【1】今日の株式相場早わかり!
国内金利の一段の上昇が上値を抑制
日経平均株価は続落! 28日の米国市場は高安まちまち。2年物国債および5年物国債の入札結果が低調だったことに加え、ミネアポリス連銀総裁の「利上げの選択肢を完全には排除しない」とのタカ派的な発言を受け、幅広い年限で金利が上昇したことが株式の重石になった。一方、新興企業による半導体調達の報道を受けて半導体大手エヌビディアは急伸し、ナスダック総合指数と共に最高値を更新。今日の日経平均株価は280円超上昇して3万9000円台を回復する場面があった。ただ、日銀による金融政策の正常化観測を背景に10年物国債利回りが1.075%と12年半ぶりの水準にまで上昇したことが上値を抑制し、間もなくして下落に転じると、その後は軟調な値動きが続いた。
半導体株では投資判断の引き上げが確認されたKOKUSAI ELECTRICなどが上昇した一方、東京エレクトロンなどは下落。中期経営計画の見直しが失望された三菱電機は大きく下落した。今晩の米国市場では地区連銀経済報告(ベージュブック)が発表される。
【日経平均】38556.87円↓(-298.50円)
【グロース250】603.35↓↓(-15.71)
【NYダウ】 38852.86ドル↓(-216.73ドル、28日)
【ナスダック】17019.880↑(+99.086、28日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
新中計で株価の明暗分かれる
1~3月期の決算発表は一巡したが、新年度に入ったことで、新たな中期経営計画を発表する企業が増えてきた。中計目標を受けて改めて株価に動きのある銘柄も散見され、今日は主な企業の中計内容を確認してみよう。
前日はSOMPOホールディングスや三菱重工業などが中計を発表。SOMPOは決算発表時に示したように株主還元方針として政策株式売却益の50%を追加還元としたことに加え、2024年度2000億円以上、中計3年間で6000億円削減を最低ラインに政策株式の売却ペースのさらなる加速に意欲を見せた。また、2026年度までの修正EPS(1株あたり利益)を年率+12%で成長させることなどを目標として掲げている。機動的な資本水準調整も検討しており、追加の自社株買いなども期待される中、今日の株価は大きく上昇した。
一方、三菱重工業は2023年度2825億円だった事業利益を2026年度に4500億円以上にまで拡大させることなどを発表。脱炭素や拡大する電力需要に応えるガスタービン・コンバインドサイクル発電プラント(GTCC)や原子力、政府の防衛予算拡大の恩恵を受ける防衛の3つの領域を伸長事業として特に注力する方針。株主還元方針としてはDOE(株主資本配当率)4%以上を目安として設定。ただ、全体的に市場の期待値を超えるものではなく、株価は材料出尽くし感から売られた。
エイチ・ツー・オー リテイリングは利益目標に加えて資本コストを意識した経営方針が評価された。富士電機は中計目標が物足りないとされ、発表後に株価は下落したが、電気自動車(EV)向けパワー半導体やデータセンター向け無停電電源装置(UPS)(5月28日号参照)など成長ドライバーが豊富にある中、保守的過ぎるとの見方があり、株価の回復に期待する声もある。
■SOMPOホールディングス株価チャート/日足・6カ月
【3】水曜連載「投資の疑問に答えます」
「配当性向100%超」なぜ実施? 注意が必要?
(ご質問)
配当性向が100%を超えている株は購入しないほうがよいですか? また100%超とする企業の目的は何ですか?
(答え)
資本政策として配当性向100%を目標とする企業もあります。理由や業績の推移をしっかり見極めましょう!
「配当性向」は配当総額÷当期純利益(または1株当たり配当÷1株当たり純利益)で求められます。当期純利益が10だった企業が3の配当を支払った場合、配当性向は30%です。また、残る7は「内部留保」として企業に蓄積され、事業に再投資されます。一方、企業は余剰金を取り崩して当期純利益を上回る配当を行うことも可能です(ただし債権者保護の観点から上限があります)。この場合、配当性向が100%を超えることになるわけです。
具体的には、業績が一時的に落ち込んだものの、配当金額を据え置くケースが考えられます。株主にとっては安定的に配当が得られるというメリットもありますが、業績の落ち込みが長期にわたるようなら注意が必要です。余剰金を取り崩しながらの配当が持続的とは言えないでしょう。
他方、資本政策として配当性向100%を目標とする企業もあります。日本触媒は13日、2028年3月期まで配当性向100%またはDOE(株主資本配当率)2%のいずれか大きい金額を目安に配当を実施すると発表しました。企業にとって有望な(期待される収益が株主の求める見返りを上回る)事業機会には限りがあります。そこで内部留保の積み増しを抑制し、資本効率を向上させるために、利益の大半を配当に回すといった選択肢も出てくるのです。こうした企業でも継続的に利益を創出できるかという点には注意が必要ですが、資本効率に対する意識の高さを評価することができるでしょう。
■日本触媒株価チャート/日足・6カ月
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