「投信グランプリ2023・日本中小型株部門」で優秀賞に輝いた投資信託「波物語」のファンドマネジャーに、有望株の探し方や運用時に参考にしている指標を聞いた!
ダイヤモンド・ザイは、国内で販売されている「アクティブ型」投資信託を評価し、好成績の商品を表彰する「投信グランプリ2023」を実施! ダイヤモンド・ザイ8月号では「投信グランプリ2023」で「最優秀賞」「優秀賞」を獲得した投資信託を運用するファンドマネジャーに、インタビューを敢行! 銘柄の見つけ方からトレードの仕方まで、存分に語ってもらっているので、個人投資家にも参考になるはずだ。
今回はその中から、アセットマネジメントOneのファンドマネジャー・岡田直人さんのインタビューを公開!
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5年間の運用成績が+42.9%の「波物語」などを手掛ける
ファンドマネジャーの銘柄研究スタイルとは?
「投信グランプリ2023」では「アクティブ型」の投資信託を、運用対象によって「日本株総合」「日本中小型株」「米国株」「新興国株」など7つのジャンルに分け、それぞれの成績や安定感などで“最優秀賞“や”優秀賞”を選んでいる。
今回は「日本中小型株部門」で優秀賞を獲得した「波物語[新光小型株オープン]」を運用する、アセットマネジメントOneのファンドマネジャー・岡田直人さんに話を聞いた。
まず、投資対象の探し方だが、岡田さんは業績が伸びている会社を見つけると、その企業を取り巻く環境から取引先まで、隅々まで調べていくという。
「モノづくりの会社なら、原材料は何か、販売先、よく売れている原因、競合とのシェア争い、潜在的な競合相手などなど、一つの会社を取材するだけで、いろんなことを教えてくれます」(岡田さん)
最近、岡田さんが注目したのがペロブスカイト太陽電池だ。フィルム型の太陽電池で、岸田政権が新エネルギー政策の一つとして掲げ、積水化学工業や東芝が実用化に向けて動いている。
岡田さんのリサーチはそこで終わらない。ペロブスカイトの主原料はヨウ素と鉛で、ヨウ素は日本が主要生産国でもある。それでは、ヨウ素を生産しているのはどこか――と、次々に周辺領域を調べ、取材していく。その中に投資のヒントが埋もれていることもあるからだ。
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「PEGレシオ」で株価の割安度を判断!
事業の成長速度と比較して、株価が割安かどうかを見極める!
中小型株は、上昇する銘柄を見つけるのが難しいばかりでなく、株価の変動も激しい。そこで、岡田さんに、何を基準として売買のタイミングを図っているか聞いた。
岡田さんが使っている指標は「PER÷成長率」で算出される「PEGレシオ」。成長株の指標としてよく使われるものだ。
岡田さんは「PEGレシオが1倍以下なら割安」と判断しているという。たとえば、PERが40倍で成長率44%なら、PEGレシオは0.9倍だ。成長率は営業利益の年率成長で、岡田さんは3年分を予想している。
「投資した銘柄は、できればずっと持ち続けたい。ただ、PEGレシオが2倍を超えたり、株価が移動平均線と大きく乖離したりすると要警戒サイン。割高感が出ており、投資比率を調整します」(岡田さん)
中小型株はアナリストや機関投資家が対象としていないことが多いため、「株価が割高になっていたり、割安になっていたり、適正でないことがあります。ここにアクティブファンドの運用者が投資するチャンスがある」と、岡田さんは言う。個人投資家であっても、この辺りは参考にできそうだ。
このところ、日本株市場では大型株や割安株の動きがいい。だが、岡田さんは「実は、中小型株のファンドマネジャーにとって、いまは快適な環境。PEGレシオで見ても割安な銘柄が増えており、投資チャンスが到来しています」と語る。
スゴ腕ファンドマネジャーに倣って、いまこそ中小型株をウォッチしてみるといいかもしれない。
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