カリブ海旅行最終日のポールさんが、経済番組に再びヨットの中から出演したワケは?
元フィデリティ投信トップアナリストで、米国・シアトルからメルマガ&オンラインサロン「米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしているポール・サイさんが、東京MX2で毎週月曜~金曜22時から放送されている、「WORLD MARKETZ」に電話でゲスト出演した。
前回の放送は、ポールさんがカリブ海のヨットから生出演するという、経済番組としてはかなり異例の展開となり、スタジオMCの渡部一実さんやアシスタントの木村カレンさんも、ポールさんのヨットFIRE生活に興味津々の様子だった。
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今回の放送時も、ポールさんはカリブ海のグレナダに滞在中。旅行の最終日で、シアトルへ戻る飛行機を待っている間の出演となった。そんなポールさん、旅行最終日にもかかわらず、なぜかまたもやヨットの中から電話出演していて―――どうしてそんなことになったのか、早速チェックしていこう。
ホテルにいるより、ヨットにいるほうが、インターネット回線が安定しているのは「スターリンク」のおかげ!
前回の放送で、カリブ海の島々をヨットで転々としながら、最終的にフランス領のマルティニーク島を目指していることを明かしてくれたポールさんだったが、マルティニーク島には無事に到着できたとのこと。
その後、マルティニーク島からヨットの拠点としているグレナダまで、一人で一晩かけて帰るという初体験のチャレンジをしたそうで、月明かりがなくて水平線が見えず、少し迷子になりながらも、なんとか無事に帰れたことに充実感を漂わせていた。
普段、シアトルで生活している間、グレナダに置いてあるヨットはどうしているのかというと、ハリケーンを避けるために陸揚げしているとのこと。
実はポールさん、今回の放送はグレナダのホテルから電話出演するつもりだったのだが、インターネット回線が不安定だったことを理由に急遽、陸揚げしたヨットの中から電話出演していた。
そもそも、ヨットの中にいるほうが、ホテルにいるよりずっと、インターネット回線が不安定になりそうなものだが、ポールさんは、ある秘密兵器を使うことで、カリブ海のヨットの中どころか、世界中どこでもインターネットができる環境を手に入れているのだ。
その秘密兵器というのは、前回の放送でも紹介した、イーロン・マスク氏が率いるスペースXが展開する衛星インターネット「スターリンク」だ。
スターリンクについて詳しくは、前回の放送をまとめた以下の記事を見ていただきたい。ちなみに、今回の放送前に、ポールさんがスターリンクの回線速度を調べたところ、100Mbpsは出ていたとのことだった。
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FRBは金融を引き締めてブレーキを踏んでいるが、急ブレーキを踏んでいるわけではない
ここで、スタジオMCの渡部さんが、米雇用統計、米CPI、米PPI、米小売売上高、米PCEデフレーターといった2月の米国の経済指標が強く、米金利が上昇していることに触れ、米国は引き締めを行っているけれど、リセッションにはならなさそうなのかという質問をした。
ポールさんは、景気が鈍化して、GDPが2四半期連続でマイナス成長となる、リセッションの定義に当てはまることにはなるかもしれないけれど、それほど大きな鈍化にはならないと考えているようだ。
その理由としてポールさんが挙げたのが、物価連動国債の5年物と10年物の利回りだ。
物価連動国債の5年物と10年物の利回りは、実質金利の指標になるそうで、1.5~1.6%で推移していて、決して高い水準ではないとのこと。
また、適正金利という理論上の金利があるのだが、その水準は0.8~1.0%。物価連動国債の5年物と10年物の利回りを、少し下回っているだけのようだ。
そのことからわかるのは、FRB(米連邦準備制度理事会)は金融を引き締めてブレーキを踏んでいるけれど、急ブレーキを踏んでいるわけではないということ。
つまり、FRBはインフレのコントロールのために金融引き締めを行うことで、必然的に景気は鈍化するものの、リーマンショックといった大きな金融危機にはつながらないということを、ポールさんは主張しているのだ。
リーマンショックでは、リーマンブラザーズが破綻した影響が広がって、大きな金融危機に陥ったわけだが、最近では、仮想通貨(暗号資産)大手のFTXが破綻したにもかかわらず、それを震源とした大きな金融危機が起きなかったということも、今後、それほど大きな景気鈍化が起きないとポールさんが考えている根拠となっているようだ。
一番大きなチャンスは金融危機が起こったとき。人類が終わらない限り、長いスパンでは、株や金融資産は戻ってくる
それでも、スタジオMCの渡部さんは、強い米経済指標が続いて、米金利が上昇し、ハイテク株が売られるという流れが、短期的に繰り返されていることが気になる様子。
それに対してポールさんは、米金利が上昇してハイテク株が下落しているときは、むしろチャンスと断言したのだった。
というのも、経済指標が強くて米金利が上昇すると、市場はテクノロジー会社の成長がなくなると織り込みがちなのだが、実際にはテクノロジー会社は成長するので、そのギャップに投資妙味があるとポールさんは考えているようだ。
さらに興味深かったのは、米金利の上昇によるハイテク株の下落は、中くらいのチャンスだと主張する、ポールさんの意見だ。
一番大きなチャンスというのは、リーマンショック、サブプライム危機が起こったときで、世の中的には悪いことが起こっているけれど、トレーダーにとっては、実はうれしいタイミングとのこと。
結局、世界の社会システムが潰れるほどの金融危機はあまり起きず、そういった危機が起こっても、人類が終わらない限り、5年から10年の長いスパンで見ると、株や金融資産は戻ってくるか、大きなインフレになるため、現金を持つと損することになるとポールさん。
コロナ禍でもそうだったが、1カ月で20~30%いきなり下落したときは、いい会社を分散してピックアップするチャンスだと教えてくれた。
エヌビディアは下がったら売って、上がったら買う心理を抑えないといけない銘柄。AIがもてはやされているときに買うと、そこまで儲からない
続いて、ポールさんが番組に出演した過去回で、ChatGPTやAIに関連して、グーグルやマイクロソフトの話を取り上げてきた経緯があり、AI関連で最近、エヌビディアが注目されていることに関する質問があった。
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エヌビディアは、画像処理やAIの分野で圧倒的な強みを持っていて、いい会社だとポールさんは考えているようだ。
エヌビディアの半導体製品が、ビットコインのマイニングに使われてきたので、エヌビディア株とビットコインが連動する性質もあるけれど、中長期でみると、ビットコイン以外にも応用できる部分があることから、いい会社だと評価していた。
一方で、バリュエーションが高く、企業価値が株価に織り込まれている会社で、株も結構ボラタイルであることから、それに耐えられる投資家には向いているという。
ここから、エヌビディアへの投資に対する、ポールさんの金言がさく裂する。
ポールさんいわく、エヌビディアは下がったら売って、上がったら買うという心理を抑えないといけない銘柄だというのだ。
ビットコインが暴落してエヌビディアも暴落したら、買って長期で持つことが大事で、AIがすごいんだとみんなが言っているときに買うと、そこまで儲からないとのことだった。
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