【1】今日の株式相場早わかり!
地政学リスクやFRBタカ派発言でリスク回避強まる
日経平均株価は大幅反落! 4日の米国市場で主要株価指数はそろって大きく下落。地政学リスクが一段と意識されたことに加え、連邦準備理事会(FRB)高官が直近の物価指標の上振れを受け、年内の利下げに懐疑的な見方を示したことが嫌気された。リスク回避の売りが先行し、為替が円高に振れる中、日経平均株価は大幅下落でスタートすると、一時は3万8774.24円(998.9円安)まで下落。その後は下げ渋ったが、今晩の米3月雇用統計の発表を前に戻りは鈍く、安値圏での推移が続いた。
東京エレクトロンなどの半導体株を中心に主力株に売りが広がった。一方、今期の増益・増配見通しや配当性向の引き上げが好感されたオンワードホールディングスは急伸。取引終了後に安川電機が発表した2024年2月期営業利益は前期比3.0%減の662億2500万円と市場予想を上回った。一方、2025年2月期は5.7%増の700億円と市場予想を下回った。今晩は米国で3月の雇用統計が発表される。インフレ懸念が高まっているため、特に平均時給の伸びが注目される。
【日経平均】38992.08円↓↓(-781.06円)
【グロース250】691.04↓(-5.18)
【NYダウ】38596.98ドル↓↓(-530.16ドル、4日)
【ナスダック】16049.082↓↓(-228.376、4日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
配当方針の変更が増加、伊藤忠商事など
4月以降、株式市場は調整しているが、日本株の先高観は根強い。背景として5月下旬まで続く2月および3月を決算期末とする企業の決算発表がある。堅調な業績見通しに加え、株主総会を前に株主還元の強化を発表する企業も増えるのではないかという期待が株価を下支えしているようだ。実際、足元では新たな経営計画や配当方針の変更を発表する企業が増えている。
年初来の騰落率でみると、上位には配当方針を変更した企業が多く入った。1位のオンワードホールディングスは株主優待での長期保有優遇制度の導入や、配当性向の35%から40%への引き上げを発表。伊藤忠商事は、総還元性向50%を目処に、1株あたり年間配当の下限を前期より40円多い200円としたほか、約1500億円の自社株買いの方針を明らかにした。景気に左右されやすい商社だが、強気な株主還元の方針を示すことは、非資源事業を強化してきたことの成果といえ、投資家からの評価も高い。
第一生命ホールディングスは2023年度の修正利益2700億円を2026年度には4000億円に引き上げるという意欲的な利益計画に加え、配当性向の30%から40%への引き上げ、上限1000億円の自社株買い(2024年度)を発表。日銀の追加利上げを通じた運用環境の改善など、保険株を巡る事業環境の一段の好転への思惑もくすぶる中、同社の株価推移は今後も期待できそうだ。
配当方針の変更は一過性要因に基づく一時的な増配とは異なり、長期的な株主還元の強化を意味する分、将来への業績に対する自信や株主に報いようとする経営者の強い意志がなければ行われない。そうした背景を踏まえれば、こうした発表をした企業への評価が一過性に終わる可能性は低く、地合いに連れて下落した際などは、積極的に押し目買いで向かうことも一考に値しよう。
■伊藤忠商事株価チャート/日足・6カ月
【3】金曜連載「ザイアナリスト小林大純『IPO株ココだけの話』」
3月の好調を引き継ぐも、環境にはやや不透明感
今日は4月のIPO(新規株式公開)を確認しておこう。4月は6社のIPOが予定されている。
今週4日には、介護付き有料老人ホームなどを展開するアズパートナーズが東証スタンダードに上場。3月の好調ムードを引き継ぎ、公開価格比+52.2%という初値を付けた。もっとも、初値後に大きく下落しているのが気がかり。年初来の株式相場の上昇で個人投資家の資金余力は十分だろうが、新興株中心の東証グロース市場250指数は足元で値を崩し、年初来安値圏まで下落している。類似企業の株価やPER(株価収益率)が低下し、IPO株も下押し圧力が強まりやすいか。また、中東情勢が緊迫してきたが、地政学リスクは個人投資家の心理も悪化させやすい。来週以降のIPOにはやや不透明感が漂い始めた。
来週8日には販促品のインターネット通販を手掛けるイタミアート、11日にはIT資産管理などの業務支援システムを手掛けるハンモックが上場予定。また、「モビリティDX(デジタルトランスフォーメーション)」を手掛けるWill Smartは8日までブックビルディング(BB、需要申告)期間となっている。マンション向け電力販売などのエネルギー関連事業を展開するレジルや、微生物・細胞を培養するための「培地」を手掛けるコージンバイオは来週からBB期間入りだ。
ゼンリン傘下のWill Smartは時流に乗るビジネスという印象も強く、注目度が比較的高い。ただ、2024年3月期の業績は小幅な黒字予想となっており、見た目のPERが高いのは気になるところ。また、レジルは公募・売出規模が当初想定ベースで60億円超とやや大きい。まさにIPO株をめぐる投資家心理が試されることになりそうだ。
小林大純
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
早稲田大学法学部卒、早稲田大学大学院ファイナンス研究科(現経営管理研究科)修了(MBA)。金融情報サービス会社などを経て現職。日本株アナリストとして各種メディアで活動中。
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