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シアトル在住FIREが、スイスのリゾート地から経済番組に生電話出演! 日本は金利が引き上げられず、構造改革も実現しないため、円安はしばらく続く

2023年7月14日公開(2023年7月14日更新)
ポール・サイ
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スイスのアルペンリゾート地から、経済番組に生電話出演! スイスの金融事情はどうなっている? 円安は構造改革がない限り、しばらく続きそう

 元フィデリティ投信トップアナリストで、米国・シアトルからメルマガ&オンラインサロン「米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしているポール・サイさんが、東京MX2で毎週月曜~金曜22時から放送されている、「WORLD MARKETZ」に電話でゲスト出演した。

ポール・サイさんプロフィール

 前回の放送では、欧州各国に旅行中のポールさんが、トルコから生電話出演! トルコが通貨安やハイパーインフレに悩まされ続けている背景を解説した。また、トルコと少し形は違うものの、日本も通貨安やインフレになっており、日本人ができる対策は何なのかを教えてくれた。
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経済番組にトルコから生電話出演! トルコの通貨安やハイパーインフレは、少し形が違うものの、日本にも当てはまる。その対策は分散投資しかない!

 そして、今回の放送でも、ポールさんは引き続き欧州旅行中。スイスのアルペンリゾート地、インターラーケンからの生電話出演となった。永世中立国で金融立国のイメージもあるスイスの、実際の金融事情はどうなっているのかを語り、最近急速に進んでいる円安についても、ズバリと切り込んでもらったので、さっそくチェックしていこう。

前回放送時はトルコに滞在していたが、そこからギリシャ、イタリア、スイスと移動

 番組冒頭は、ポールさんの欧州旅行の話題に。FIRE組のポールさんは、なんともうらやましいことに、6月から7月にかけてお子さんたちと欧州旅行中なのだ。

 前回の放送時、ポールさんはトルコのイスタンブールに滞在していたのだが、そこからギリシャ、イタリアと移動し、現在はスイスのアルペンリゾート地、インターラーケンに着いたようだ。

 以下は、ポールさんが番組に提供したギリシャとイタリアの観光写真だ。記者の子ども時代、親と欧州旅行に行った記憶は……ない。ポールさんのお子さんは今、とんでもなく貴重な体験をしているのではないだろうか。

ギリシャのアテネで見つけたギリシャたこ焼き。パン生地で、ソーセージが入っている
イタリア・ローマのコロセウム。建国記念日で無料で入れたが、列に2時間並んだ
イタリア・フィレンツェのダビデ像
イタリア・ヴェネチアの夜道
イタリア・ヴェネチアののキャナルでカヤック

スイスは実質EUと一体になっており、永世中立国やNATO未加盟という特徴が薄れてきている

 アシスタントの木村カレンさんに、スイスの気候はどんな感じか聞かれたポールさん。滞在しているところは軽井沢のような雰囲気で、夏でも涼しそうとのことだった。

 また、番組MCの渡部一実さんは、EU(欧州連合)に加盟しているイタリアから、EUに加盟していないスイスへと、スムーズに通関できるものなのかが気になるようだ。

 スイスはEUに加盟していないものの、ビザなしで出入りできる地域に入っていると、ポールさんは教えてくれた。スイスはEUと、貿易などさまざまな面で条約を結んでおり、実質EUと一体になっているとのこと。現地のお店では、スイスフランだけでなく、ユーロも自由に使え、スイスフランとユーロのどちらで支払うか、聞かれたりもしたそうだ。

 そんなスイスは永世中立国で、NATO(北大西洋条約機構)にも加盟していないという特徴があるが、ポールさんから見ると、現在のスイスはそういった特徴が薄れてきているという。

 ヨーロッパは何千年という歴史の中で、小さい国同士の戦争が多く、だからこそ、スイスの中立という立場が重要だったとポールさん。ただ、今はEU内で戦争が起きる気配はなく、アメリカが世界の支配的な立場にあるため、スイスの特徴が薄れていると感じているようだ。

スイス金融の匿名性や安全性は弱まってきている

 続いては、スイスの金融事情の話題に。

 渡部さんはスイスについて、プライベートバンク、お金持ちの口座、ゴルゴ13がスイス銀行にお金をたくさん預けているなど、金融立国のイメージを持っていて、ポールさんは今までのお仕事で、スイスの銀行や会社とお付き合いはあったのかと質問した。

 ポールさんがフィデリティ投信にいた時代に、クレディスイスやUBSと株式の取引があり、それぞれの証券アナリストとのお付き合いもあったとのこと。

 ただ、スイスだから特別ということはなく、クレディスイスやUBSは、ゴールドマンサックス、モルガンスタンレー、大和証券、野村證券と似たような立場だったようだ。

 ポールさんのお父さんや、お父さんのビジネス上のパートナーは、スイスのブランド力や世界的なサービスに期待して、UBSの口座を持ったりしていたけれど、ポールさん個人としては、スイスの銀行は安全だからこそ、もっと取引したいといったこだわりはなかったとコメントした。

 すると、渡部さんから、クレディスイスをUBSが買収したことで、ヨーロッパの金融地図が変わることについては、どう見ているのかと質問が飛ぶ。

UBS 日足 (出所:TradingView)

 これに対し、ポールさんは、私たちが今いる世界ではアメリカが一番強くて、スイスやヨーロッパはアメリカの金融システムの傘下にあると言い切ったのだった。

 もともと、スイスにお金を預けるインセンティブとして、匿名性や安全性が挙げられるが、匿名性の機能は弱まっているとのこと。アメリカから、マネーロンダリングなど、いろいろな意味でプレッシャーがかかっており、匿名性を維持するのは難しいようだ。

 また、スイスの安全性は、スイスが永世中立国というところから来ているけれど、今回、クレディスイスの問題もあったように、スイスだから安全というわけではないそう。

 今の世界はアメリカ帝国の傘下にあるため、アメリカが安全で、世界一安全な銀行は、JPモルガンなどアメリカの大きな銀行になるし、匿名性を得るには、例えばアメリカのワイオミング州のLLC(有限責任会社)を使えばよいため、スイスの匿名性や安全性は弱まっているとポールさんは考えているようだ。

 UBSによるクレディスイスの買収によって、コスト削減できるのはいいことだけれど、富裕層は同じ銀行にすべての資産を預けたいと思わないため、資産が流出する可能性もあるとのこと。クレディスイスとUBSが1つになり、他の戦略による生き残り方がもしも見つかれば、それはヨーロッパにとってプラスだと思うと、ポールさんは結論付けた。

円安は構造的な問題。日本は金利を引き上げられない状態で、構造改革や生産性の改善もないのであれば、円安トレンドはしばらく続く

 次に、渡部さんが話題として提案したのは、最近急速に進んでいる円安についてだ。

 ポールさんはまず、円安は構造的な問題だと切り出した。コロナ禍では、日本も世界も低金利、低インフレの横並びで問題はなく、その時期に、日本が構造改革を深くやっていなかったことも、特に問題にはならなかったそう。

 ただ、コロナ後の世界は、アメリカを中心にインフレが進行。金利引き上げに伴う日本との金利差で、為替は円安になっており、これは短期的には変わらないようだ。

 アメリカの景気は、金利が5%以上に引き上げられてもまだまだ強いとポールさん。なぜかというと、アメリカは生産性の改善や、経済の競争が激しく、速いペースで進化しているためだという。

 その一例として、ポールさんが挙げたのが、メタとツイッターの話だ。ツイッターはイーロン・マスクに買収されて、半年ほどいろんな問題があったけれど、その間にメタはチャンスを掴んで、新しい製品である「Threads」を出した。この動きの速さこそ、アメリカ社会独特のものだと指摘した。

メタ 日足 (出所:TradingView)

 アメリカが金利を引き上げると、普通は成長株が下がるけれど、今回はそこまで下落しておらず、逆にほかの会社が下落したとポールさん。AIのタイミングもラッキーで、本当は大きく調整する場面だったのに、ちょうどいいタイミングでAIの話が熱くなったとのこと。そのAIの分野でも、アメリカが一番最先端にいて、アメリカ景気の強みとなっているようだ。
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 これらのことを考えると、ずっと一方的に円安になるわけではないものの、日本が金利を引き上げられない状態で、構造改革と生産性の改善もないのであれば、アメリカの金利低下を待つしかないとのこと。ただ、アメリカは次に金利を引き上げる可能性があるため、円安のトレンドはしばらく続くと、ポールさんは考えている。

日本人はアメリカ株や世界株など、世界的に通貨を分散しなければならない

 だからこそ、日本人はアメリカ株や世界株など、世界的に通貨を分散しなければいけないとポールさんは強調する。

 昔はスイスのプライベートバンカーがいなければ、世界に分散投資はできなかったけれど、今は誰でもスマホさえあれば、世界のどこまでも調べて、投資もできるのだ。

 日本国にとっては、みんなで円資産をもって、日本株や日本国債を買ったほうが、国に貢献できるという話だけれど、個人的にそこまで考えられないのなら、いろんなところに分散して、自分を守りにいったほうがいいのでは、というのがポールさんの考えだ。

 ここで、渡部さんが「日本は外圧、黒船が来ないとやらない」とコメント。

 これに対し、ポールさんは、黒船は死活問題で、やらないと殺されるかもということだったが、今はじわじわと物価が高くなっているだけで、日本人はそこまで外圧を感じていないかもしれないと答えた。

 黒船来航から、明治維新という政治的な改革につながったわけだが、日本の選挙の投票率は低く、投票率が上がらないと政治的に大きな変化は起きないとポールさん。

 日本の人口を見ると老人が多く、老人は既得権益者で、改革を必要としない一方、日本の若者はおとなしく、世界中の若者のようにデモなどをしないことも、ポールさんは気になるようだ。

 アメリカの構造改革は、社会的な和を考慮せず、庶民に痛みを伴わせながらも、社会や経済がどんどん先に進む一方、日本は現状維持が優先されていて、構造改革や改善が遅くなることをポールさんは憂いていた。

 ここまで、7月11日(火)放送の「WORLD MARKETZ」に電話出演した、ポールさんのマーケット解説を中心にお届けした。

 冒頭でも紹介したとおり、ポールさんはメルマガ&オンラインサロン「米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしている。登録後10日間は無料だ。米国株投資をしてみたい、すでにしているけどもっと現地からの情報が欲しい、ポールさんが推奨する個別銘柄やポートフォリオを見てみたいという人は、こちらをぜひ登録してみてほしい。

(ザイ投資戦略メルマガ)

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガ「米国株&世界の株に投資しよう!」を配信中

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