「勝者のゲーム」と資産運用入門

10月の米CPI発表で米国株は全面高!インフレピークアウトで、今後の景気減速を無視して株は上がっていくのか?太田忠の勝者のポートフォリオ 第58回

2022年11月16日公開
太田 忠
facebook-share
twitter-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

10月の米CPIを好感し、株式はラリーが発生。為替は約6円の円高が進行

 先週木曜日のNY市場に驚愕―。11月10日は大注目の10月の米消費者物価指数(CPI)の発表日だった。日本時間の午後10時30分。発表と同時に米国株式先物は急騰してCPIの数字を即、好感する形となった。

 これまでのCPIの発表はどちらかと言えば、事前予想を上回る悪い数字が出て株式市場が下落する展開が多かった。その一番典型的だったのが9月13日のCPIショックである。その日のNYダウは1276ドル安と今年最大の下げを記録。8月中旬の直近高値3万4152ドルからわずか3週間でNYダウは3万1145ドルへ3007ドル安の8.8%下落と急落した。

 8月のCPIは前年同月比で+8.3%と事前予想の+8.1%をわずかに上回ったとはいえ、6月の+9.1%、7月の+8.5%からは下落傾向にあり、前向きに捉えられてもおかしくはなかった。しかしながら、食品・エネルギーを除く実力値ベースでのコア指数が+6.3%と7月の+5.9%より大きく上回ったのだ。これはインフレの本質が露わになったことを示している。すなわち、7月のCPIまでのマーケットの期待は「インフレはエネルギー価格の高騰が主要因」「もうすぐ原油相場が落ち着くからピークアウトする」というものだった。ところが8月のCPIでのマーケットの反応は「エネルギー以外、全部が値上がり!」「もはやエネルギーだけでは説明が付かない」に様変わりし、「これからインフレが長引きそう…」との失望感に変わった。「9月のFOMCは+0.75%ではなく+1.0%の利上げかも」という見方も伴ったことで今年最大の下げを演じた。

10日のNYダウは1201ドル、ナスダックは760ポイント高と記録的上昇

 10月のCPIは+7.7%と事前予想の+8.0%を下回り、9月の+8.2%よりも低下。肝心のコア指数のほうも+6.3%と事前予想の+6.5%を下回り、9月の+6.6%よりも低下した。すなわち、これまで見られなかった幅での下振れとなり「インフレはそろそろピークアウトだ!」という解釈がなされ、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めペースが鈍るとの観測、ひいては景気減速懸念後退への期待が高まった。NYダウは3.7%上昇の1201ドル高、ナスダックは7.4%上昇の760ポイント高という記録的上昇となった。その結果、NYダウは8月中旬以来の3万3715ドルとなり、ナスダックは前日に年初来安値接近の1万353ポイントから1万1114ポイントまで急回復する形となった。まさに9月13日のCPIショックとは真逆の動きだ。

 こうした急激な変化は株式市場にとどまらず、為替は発表直前の146円台から一気に140円台へと強烈なドル売り円買いが起こり、10年物の長期金利は4.08%から3.81%へ0.27%も低下するというダイナミックな動きとなった。

 私が先週のコラムで話題にした「ベアマーケットラリーには気をつけろ!」という考えを木端微塵にする過激な動きである。パウエル議長は12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)において金利引き上げペースをいったんスローダウンさせる可能性を示唆していたが、今回のCPIの結果により5回連続の0.75%の引き上げではなく、0.50%に間違いなくするだろう。FRBがCPIよりも重視している個人消費支出(PCE)物価指数の動向を見極めた上で1月以降どう舵取りをするかが注目される。さらにCPIコア指数の今後のトレンドにも要注目である。

今後の相場動向を占う2つのポイント

 ここからの私の関心事はずばり、次の2点である。

①インフレピークアウトという事実だけで、今後の景気減速を無視してまで買い上がっていくのか?(逆業績相場をすっ飛ばす形での金融相場に向けての動き)      

②景気減速が強まることで再び売り基調となり、早駆けのベアマーケットラリーが終了する(逆金融相場から逆業績相場への移行)

 米国の2年物短期金利と10年物長期金利の逆イールドは相変わらず-0.5%前後と過去最大レベルのギャップとなっており、景気減速は避けられないだろう。その状況において、たとえ前年同月比のインフレ上昇率が低下してもインフレ自体は高止まりの状態が続き、政策金利を5%程度の高水準に長くとどめる必要が出てくれば、マーケットの反応はどうなるのか? これはまだ未知の局面であるが、今後いろいろと難しい判断が試されそうだ。

 さて、マーケットである。相変わらず大きなボラティリティが続いているが、私がDFR(ダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ)で投資助言をおこなっている「勝者のポートフォリオ」は先週アンダーパフォームだった。キャッシュポジションを多めに持っていること、バリュー株を手厚く保有していることで相場の全面高にはついていけなかった。ここはブレることなく淡々と取り組んでいきたいところだ。

Webセミナーでは、来たるべき金融相場での銘柄選択のポイントを紹介

 DFRでは毎月第1水曜日の20時からWebセミナーを開催している。このところ回を追うごとに参加人数は過去最高を更新している。前回の11月2日は『来たるべき金融相場で想定されること ― 今から準備をしておこう』という相場を先取りした内容のセミナーをおこなった。これまで徹底的に売られてきた小型グロースが大きく巻き返す、という流れになった場合にどういう切り口で銘柄選択をおこなえばよいかについて話したのだが、質疑応答も活発で非常に好評だった。次回は12月7日に開催の予定である。会員限定であるが、10日間の無料お試し期間での参加も可能である。興味がある方はぜひとも「勝者のポートフォリオ」のサイトを覗いて欲しい。数多くの勝ち組投資家を育てるのがDFRにおける私の目標である。

●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもメルマガ配信などで活躍。

※この連載は、ワンランク上の投資家を目指す個人のための資産運用メルマガ『太田忠 勝者のポートフォリオ』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、メルマガ配信の他、無料期間終了後には会員専用ページで「勝者のポートフォリオ」や「ウオッチすべき銘柄」など、具体的なポートフォリオの提案銘柄の売買アドバイスなどがご覧いただけます。原則毎月第一水曜夜は、生配信セミナーを開催。

 

国内外で6年連続アナリストランキング1位を獲得した、
トップアナリスト&ファンドマネジャーが
個人投資家だからこそ勝てる

「勝者のポートフォリオ」を提示する、
資産運用メルマガ&サロンが登場!

老後を不安なく過ごすための資産を自助努力で作らざるを得ない時代には資産運用の知識は不可欠。「勝者のポートフォリオ」は、投資の考え方とポートフォリオの提案を行なうメルマガ&会員サービス週1回程度のメルマガ配信+ポートフォリオ提案とQ&Aも。登録後10日間は無料!

太田忠の勝者のポートフォリオ

10日間無料 詳細はこちら※外部サイトに移動します


一番売れてる月刊マネー誌『ダイヤモンド・ザイ』の“決算入門講座”が開講!詳しくはこちら!
最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード! 新しいFXの自動売買!「世界通貨セレクト」の3つの魅力とは?ザイ編集部が動画で解説!
マネックス証券の公式サイトはこちら 楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード! 新しいFXの自動売買!「世界通貨セレクト」の3つの魅力とは?ザイ編集部が動画で解説!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

最強日本株
第1四半期絶好調株
ふるさと納税

10月号8月21日発売
定価950円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[2025年夏の最強日本株]
◎巻頭特集
人気20銘柄の最新判断も!
初速がスゴイ!第1四半期絶好調株
●2025年後半の主役はコレ!快進撃の人気株
●配当&値上がりの両狙い!即買い高配当株
●業績好転で上昇に弾み!急騰狙いの逆襲株

◎第1特集
高利回りも大化けも!
買いの105銘柄を一挙紹介
2025年夏の最強日本株
●買い時は9~10月!日経平均は4万8000円
●強気派VS弱気派の戦い方
●安心して持てる人気株!大型優良株

1位:ソニーグループ 2位:NEC
●配当利回り4%以上がズラリ!高配当株
1位:伊藤ハム米久HD 2位:INPEX
●優待+αが狙える!株主優待株
1位:サイバーエージェント 2位:ラウンドワン
●お手ごろ価格で買え分散も!10万円未満株
1位:ソフトバンク 2位:野村不動産HD
●まだ上がっていない割安株!出遅れ株
1位:SRE HD 2位:ウエストHD
●大化け期待の中小型株!新興市場株
1位:Aiロボティクス 2位:タイミー
●リスクをとって資産増を狙え!1年で2倍株
1位:インティメート・マージャー

◎第2特集
サボったら家族がこんなに困る!
投資家のための終活大全

●「口座情報の共有」が第一歩!財産の一覧表を作ろう
●信用取引やFXは特に注意!株の相続の基本を知ろう

●子どものいない夫婦は要注意!30代でも遺言書は必要!?

◎第3特集
☆☆☆の数を見るだけでOK!
NISAで売れてる投資信託をズバ斬り!
投信格付240

●見直し!NISAで買う投資信託の選び方
●NISAで最安投信!インデックス型
●大きな利益を狙う!アクティブ型
●リスクを抑えられる!バランス型

【別冊付録】
ポイント還元終了の駆け込み直前!
ふるさと納税45品

●ポイント還元が終わる前におトクなサイトで寄附を!
●10月以降はどのサイトで寄附する?
●肉/魚介類/果物野菜/お菓子/日用品

◎連載も充実
​●NEWS:「ホームラン級の爆騰も⁉ 大谷翔平スポンサー株本命3選」 
●次の1カ月何が起きる?プロが今の株式相場のポイントを解説!
「米国の値下げ狙いで再び4万円台が定着か」
●ZAi編集部の新人・ザイゼンがチャレンジ!目指せ!お金名人
「車は買う? 借りる?」
●10倍株を探せ!IPO株研究所2025年7月編
「初値4倍超の銘柄も! ただし過熱感に注意」
●17億円トレーダー・ジュンのFX成り上がり戦略
「セル・ザ・ファクトには要注意!」
●連載・おカネの本音 レンタルなんもしない人さん
「令和の新しい生存戦略。“なんもしない”で家族と生活していく!」
●マンガ恋する株式相場「100g175万円! 恋のゴールドラッシュ」
●マンガ「デメリットの回避策も! 事実婚のお金事情」


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報