベアマーケットラリーには気をつけろ!」
私が今年になって度々口にしている言葉であり、現在の株式市場を語る際のキャッチフレーズになっている。ベアマーケットラリーとは、弱気相場の中での上昇局面を指し、大きな下落トレンドの中でしばしば発生する。「おっ、いよいよ底打ちか?」「そろそろ買えるタイミングだよね」と思ってラリーについて行くと、突然、手のひらを返されたように下落が始まり、あれよあれよという間に安値を更新してしまうのが特徴だ。今年の米国市場がまさにこの「ダマシ上げ」の連続になっているため、「ベアマーケットラリーには気をつけろ!」と発信している。
昨年末のNYダウは3万6338ドル。そこから反発を繰り返しながら9月30日には2万8725ドルまで下落した。下落幅は7613ドル安、ちょうど25%の下落率となった。その間に発生した反発局面は小さなものも含めると4回あった。すなわち、4度にわたって「もうそろそろ…」「底打ちだよね」と解釈してエントリーし、「あー、騙された!」という投資家たちが大勢いたというわけである。
もう少し詳しく見てみると、4回目の反発である6月17日の2万9888ドルから8月17日の3万4152ドルまで4264ドル高、14.3%上昇した大きなラリーの局面では、まさに「前のめり」の楽観論が支配していた。「原油価格が下がり始めた」「株式市場にとって一番の悩みの種であるインフレはそろそろピークアウトだ」「さあ今こそ、株の絶好の買い場!」という雰囲気に満ち溢れていたが、その後のCPI(消費者物価指数)ショックで楽観論は見事に打ちのめされ、6月17日に安値をさらに下回る年初来安値を更新し、9月30日には2万8725ドルまで下落した。
11月のFOMCのFRB議長発言で5回目のベアマーケットラリーが終了
そして5回目のベアマーケットラリーが始まった。9月30日の2万8725ドルから10月28日の3万2861ドルまで一気に4136ドル高、14.4%上昇という再び大きなラリーがやって来た。この結果、10月の月次でのNYダウの上昇率は+14.0%となり1976年1月以来の大きな上昇を演じた。
「えっ、今の不透明な相場環境で46年ぶりの上昇率って、そんな大きな要因はあるの?」という疑問が湧いてくるが、実質的には何もない。これはまたもや「前のめり」の楽観論で形成されたお祭り騒ぎである。「米連邦準備理事会(FRB)は11月に0.75%の利上げをするが、12月は0.50%へと利上げペースを引き下げる」「おっ、いいね、もう金融緩和になってきたよね」「ここはもう大底だから、先回りして買わなきゃ!」という理屈である。
ところが、11月2日のFOMCにおいてFRBのパウエル議長によってその楽観論は打ちのめされた。予想通り4回連続となる0.75%の利上げが決定され、政策金利は4.00%まで上昇。声明発表において「12月はいったん利上げペースを緩める」との方針が示唆されたことでその日のNYダウは一時418ドル高まで買われたものの、パウエル議長が記者会見で「利上げ停止の検討は時期尚早」「政策金利は我々の想定よりも高水準になる」との見解を述べたため結局は505ドル安と急落。1日で900ドル以上の乱高下となり、金融引き締め長期化への警戒感が高まった。
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