日経平均株価は史上最大の下げ幅4451円安をわずか5営業日で回復
先週は『令和のブラックマンデー到来、今後のマーケットはどうなる?』というテーマで執筆したが、今週はその続きである。8月5日の日経平均株価は史上最大の下げ幅4451円安(下落率12.4%は歴代2位)となり、1987年10月20日のブラックマンデーに匹敵する「暗黒の月曜日」となった。今回の暴落に対する正式名称はまだ決まっていないようだが、まさに「令和のブラックマンデー」と呼ぶにふさわしいイベントだった。ストップ安が実に800銘柄。三井住友フィナンシャルグループ(8316)を筆頭に時価総額が5000億円以上の大型株ですらストップ安が続出し、「売ろうにも売れない」状態が起こった。ストップ安でも売らなければならない人たちが大勢いたため、売りが止まらなくなった。
ところが、翌8月6日は一転して3217円高(上昇率10.2%は歴代4位)と過去最大の上げ幅を演じて急騰。8月7日には日銀の内田眞一副総裁が「不安定な状況で利上げすることはない」と明言し、更に戻りを試す展開となった。そして、先週8月13日に1207円高となり日経平均は3万6232円まで上昇し、令和のブラックマンデー前日の3万5909円を上回った。すなわち、わずか5営業日で暴落を取り戻す形となった。更に8月16日は1336円高と大幅に上昇し、3万8062円にて終了。7月11日の史上最高値4万2224円から8月5日の3万1458円まで1万766円の下落(下落率25.5%)に対して61%戻した。一度はフラッシュクラッシュの如く瞬間的パンチで殴られてクラッときたものの、その後の立ち直りは非常に早い。「なかなかヤル気あるなぁ」というマーケット展開だ。141円まで急騰していたドル円も149円台まで下落し、再び円安基調となっている。
「二番底を試す」という相場の経験則も色褪せるほどの急反発ぶり
先週のコラムで「いったん大きな暴落を浴びてしまうとマーケットは乱高下する」「売らないといけない投資家たちの投げ売りと急落で買いを入れる投資家たちとの綱引きが続く」と述べたが、日経平均の日中値幅は8月13日からは連日で1000円未満となっており、ボラティリティが収まってきた。「暴落後に反発した後、再び二番底を探るという相場の経験則がある」とのコメントも色褪せてしまう状況だ。
8月5日の令和のブラックマンデーの売りの主体は2つだった。円キャリートレードの巻き戻しで大きな損失を抱えたヘッジファンドたちの売り、そして信用取引を行っている個人投資家たちが追い証祭り&ロスカット祭りで株をぶん投げ、恐怖を感じた新NISA投資家たちをはじめとする現物株保有の投資家も損失回避のために持ち株の売却に走った。この日は年初来の上昇をすべて帳消しにした日だ。含み益の急減や含み損の急増に耐えられずに売りに走るのも無理はない。
急反発局面での買いの主体は、割安と見た海外投資家や個人投資家たち
では、急反発局面では誰が買ったのだろうか?
8月第1週(5日~9日)の状況が公表されたが、海外投資家が5219億円買い越しているのが目立つ(財務省データ)。実に4週ぶりの買い越しだが「日本株は安い」と見た海外投資家がこぞって買いに回ったことがわかる。投機筋が一斉にポジション整理のため売らざるを得ない行動しかできなかったのとは対照的だ。海外投資家の日本株売却額は31兆3395億円で過去最大、購入総額は31兆8613億円でこちらも過去最高だ。
そして、買い向かった個人投資家たちだ。日本株に投資する投資信託への流入額が1644億円となり週間ベースで今年最大となった。もちろん、狼狽売りで流出してもおかしくなかったが、積み立て投資には平均買い付けコストを下げる買い場であったこと、また保有投信をぶん投げる行動も限定的だったことがうかがえる。ちなみに資金流入上位10本を見ると、すべて株価指数と連動するインデックス型の投信だ。1位はアセットマネジメントOneの「日経225ノーロードオープン」の228億円、2位は三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim国内株式(日経平均)」の103億円である。インデックス投信は信託報酬が年0.1~0.5%前後でありアクティブ投信に比べて安い。今やインデックス投信の時代であるが、パフォーマンスが悪くコストの高いアクティブ投信を選ばないのは正しい投資行動だと私は思う。
一方、海外株投信は売られている。海外株投信は8月6日に今年初めて小幅な流出超過(87億円)となり、8月6日~8日の合計純流出額は1569億円。もちろん週間では408億円の流入超であるが海外物は敬遠されている。年初のドル円は141円レベルだったが161円まで円安が進んだ後は円高転換している。基準価格が実際の株安以上に下落し、為替の先行き不透明感から利益確定の売りがなされている姿が浮かび上がる。
日経平均3万8000円~4万円は上値重いものの、FRBの利下げが打ち破る
ところで、今後マーケットはどうなるのか?
「半値戻しは全値戻し」という相場格言がある。下げ幅に対して半分まで戻る反発力があれば再び高値まで回復するという意味だ。今回の急落は経済・金融イベントが引き起こしたものではなく円キャリートレードの巻き戻しという市場イベント、いわゆるテクニカル的要因だったことを考えれば、再び今年の高値4万2224円を目指す動きになると思う。急落前のストーリーは何一つ崩れていない。とは言え、3万8000円~4万円レベルで売買代金が大きく積み上がっているため、このレベルでは上値が重く、戻り待ちの売りが出やすい状況になる。そもそも今は逆業績相場の最中だ。以前のコラムで述べたように「ガタガタする」のが普通だ。
だが、それを打ち破るのが9月の大きなイベントだ。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始で金融相場が始まる。それに備えて準備をしておくべき時なのだ。「勝者のポートフォリオ」では十分な備えを行っており準備万端である。金融相場入りで一段と加速していきたいと思う。
金融相場到来への準備万端な「勝者のポートフォリオ」で資産形成を!
さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行っている「勝者のポートフォリオ」。2大特典として毎月のWebセミナー開催とスペシャル講義を提供している。8月8日(木)20時より第32回Webセミナーを開催。テーマは『令和のブラックマンデー到来、今後のマーケットと投資戦略を考える』。平日夜の開催にもかかわらず313名もの参加者となり、Q&Aを含めた終了時刻は22:40。すでに会員ページのアーカイブにて動画がアップ済みだ。次回は9月5日(木)20時より開催予定である。10日間の無料お試し期間を使えば誰でも参加が可能だ。
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●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供によるメルマガ配信などで活躍。
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