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為替の動きから考えると日本の物価は上昇余地あり!「お金」とは何なのか、突き詰めて考えると、円を現預金のまま持っていてもヤバいことがわかる

2024年4月24日公開(2024年4月24日更新)
ポール・サイ
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 2015年から2020年にかけて、円と米ドルの交換レートはおおむね1ドル=100円から125円の範囲にありました。現在は150円から155円ぐらいの間で安定していると考えると、今後の日本のインフレ率はどうなっていくと考えられるでしょうか?

これから円高になる可能性はかなり低く、日本の物価はまだ上昇する余地がある

 まず、日本のCPI(消費者物価指数)を見てみましょう。

 2015年から2020年まで日本のCPIはだいたい100から102の範囲で推移していましたが、最近のCPIは107程度まで上昇しています。つまり、物価はこの期間に累計で約7%しか上昇していないのです。

日本のCPI(消費者物価指数)の推移日本のCPI(消費者物価指数)の推移 出所:Koyfinより筆者作成

 一方で、円の価値は米ドルに対して約38%も下落しています。このデータから予測すると、これから円高になる可能性はかなり低く、日本の物価はまだ上昇する余地があると考えられます。

[参考記事]
日銀がマイナス金利を解除してもなぜ円高にならない? 多くの専門家が年初に円高になると予想していた中、私が大幅な円高は起こらないと見ていた理由とは?
日本のインフレはしばらく続く。そこで起こるのは投資しない人から投資する人への富の再分配だ! 日本人があまり投資しない5つの要因とは?

米ドル/円相場の推移米ドル/円相場の推移 出所:Koyfinより筆者作成

 この物価上昇は日本国内の消費や投資の刺激になるかもしれませんが、それは私のメインシナリオではありません。

日本円を現預金のまま持っていたのでは、購買力が大きく低下してしまうリスクあり

 仮に物価が現在の水準から30%上昇した場合、みなさんの家計はどうなるでしょうか?

 給料は30%上がるでしょうか? 年金は物価連動で増額されますが、物価に追いつかないことが多いです。現預金の購買力は現在の水準から約30%低下し、現在の100円の価値が、将来は70円分の価値しか持たなくなってしまうでしょう。

 これは日本の人々が許容できる状況でしょうか?

 これまで日本では現預金の購買力がおおむね維持されてきましたが、今後はその保証はありません。

突き詰めて考えると、「お金」とは何なのか?

 ここで、お金の本質について少し触れたいと思います。

 良いお金とは、広く受け入れられている交換手段であり、価値を保存する手段です。国際的に最も信頼されている通貨は米ドルで、次いでユーロ、そして、それに続いて円と人民元です。

 これらの通貨は「債務証書」のようなものです。つまり、これらの通貨を持つということは、中央銀行や政府にお金を貸していることを示す証書を持っているということなのです。

 実際、たとえば日本の紙幣(日本銀行券、日銀券)は日銀のバランスシート(貸借対照表)上で日銀の負債として計上されています。私たちが持っている紙幣(日銀券)は、日銀にお金を貸している証拠になる証書ということになります。

国の債務が過剰となり、国の財政リスクが高まると、その国の通貨の魅力は下がってしまう

 その昔、金本位制があった頃は、銀行券を発行する裏付けとして、発行高に相当する量の金(ゴールド)を中央銀行は保有していました。そして、銀行券を金(ゴールド)に交換してほしいとの依頼があれば、いつでもそれに応じなくてはいけませんでした。

 金本位制がなくなってからは、お金は中央銀行や政府の信用に依存するようになりました。

 そのため、ある国の債務が過剰となり、国の財政リスクが高まると、その国の通貨の魅力は下がります。

 政府が過剰な債務を負っている場合、中央銀行が通貨の発行を増やしてインフレを引き起こすことがあります。中央銀行が通貨をたくさん発行し、為替が起爆剤となってインフレを引き起こすことによって、政府の過剰債務を実質的に削減しようとするのです。日本では最近になって、このようなことが起き始めていると思います。

 インフレは世界の国々ではもっと早くやってきていましたが、日本には遅れてやってきました。

国の債務と関係ない金(ゴールド)は、インフレリスクに対する避難所として機能する。ただ、金価格はすでにインフレを織り込んでいそう

 一方で、金(ゴールド)は債務に基づかない資産の形態です。そして、現金や債券がインフレによってその価値を減じてしまうリスクがあるのに対し、金はそのリスクを避けるための避難所として機能します。

 中央銀行は金本位制ではなくなった現在も、準備通貨としては金を保有しています。投資家も価値を保存するために金を保有しています。暗号資産(仮想通貨)、宝石、芸術品も、債務に依存しない価値の保存手段として機能します。

 金は工業用にも使われますが、他の主要金属に比べれば、工業用にそれほど莫大な用途があるわけではありません。これが金の弱みです。

 それと、みなさんが金を好きではなくなってきたら、金価格は下がります。たとえば、暗号資産が金を代替するということは、暗号資産支持者が望んでいることです。

 金融システムが安定している時は、債務に裏打ちされた資産は有効に機能しますが、そうでない場合は、持っているお金の価値が実質的には低下してしまうでしょう。

 金を購入してインフレ対策を行うことも考えられますが、金価格はすでに結構上昇していて、すでにインフレを織り込んでしまっているようです。

金現物価格(1oz.あたり)週足米ドル建て金現物価格(1oz.あたり)週足・5年(出典:SBI証券公式サイト) ※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます

日本経済、日本円の価値が大きく変動しそうな時代には、海外を含め、収益性を持つ多様な資産への投資が必須

 そこで、株式や不動産など、それ自体が収益性を持つ資産への投資をお勧めします。

 企業はビジネスを行なって利益を得ます。その企業の株式を持っていれば、その利益を享受することができます。また、不動産を所有していれば、それを貸して賃貸料を得ることができます。

 リスクを取らなくても安全な時代は終わりを迎えつつあります。今は日本経済が大きく変動しそうであり、そうなると特に円の価値も大きく変動しそうです。

 このような時代は、資産の多様化と海外への投資が必須になると言えるでしょう。

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。

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