・米雇用統計を控えた警戒感や円高が重しとなり日経平均は4日続落…
・先行き不透明感が強まる中で注目度高まる9月末高配当株を点検!
・「東京ゲームショウ」で注目のゲーム株もチェック!
【1】今日の株式相場早わかり!
米景気懸念で下落も小売の一角は堅調、今晩は米雇用統計
日経平均株価は4日続落! 5日の米国市場で主要株価指数は高安まちまち。8月のサプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況感指数が予想並みだった一方、8月のADP雇用リポートが予想を大きく下回ったことで景気後退懸念が強まった。ただ、連邦準備理事会(FRB)による大幅利下げへの期待が下値を支えた。今日の日経平均株価は反発スタート。前日までの3日間で2000円超も下落していただけに、自律反発狙いの買いが先行した。一方、今晩の米雇用統計の発表を前に上値は重く、前日終値を挟んだ一進一退が続いた。午後に入ると、1ドル=142円台まで円高・ドル安が進んだことで売りが強まり、下げ幅を400円超にまで広げる場面があった。
半導体関連株が属する電気機器や機械のほか、鉄鋼などの景気敏感株を中心に全体的に売りが優勢だった。一方、電力株の上昇が目立ったほか、イオンなどの小売株の一角が堅調だった。今晩は米国で8月雇用統計が発表される。7月との比較で雇用者数の伸びは拡大、失業率は改善が予想されている。
【日経平均】36391.47円↓(-265.62円)
【グロース250】643.88↓↓(-12.70)
【NYダウ】40755.75ドル↓(-219.22ドル、5日)
【ナスダック】17127.661↑(+43.365、5日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
9月高配当株、ディア・ライフのほか海運&鉄鋼
今日は9月末に権利確定日を迎える高配当株を確認しよう。世界景気に対する不透明感から大型外需株が低迷する中、高配当株に対する魅力は高まっており、タイミング的にも注目に値しよう。なお、権利付き最終売買日は26日である。
9月期決算ではディア・ライフが期末一括配当で、月末にかけて権利取りの動きが強まりそうだ。第3四半期までの利益進捗率が低いが、利益計上が第4四半期に集中しているため懸念は不要だろう。キャッシュは潤沢で、株主還元の余力がありそうだ。日銀の追加利上げ観測が重石だが、事業に影響が及ぶほどの大幅な利上げの可能性は低い。東京都23区内の最寄り駅から10分以内という好立地物件を中心に手掛けているため、相対的に底堅い業績が期待できそうだ。
FPGも期末配当の割合が高いため、権利取りの動きが徐々に強まりそうだ。国内不動産ファンド事業などが非常に好調で、今期はすでに業績予想を2回も上方修正したが、進捗率からして上振れ着地の可能性が高い。順調な仕入状況から来期ガイダンスも期待できそうだ。
3月期の高配当株では海運と鉄鋼が多い。海運大手3社は業績上方修正後もなお下期計画が保守的で、さらなる上方修正が期待される。ただ、コンテナ運賃市況にはピークアウト感がみられており、来期の減益・減配が予想される中、次のリリースが好材料出尽くしになる可能性もある。一方、国内外の市況低迷や安い中国鋼材の流出で苦戦している鉄鋼株は、日本製鉄に期待。今期下期からの鹿島高炉休止によるコスト削減や高付加価値の電磁鋼板の生産拡大による利益率改善、インドでの成長など来期以降の期待材料が多い。USスチールの買収を巡る不透明感は重石だが、長期を前提とした配当投資の場合、時間分散で徐々に打診買いを入れていくのは良いかもしれない。
■ディア・ライフ株価チャート/日足・6カ月
【3】金曜連載「ザイアナリスト小林大純『ホットなテーマ!』」
逆境に強いゲーム株、今月「東京ゲームショウ」も
日経平均株価が1600円超下落した今週4日、バンダイナムコホールディングスが逆行高となり、年初来高値(3320円、取引時間中)を付ける場面があった。また、バンダイナムコグループの玩具卸大手ハピネットにいたっては上場来高値(4030円、同)を更新。ゲームや玩具は景気の影響を受けにくいとみられる上、各社が抱える有力IP(知的財産)への期待も強い。また、サウジアラビア政府系ファンドが保有するゲーム株を傘下の事業会社に移す見通しと報じられ、協業などが見込めそうだ。実際、3月には人気アニメ『ドラゴンボール』のテーマパークをサウジで建設すると発表され、東映アニメーションにとって注目材料となっている。
このように、ゲームや玩具は海外の景気懸念を背景とした波乱相場でも、日本企業独自の強みを持つ分野として期待が持てそうだ。また今、ゲーム株に注目したい理由の1つとして、ゲーム見本市「東京ゲームショウ(TGS)2024」が控えていることも挙げられる。TGS2024は今月26~29日に幕張メッセ(千葉市)で開催され、過去最高となる25万人もの来場を見込む。一部メディアによれば、ソニーグループ傘下のソニー・インタラクティブエンタテインメントが5年ぶりにプレイステーションブースを大型出展するといい、話題になっているようだ。
ゲーム各社は足元で特設サイトを相次ぎ開設。4日オープンしたスクウェア・エニックス・ホールディングス傘下のスクウェア・エニックスのサイトでは、11月14日発売予定の『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』HD-2Dリメイク版などを出展することがわかった。これら注目作の詳細が明らかになることで、期待が一段と高まりそうだ。ゲーム各社のTGS2024での出展予定などを下表にまとめた。
小林大純
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
早稲田大学法学部卒、早稲田大学大学院ファイナンス研究科(現経営管理研究科)修了(MBA)。金融情報サービス会社などを経て現職。日本株アナリストとして各種メディアで活動中。
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