【1】今日の株式相場早わかり!
日本株の変革機運の高まりで一時3万6000円乗せ
日経平均株価は6日続伸! 12日の米国市場で主要株価指数はまちまち。12月の卸売物価指数(PPI)が予想を下回ったことで早期利下げ観測が強まった。ただ、決算を発表したJPモルガン・チェースなど大手金融機関の株価が下落したことが重石になり、全体としては方向感に乏しい展開だった。一方、今日の日経平均株価は上昇して始まると上げ幅を広げ、一時3万6000円台に乗せた。今日の取引終了後に東証が「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を行っている企業の一覧を公表することもあり、日本株の変革機運の高まりが相場を押し上げたようだ。しかし、短期的な過熱感もくすぶり、心理的な節目を境にその後は膠着感の強い展開となった。
川崎汽船や商船三井などの海運株が大幅高となり、決算を発表した企業ではマネーフォワードが急伸した一方、SHIFTやベイカレント・コンサルティングなどが急落。なお、今晩の米国市場はキング牧師誕生日のため休場となる。
【日経平均】35901.79円↑(+324.68円)
【グロース250】710.13→(+1.37)
【NYダウ】37592.98ドル↓(-118.04ドル、12日)
【ナスダック】14972.760→(+2.575、12日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
安川電機など注目決算、イオン・ローソン上方修正
先週末12日は昨年9~11月期決算発表のピーク。主力輸出企業の前哨戦に位置付けられる安川電機のほか、小売大手や新興IT企業などの注目決算が相次いだ。株価の反応もやや大きく出ており、高評価を受けた企業を確認しよう。また、今月下旬から10~12月期決算発表が本格化するのを前に、業種ごとの好不調も把握しておきたい。
安川電機は2024年2月期の第3四半期(3~11月)決算を発表し、営業利益が前年同期比3.3%減の465億円となった。通期の営業利益予想は前期比2.5%増の700億円で据え置いたが、第3四半期までの進捗率は約66%となっている。一方、9~11月期の受注高は6~8月期と比べ3%ほど増加。受注の底打ち期待と通期予想の未達懸念が交錯したようで、今日の株価は方向感を欠いた。市場全体への影響は限られたが、今後発表される輸出企業の決算も株価の更なる上昇につながるものかどうか注視すべきだろう。
小売大手ではイオンやローソンが業績予想を上方修正した。イオンはプライベートブランド(PB)「トップバリュ」の販売が伸び、収益性も大幅に改善。ローソンは人流の増加が追い風となった上、販促などの取り組みも奏功したようだ。また、2024年2月期末の配当予想を1株あたり117.5円から132.5円(年250円、前期は年150円)に増額した。内需をうまく取り込む小売株には安心感がある。
IT関連では、会計ソフトなどのマネーフォワードがストップ高となる一方、ソフトウェアテストのSHIFTがストップ安。ITに強いベイカレント・コンサルティングも急落した。新興IT株は成長期待をつなげるかどうかで選別する必要がありそうだ。
■安川電機株価チャート/日足・6カ月
【3】月曜連載「ザイアナリスト仲村幸浩『今週の焦点』」
高い期待を保てるか企業決算を見決め
先週の日経平均株価は+2199.69円(+6.59%)。米12月雇用統計は予想を上回る内容だったが、その他の雇用や物価に関する指標から根強い利下げ期待が続いた。また、生成AI(人工知能)用の新型半導体を発表した米エヌビディアの株価が好調に推移し、日本の半導体株にも波及して相場を押し上げた。週後半にはファーストリテイリングが好決算で買われ、日経平均株価は連日でバブル後高値を更新した。
東証によるPBR(株価純資産倍率)是正要請や為替の円高一服などを背景に海外投資家の日本株買いが活発化している。東証プライムの売買代金が増加していることから長期目線の投資家も買っていると思われ、短期的な過熱感はあるものの、下値の固い相場が続きそうだ。一方、相場をけん引してきた主力大型株は近く決算発表を控えるため、様子見ムードから膠着感の強い相場が予想される。
現在、米S&P500指数の12カ月先予想PER(株価収益率)は新型コロナ前5年間(2015~2019年)の平均を大きく上回っている。また、市場は3月からの利下げ開始および年内に米連邦準備理事会(FRB)の想定する2倍以上の利下げを予想。加えて、米経済のソフトランディング(軟着陸)や好調な企業業績を織り込んでいる。こうした中、12日の取引開始前に決算発表したJPモルガン・チェースの株価は下落。2024年の純金利収入の見通しは市場予想を上回ったが、事前の期待が高かったことをうかがわせる。今週は米金融大手や半導体受託製造大手のTSMC(台湾積体電路製造)の決算のほかに、米中の小売売上高や米地区連銀経済報告(ベージュブック)など重要指標が多く発表される。結果次第では高い期待が剥落する動きが続きそうで、上値追いには慎重になるべきと考える。
仲村幸浩
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
立教大学経済学部卒業。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。証券会社や金融情報サービス会社を経て2023年10月より現職。マーケットアナリストとして各種メディアで活動中。
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