先週は株式市場の先行きを決めるFOMCと日銀の金融政策会合が開催
日経平均は1131円安、NYダウは655ドル安に沈む―。
先週は非常に重要な1週間となった。米国、英国、スイス、日本の4カ国の中央銀行が金融政策を発表する大きなイベントが相次いだからだ。もちろん日本の株式市場にとって最も重要なのが米国の米連邦公開市場委員会(FOMC)、その次が日銀の金融政策決定会合である。順番を間違えてはいけない。日本の株式市場の先行きを決める最も大きな要素は日銀ではなく米連邦準備理事会(FRB)の金融政策だ。
FOMCは年に8回開催され、9月開催の今回は6回目にあたる。結果は予想通り、現状の政策金利5.25%~5.50%が据え置かれて利上げは行われなかった。「あーやれやれ、これで株式市場にはプラスだ」と早まってはいけない。同時に発表されたFOMCメンバーによる政策金利見通し「ドットチャート」の内容がタカ派的と受け止められ、即座に株安・ドル高という反応が起こった。
2024年の利下げペースが鈍化し「ショボい」金融緩和になることを嫌気
ドットチャートは各年末における政策金利(中央値)の見通しである。2023年末は5.50%~5.75%。年内にあと1回の利上げに含みを残したのは従来のシナリオ通りだが、2024年末は従来の4.50%~4.75%から5.00%~5.25%へと0.50%引き上げられた。これは何を意味するか? 要するに2024年は「4回の利下げをやりますよ」とのシナリオから「2回の利下げだけですよ」と変更されたのだ。利下げスピードが鈍化して「大胆な」金融緩和から「ショボい」金融緩和になるとのメッセージがFRBから出されたわけである。さらに翌年の2025年末も従来の3.25%~3.50%から3.75%~4.00%に0.50%引き上げられている(こちらは5回の利下げシナリオに変わりなし)。
従来予想より政策金利の想定が引き上げられた理由は何だろうか? それはズバリ「景気が強い」ためである。FRBによる経済見通しを点検すると、実質国内総生産(GDP)は2023年が1.0%→2.1%、2024年が1.1%→1.5%に引き上げられた。インフレ見通しは、コア個人消費支出(PCE)は2023年が3.9%→3.7%とやや引き下げられ、2024年は2.6%→2.6%と据え置かれた。ほぼ期待通りにインフレ鈍化が進んでいることを表している。
<FOMC結果発表後のパウエル議長の会見ポイント>
・昨年3月のゼロ金利解除から5.25%まで利上げを行ったが、金融引き締めの完全な効果はまだ見えていない
・経済は拡大を続けており、特に個人消費は強い
・インフレ圧力は和らいできたが、物価目標の2%まで低下させるためにはまだ長い道のりがある
・必要があれば、さらに追加利上げをする用意がある
一方の日銀は大規模金融緩和を維持。円安・ドル高トレンドは不変か
今回のFOMCを受けて、大きく反応したのが債券市場である。米長期金利は4.49%まで上昇し2007年11月以来16年ぶりの高水準、そして国内長期金利は0.745%と2013年9月以来10年ぶりの高水準となった。一方、先週金曜日に発表された日銀の金融政策決定会合の結果は、大規模金融緩和維持である。9月9日の読売新聞のインタビュー記事を受けて、市場に広がっていたマイナス金利の早期解除の思惑を牽制する形で「政策の修正時期や具体的な対応について到底、決め打ちはできない」と植田和男総裁は語った。昨今再び増勢を続けている円安・ドル高の方向性に警鐘を鳴らすような内容ではなかった。
FRBにはあと1回の利上げ余地が0.25%、そして日銀が-0.1%のマイナス金利を解除してゼロ金利にすれば利上げは0.1%で0.15%の日米金利格差が生じるが、その0.1%の利上げを行わないとすれば金利格差は0.25%に拡大する。円安・ドル高が進むのは当然のことである。148円を超えてから思ったほど円安が進まないのは政府・日銀による円買い介入への警戒があるからだ。
金利高止まりに失望感。高PERのハイテク株やグロース株が売り込まれる
ところで、冒頭の「日経平均は1131円安、NYダウは655ドル安に沈む―。」であるが、株式市場には失望感が漂っている。金利の高止まりは特に高PERのハイテク株やグロース株にとっては株価の割高を意味する(債券と比較してイールドスプレッドが大きくなることで株の割高感が意識される)。ナスダックやマザーズ指数が大きく売られているのはこのためだ。マザーズ指数は年初来安値を付ける展開となっている。2024年からは金融緩和がなされて「金融相場」入りが期待されるが「グロース株のダイナミックな活躍が市場の期待よりも小さくなるかも…」というメッセージでもある。
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