【1】今日の株式相場早わかり!
トランプ・トレードも追い風に買い優勢
日経平均株価は反発! 12日および週明け15日の米国市場で主要株価指数はそろって上昇。6月の卸売物価指数(PPI)は予想を上回る伸びだったが、利下げ期待は続き、中小型株など出遅れ感のある銘柄への買いが続いたほか、11日に急落したハイテク株の一角にも押し目買いが入った。アップルは15日に上場来高値を更新した。祝日明けの日経平均株価は米国株高を支えに上昇スタート。連休前の12日に1000円超の急落を強いられていたため、自律反発狙いの買いが入った。一方、短期的な過熱感を指摘する声も根強く、戻り待ちの売りも強かった。結局、先週末終値をやや上回る水準で膠着感の強い動きが続いた。
決算関連では良品計画や松屋が買われた。また、米アップル関連銘柄として太陽誘電やTDKが大きく上昇。財政拡張に積極的なトランプ前大統領が13日の銃撃事件を受けて以降、米国市場では同氏の再選を織り込む動きが加速し、国内でも原発・防衛関連のIHIなど関連株が大幅高となった。なお、今晩は米国で6月の小売売上高が発表される。
【日経平均】41275.08円↑(+84.40円)
【グロース250】681.33↑(+4.20)
【NYダウ】40211.72ドル↑(+210.82ドル、15日)
【ナスダック】18472.566↑(+74.120、15日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
トランプ・トレード関連株、原発・防衛、インフラ、銀行
先月の討論会以降、大統領選を巡っては共和党候補のトランプ前大統領の優勢が強まっていたが、13日の同氏の銃撃事件を受け、同情票や共和党内での結束強化を背景にこうした見方がさらに勢いを増している。米国市場では同氏の大統領再選を想定した「トランプ・トレード」が一気に加速しているが、こうした動きが目先は続きそうな中、日本株で恩恵がありそうな企業を整理してみよう。
まずは原発・防衛関連の三菱重工業などだろう。トランプ氏は前政権時代から日本や欧州に防衛予算の拡大を求めている。最近のウクライナへの軍事支援には否定的で、再選の場合は日本に防衛予算のさらなる拡大を求める可能性がある。また、地球温暖化対策の国際的枠組みである「パリ協定」にも否定的で、再離脱となれば「脱炭素」機運が萎み、世界的には原子力発電所の再稼働に前向きな風潮が強化される可能性もあろう。
同氏は財政拡張や規制緩和に前向きなため景気敏感株も有望だ。特に米国ではインフラの老朽化対策の需要が依然として強いことから、コマツなどに恩恵がありそうだ。また、同氏が主張する輸入品への関税引き上げや不法移民強制送還による労働力不足は物価高騰・金利上昇につながり得る。基本的に財政拡張下での金利拡大は米国で事業を展開する国内銀行株にも追い風になるだろう。
そもそも論として、防衛予算の拡大や原発再稼働機運の高まり、インフラ老朽化更新などは元々トランプ氏が大統領に復帰しなくても不可逆的な流れとして存在する。民主党も財政拡張に積極的なことから長期的な金利上昇という路線も大きくは変わらないだろう。さらに、国内銀行株については日本のデフレ脱却による金利正常化というもう一つの構造的な流れもある。今回取り上げた銘柄は一過性要因でなく長期的な活躍に期待したい。
■三菱重工業株価チャート/日足・6カ月
【3】火曜連載「ザイ編集部発! 週イチ『投資信託ニュース』」
投資信託の“勘違い分散投資”にご注意!
「卵は1つのカゴに盛るな」という投資格言がある。卵を1つのカゴに盛って、もし落としてしまったらすべての卵が割れてしまうかもしれない。しかし、複数のカゴに分けて(分散して)盛っておけば、カゴを1つ落としたとしてもほかの卵は影響を受けない。1つの商品に集中投資するのではなく、複数の商品に投資してリスクを分散させるとよい、という教えだ。
このように投資をする際は「分散投資」を意識して臨みたい。投資信託は1本でも分散されているのだが、さらに複数持とうとする場合、組み合わせ方を間違えて全く分散の効果がなかった!ということは実はよくある話。あなたの「分散」は大丈夫だろうか?
よくある勘違いの例は、分散のつもりでオルカンのような全世界株型投資信託をいくつも買ってしまうパターン。例えばeMAXIS Slim全世界株型と、Tracers MSCIオール・カントリー・インデックスを組み合わせる、といったことだ。連動する指数は同じなので、投資先の比率もほぼ一緒。いくつ組み合わせても、分散という観点からは意味がないのだ。
2つめの勘違いは、オルカンと並ぶ人気商品で米国の代表的な株価指数であるS&P500に連動する投資信託をオルカンに組み合わせてしまうパターン。実はオルカンの6割は米国株。そこに米国株比率100%のS&P500を組み合わせたら米国株の割合は8割に上昇してしまう。分散どころか偏りが強まってしまうのだ。オルカンの次に買うものを探しているなら、米国以外の先進国や成長余力が大きい新興国の割合を高める方法を考えよう。
投資信託をたくさん買うこと=分散投資ではない。投資信託の中身をよくチェックして選ぶことが重要だ。
※「オルカン」は三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の略称として商標登録されているが、ここでは全世界株型インデックス投資信託の総称として使っている。
石川絵美
ダイヤモンド・ザイ編集部 副編集長
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