大幅下落にも関わらず、「勝者のポートフォリオ」の会員は泰然自若なり
日経平均株価は2か月半ぶりの安値、マザーズ指数は7か月半ぶりの安値に沈む。
先週のマーケットは日経平均株価が一時3万1200円台、そしてマザーズ指数が一時708ポイントまで下落し、大きく下げる展開となった。まさに真夏の「肝試し」相場到来とも言える状況であり、マーケット参加者の投資マインドが問われる局面になっている。
「太田先生、株が毎日下げていますが大丈夫でしょうか?」などと私に言われても困る。大丈夫なのかどうかは自分のリスク許容度と相談して、自身で決めることだからだ。投資家によってマーケットの下落への耐性はかなり異なる。含み損を抱えることや含み益の減少を嫌う投資家はポジションを減らすべきだし、百戦錬磨の投資家ならば冷静にマーケットをウオッチしつつ対処すればよい。
実はこのような質問が、私が投資助言に関わっている会員から出てくるかと密かに懸念していたが、全くなかった。とても良い傾向である。この程度の下落でオドオドする会員がいない証拠だからだ。
相場の主な下落要因は米銀の格下げと中国景気の減速の2つ
このところマーケットが下げている要因は主に2つである。ひとつが米銀の格下げ問題、そしてもうひとつが中国の景気減速問題だ。
米国では先々週のムーディーズに続き、先週はフィッチ・レーティングスが大手を含む70行以上の米銀を格下げする可能性があると報じられた。理由は単純で、急速すぎる金利上昇によって経営が圧迫されてビジネス環境が悪化しているからだ。この要因で米銀は売られている。日本の銀行株は欧米の銀行株が大きく下げれば連動売りに押される。ポートフォリオに占める日本の銀行株比率が相対的に上がることで、投資ウェート上昇を抑えるため機械的に日本の銀行株を売る動きがグローバル投資家によって出るからだ。
今春の欧米発の金融不安の時に度々申し上げたが、日本の銀行株まで一緒に売られるのはそもそもおかしい。「リーマンショックのような暴落が来る」などという無責任な風評を真に受けて、「もう心が折れそう」などと泣きごとを言い出したヘタレ投資家たちに向けて私は何度も何度も大丈夫と言ってきた。今回も同じことである。いちいちこんなことでヘタれないようにしていただきたい。
問題山積の中国。全世界同時株安「チャイナショック」の再来なるか?
そして、中国の景気減速問題。このところ発表される中国の経済指標は悪化が顕著になっている。7月の貿易統計において輸入が前年比-12.4%、輸出が同-14.5%と不振に喘いでいる。7月の消費者物価指数(CPI)は-0.3%と2年5か月ぶりのマイナス、卸売物価指数(PPI)は-4.4%と10カ月連続の低下。間違ったゼロコロナ政策を長く続けたせいで、中国は景気減速とデフレ懸念という二重苦の状況にある。加えて若者の失業率は悪化しており不動産市況も低迷中。不動産大手の中国恒大集団が8月17日に米国で破産法の適用申請をおこなった。
中国発の暴落と言えば、真っ先に思い浮かべるのが2015年6月に起こったチャイナショックである。国営メディア情報に煽られた個人投資家たちが巨額の株式投資を行い、レバレッジを伴った株バブルを膨らませ続けていたがバブルが弾け飛んで、わずかひと月の間にマーケットが3割も下がった。この暴落の余波を受けて全世界同時株安が引き起こされた。
中国への依存度が低下した世界経済。中国の減速は局所要因として捉えよ
中国の動向は要ウオッチであるが、今や中国への投資はほとんど下火になっており、中国経済の減速が世界に与える影響は相対的にかなり小さくなっている。再びチャイナショックのような影響力を持つことは考えづらい。要するに、一国の経済減速がローカルな形で起こっているだけであり、それを世界中が注視しなければならないほどの問題ではないということである。
第17回のコラム(2022年2月2日付)でも同じことを2点、私は以下のように述べている。「中国恒大集団がデフォルトしたら株式市場は暴落する!」「リーマンショックのようなことが起こる!」などと一部のメディアは騒いでいたようだが、実際デフォルトしてもほとんど影響は出ていないのはご存知の通りである。あくまで局所的な影響に留まっている。
「中国経済が減速、すわ大変!」と早まらないで欲しい。中国経済の動向だけでは「中国景気減速=日本株売り」にはならないからだ。株式市場を見る際には米国経済の動向が最も大事であり、中国は局所要因として見るのが正しい。中国経済が減速すれば、中国に関わるビジネスをおこなっている日本企業への影響は大きくなるが、米国経済が安泰である限りは世界のマーケットへの大きなマイナス要因にはならない。
「勝者のポートフォリオ」銘柄は上方修正含みの決算が多く、今後に期待
さて、日本の状況を見てみよう。4-6月の国内総生産(GDP)の年率成長率は+6.0%となり年換算の推計額は560.7兆円と過去最高、上場企業の2024年3月期の純利益は前期比6%増えて3期連続で最高益になる見通しである。今後は本格的なインバウンド需要ものってくる、逆業績相場もそろそろ最終局面である。今回の1Q決算において「勝者のポートフォリオ」の保有銘柄のほとんどが上方修正含みであることを確認した。なので、私はワクワクしている。
太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言をおこなっている「勝者のポートフォリオ」。先週の日経平均は2か月半ぶり安値、マザーズ指数は7か月半ぶりの安値となり、「勝者のポートフォリオ」も過去最高値の更新なく下落の展開だった。しかし、足元の停滞に胡坐をかいていてはいけない。
快進撃を続けている「勝者のポートフォリオ」。おかげさまでパフォーマンスは好調で、会員数も大きく増加している。「テンバガー(10倍株)」についてのスペシャル講義もスタートした。資産運用で大きな飛躍がしたいと真剣にお考えの方はぜひどうぞ。ひとりで悩まず、素晴らしい仲間たちと一緒に資産運用に取り組んでいきましょう。
●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもメルマガ配信などで活躍。
※この連載は、ワンランク上の投資家を目指す個人のための資産運用メルマガ『太田忠 勝者のポートフォリオ』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、メルマガ配信の他、無料期間終了後には会員専用ページで「勝者のポートフォリオ」や「ウオッチすべき銘柄」など、具体的なポートフォリオの提案や銘柄の売買アドバイスなどがご覧いただけます。原則毎月第一水曜夜は、生配信セミナーを開催。
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