【1】今日の株式相場早わかり!
国内金利上昇が重石、データセンター関連に物色
日経平均株価は反落! 27日の米国市場はメモリアルデーに伴い休場。欧州市場では、仏中央銀行総裁のハト派的な発言が好感され、金利が低下する一方、主要株価指数は上昇した。今日の日経平均株価は寄り付き直後に一時上昇したものの、3万9000円台を前に戻り待ちの売りで失速すると、その後は手掛かり材料に欠ける中、膠着感の強い動きが続いた。10年物国債利回りが一時1.035%と約12年ぶりの水準にまで上昇したことも上値を抑制した。
国内金利の上昇が重石となり、レーザーテックやアドバンテストなどの半導体株の一角が軟調だった一方、女川原子力発電所2号機の安全対策工事を前倒しで完了したと発表した東北電力が急伸し、その他の電力株も軒並み上昇。データセンター関連への物色が広がり、古河電気工業などの電線関連でも値上がりが目立った。今晩の米国市場では、コンファレンスボードによる5月の消費者信頼感指数が発表される予定だ。
【日経平均】38855.37円→(-44.65円)
【グロース250】619.06↑(+5.52)
【NYダウ】休場
【ナスダック】休場
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
半導体株から主役を奪う電力株・電線株
半導体株の騰勢が一服しつつある一方、今日は電力株や非鉄金属(主に電線)株で値上がりが目立った。電力株については、東北電力が女川原子力発電所2号機の安全対策工事を前倒しで完了したと発表したことが大きいだろう。ただ、電線株も急伸していたことから、データセンター関連としての物色が強まっていたとも考えられる。今年に入ってから、米マイクロソフトなどのメガクラウド事業者が、拡大する生成AI(人工知能)の需要に応えていくため、日本国内のAI及びクラウド基盤の強化を目的とした大規模投資を相次いで発表した。生成AIといえば当初は半導体株のイメージが強かったが、最近は他の業種に連想が広がっており、データセンター関連株は息の長い相場になりそうだ。
非鉄金属では電線3強とされる住友電気工業や古河電気工業、フジクラが関連株として挙げられる。電力需要の拡大の恩恵を享受する電力ケーブルのほかに、光ファイバ・ケーブルやコネクタなどデータセンター間を結ぶ製品やデータセンター内での通信強化を図る製品まで多様な製品を手掛けていることで、生成AIの普及が業績に大きく貢献することが期待される。また、これらの企業は電動車向けハーネスも好調で、成長ドライバーが豊富でもある。
電力株は軒並み高となったが、中でも半導体産業の集積という国策による恩恵が大きい九州電力や北海道電力は特に有望視されている。再生可能エネルギーだけでは今後の電力需要を賄いきれないことから、原発の再稼働に向けた動きは今後も進むと考えられる。原発再稼働によるコスト削減やキャッシュフロー改善への思惑が長期化しやすいこともあり、電力株の人気も当面続きそうだ。電力機器・関連サービスを手掛ける正興電機製作所など中小型株でも、中長期的に期待できる銘柄はあり、関連株に対する視野を広げておきたい。
■古河電気工業株価チャート/日足・6カ月
【3】火曜連載「ザイ編集部発! 週イチ『投資信託ニュース』」
投資信託を「コスト」で選ぶのは正解か?
新NISAで大人気の、「オルカン」こと全世界株やS&P500のインデックス型投資信託。魅力の1つは低コストであることだ。投資信託では、販売手数料や信託報酬などのコストがかかる。中でも重要なのが、保有しているだけで日々差引かれる信託報酬(つみたて投資枠では販売手数料はすべて無料)。そのぶんリターンが減るので、信託報酬はなるべく低いほうがいい。
インデックス型の投資信託は、連動する指数が同じなら運用内容も基本的に同じため、より信託報酬が低いものを選ぶのが正解だ。もっとも、0.01%台の違いなら成績への影響は誤差の範囲。それよりも、“何に投資する投資信託か”“どの指数に連動するか”のほうが、ずっと重要といえる。
一方、アクティブ型の投資信託は、インデックス型と比べて信託報酬が高い。オルカンやS&P500のインデックス型では最安が年率0.05%台なのに対し、1~2%程度が一般的だ。だからアクティブ型はダメかといえば、そうではない。アクティブ型は、運用会社が独自に投資対象を選び“市場平均を超える”ことを目指す。シンプルな運用のインデックス型と違い、調査などの手間がかかるためコストは高めとなるが、好成績が期待できる。
投資信託の成績は、「トータルリターン」で見る。これは、信託報酬などのコストや分配金も含めて(分配金は再投資したと仮定)、一定期間にどれくらいの利益・損失となったかを示す数字。つまり、成績はコスト差引き後なのだ。好成績のアクティブ型は、信託報酬が多少高くても、それを上回る利益を出している。ただし、アクティブ型の実際の成績は投資信託によって差が大きく、中には高コストで指数を下回るものも。したがって、選ぶ際には成績のチェックが重要となる。
新NISAで買える優秀なアクティブ型投資信託30本を選定した「ダイヤモンド・ザイNISA投信グランプリ2024」を、特設サイトで紹介中だ。ファンドマネージャーのインタビューなども随時追加している。ぜひチェックしてほしい。
河野拓郎
ダイヤモンド・ザイ編集部 副編集長
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