AIは本物で、これから一気に発展する! 大型テック株やテスラなどが恩恵を受けやすい
元フィデリティ投信トップアナリストで、米国・シアトルからメルマガ&オンラインサロン「米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしているポール・サイさんが、東京MX2で毎週月曜~金曜22時から放送されている、「WORLD MARKETZ」に電話でゲスト出演した。
前回の放送では、5月に時価総額が1兆ドルを超えたNVIDIAに注目。NVIDIA急騰の背景や今後の見通し、周辺の会社でオススメできる銘柄などを教えてもらった。
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そして、今回の放送ではまず、ポールさんの息子さんがこれから入学する高校の、PTAの銀行口座に、なぜか大金が預けられているという話題に。また、放送直前に米CPIの結果が発表されたことを受けて、FRBがインフレと金融政策をどう考えているのか、ポールさんの見方を披露。注目しているAI関連銘柄や、来年の米大統領選についても語ってもらったので、さっそくチェックしていこう。
高校のPTAの銀行口座に4200万円の預金! 短期金利が5%になっていることを知らない主婦のPTA役員
番組は、アシスタントの木村カレンさんが、ポールさんの最新情報を紹介するところからスタートした。
ポールさんには、6月に中学を卒業した息子さんがいて、ポールさん自身も中学のPTA会長をやっていたのだが、息子さんがこれから入学する高校の、PTAの役員にもなるとのこと。
高校の新年度が始まる前に、ポールさんはPTAの役員会に参加したのだが、そこでビックリしたことがあったという。
なんと、PTAの銀行口座に30万ドル、日本円で4200万円ほどの預金残高があったというのだ。
これには木村さんも、番組MCの渡部一実さんも「えっ!」と声を上げて驚き、そんな大金がなぜPTAの銀行口座にあるのか、興味津々の様子。
その理由は、PTAが開催するフリーマーケットにあるとポールさんは教えてくれた。
PTAのフリーマーケットでは、子供が成長して小さくなったスキー板を売買しており、年間15~20万ドルほど儲かっているそう。スキー板のフリーマーケットとしては、ワシントン州で最大の規模であり、儲けに対する税金もかからないため、お金が貯まっていく一方のようだ。
ここで渡部さんが、ポールさんは投資のプロなのだから、アメリカの大学が資金運用しているように、高校のPTAの4200万円を運用してはどうかと、冗談半分に提案。
ポールさんとしても、なんとか助けてあげたいけれど、高校のPTAの資金はずっと運用されていないから、遠慮しているとのことだった。
ただ、PTAの役員は主婦が中心で、短期金利が5%になっていることを知らなかったそう。30万ドルの5%は1万5000ドル、日本円だと二百数十万円と、割と大きな金額になることをポールさんが教えてあげたら、金利がゼロの地銀から、預金を移動しようという話になったそうだ。
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インフレが緩和するトレンドは変わらない。FRBが金利をビックリするほど引き上げることはなさそう
そんな金利の話の続きで、今度はFOMCの話題に。
放送直前に発表された米CPIは、ほぼ予想どおりの結果となり、FEDウォッチを見ると、6月のFOMCでは利上げはせず(※)、7月に0.25%利上げするとの見方が多くなっていることについて聞かれたポールさん。
(※6月14日(水)のFOMCでは、政策金利の据え置きが決定され、1年余り続いた利上げがいったん停止した)
このCPIの数字は、インフレが緩和している数字で、FRBは少し安心しているとポールさんはコメントした。
なぜ安心しているのかというと、このCPIが出る前まで、FRBは難しい選択を迫られていたからだそう。金利を引き上げすぎて、インフレが高く出てしまうと、さらに金利を引き上げられなくなる可能性があった。
けれど、今回はインフレが高く出ず、金利を引き上げる必要もなくなったため、少し安心しているということだった。
さらに、いろいろな指標を見てみると、インフレが緩和するトレンドは変わらないようだ。
石油や肥料の値段が、トレンドとしては下がっていて、家賃も値上げが緩和しているとのこと。
特に家賃は、アメリカの不動産情報検索サイトRedfinの資料によると、昨年3月のピーク時が前年比17.5%上昇だったものの、今は前年比マイナス0.6%まで下がっているという。
また、家賃の更新契約の統計を見ると、こちらも下がっており、これから1年間は家賃が上がらないと考えていいようだ。
そして、経済活動の指標の1つである段ボールの出荷は、3カ月移動平均の前年比がマイナス0.3%と、割とスローダウン。
賃金は5月が少し強く、前年比6%上昇していて、過去の平均である前年比3~4%からすると高いものの、経済活動、家賃、石油、肥料などはある程度落ち着いており、FRBが金利をビックリするほど引き上げることはないのではないかと、ポールさんは結論付けた。
S&P500は強気相場入りしたが、AIの恩恵を受けた7~10の大型テック株だけすごく上昇している
次は、注目している株のセクターや銘柄の話題に。
前回の放送で、NVIDIAはAIを材料に上昇していることを紹介したが、ポールさんは最近、文章を書くときにAIを使って添削したり、自分でやると大変な、ストレートな表現を丁寧にするための、かざりをつける作業を、AIにやってもらったりと、AIの進化を実感しているようだ。
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そして、こちらも前回の放送でポールさんが話していたことだが、現在のAIは、インターネットの初期に似ていて、恩恵を受けやすいのは大型テック株だという。
実際に、S&P500は安値から20%上昇して強気相場に入ったけれど、AIの恩恵を受けた7~10の大型テック株だけすごく上昇していて、ほかの銘柄は横ばいに近く、そこまで上昇していないとのこと。マクロ経済はすごく悪いわけではないが、そんなによくもないようだ。
また、1月や2月の放送で取り上げたテスラをもう一度見てみると、昨年12月に100ドルだったテスラが、今はもう250ドルまで上昇しているとポールさん。
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テスラの上昇もAIが材料なのだが、それとは別に、フォードとGMがテスラの充電規格を使うことになり、充電のネットワークが充実するといった材料もあったようだ。
現在のAIはインターネットの初期に似ているが、AIはインターネットより大きい。パズルのピースがそろい始め、発展が一気に加速する
ここまで書いてきたとおり、ポールさんは基本的に、AI関連では大型テック株とテスラなどがよさそうだと考えている。
ポールさんは、AIが本物だと確信しており、そんなAIが本格的に話題になったのはたった数カ月前で、これから先、3年、5年、10年と長いテーマになると見ているようだ。
先ほど、現在のAIはインターネットの初期に似ていると書いたが、インターネットが人類を終わらせるという話はなく、インターネットの開発を止める動きはなかったとポールさん。
一方、AIの開発を止めないと人類は終わりという話もあり、AIはインターネットより大きいものと捉えているようだ。
また、ビットコインがあったから、NVIDIAのプロセッサーが進化していったように、インターネットや仮想通貨がないと、AIは始まらなかったとのこと。
人類の進展は、いくつかのものがたまたま組み合わさって、世界中で同時に発明が出てくることが多く、AIはパズルのピースがそろい始めており、これから発展が一気に加速すると、ポールさんはにらんでいる。
アメリカ社会はこれから5年、政治的に不安定な状況に
最後は、来年の米大統領選の話題に。
共和党はトランプが圧倒的だけれど、起訴されてしまったことについて聞かれたポールさん。
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まず、トランプの起訴は悪い前例だとコメント。「韓国や台湾では、大統領がやめたあとにすぐ牢屋に入る」と、アジアの例を引き合いに出し、アメリカもそういう風になってくると、いいインセンティブが働かないと心配していた。
ただ、トランプが起訴されても、支持率が下がるわけではないようだ。
起訴された事項も、違反は違反だけれど、書類の扱い方が乱暴だったといった細かいことだそう。どの政治家でも、バイデンでも、同様のことで起訴されていないことを考えると、アンフェアだと思うし、司法の政治化はアメリカにとってよくないとポールさん。
バイデンが相当弱いから、トランプを恐れて、司法に頼らざるを得ないと思っているのか、トランプが大統領になっても怖いし、無罪になっても司法のメンツが潰れるしで、いずれにしても、アメリカ社会はこれから5年、政治的に不安定な状況に入ると、ポールさんは懸念していた。
ここまで、6月13日(火)放送の「WORLD MARKETZ」に電話出演した、ポールさんのマーケット解説を中心にお届けした。
冒頭でも紹介したとおり、ポールさんはメルマガ&オンラインサロン「米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしている。登録後10日間は無料だ。米国株投資をしてみたい、すでにしているけどもっと現地からの情報が欲しい、ポールさんが推奨する個別銘柄やポートフォリオを見てみたいという人は、こちらをぜひ登録してみてほしい。
(ザイ投資戦略メルマガ)
●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガ「米国株&世界の株に投資しよう!」を配信中
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