・円高進行もあって日経平均は大幅に7日続落…
・今日は不安定な市場環境でも安心の「質が高い」クオリティー銘柄に注目!
・投資の疑問は期待の小型グロース株が上がらないワケや投資の注意点
【1】今日の株式相場早わかり!
大幅に7日続落、日銀委員発言などから円高進行も
日経平均株価は大幅に7日続落! 10日の米国市場ではNYダウが反落する一方、ナスダック総合指数は続伸と高安まちまちだった。金融大手トップから慎重な発言が相次ぎ、JPモルガン・チェースが-5.19%、ゴールドマン・サックスが-4.39%となった。また、世界的な景気減速への懸念から原油価格が下落し、金利は低下(債券価格は上昇)した。為替相場が円高方向に振れたことで、今日の日経平均株価は続落スタート。日銀の中川順子審議委員が講演で追加利上げに前向きな姿勢を示したと受け止められると、円相場が一時1ドル=140円台まで上昇し、日経平均株価の下げ幅も900円を超える場面があった。
円高でトヨタ自動車、原油安でINPEXがそれぞれ売られたほか、三井ハイテックは決算を受けてストップ安となった。今晩の米国では8月の消費者物価指数(CPI)の発表が予定されており、市場予想は前年同月比+2.6%程度(7月は+2.9%)、食品・エネルギーを除くコアベースで+3.2%程度(同+3.2%)となっている。
【日経平均】35619.77円↓↓(-539.39円)
【グロース250】632.14↓↓(-18.68)
【NYダウ】 40736.96ドル↓(-92.63ドル、10日)
【ナスダック】17025.880↑(+141.277、10日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
不安定な環境で「質の高さ」に注目、クオリティー株
今日は東証プライムの9割超の銘柄が下落し、セクター別では全33業種がマイナスとなるなど、軟調な相場展開が続いている。米国で経済のハードランディング(急減速)への懸念が残る上、中国も10日発表の8月貿易統計で輸入の伸びが限定的だった。NY原油先物相場(WTI期近物)が10日に一時、およそ1年4カ月ぶりの安値を付けたことを踏まえても、世界的な景気減速への懸念は強そうだ。
当メルマガは不安定な環境での投資アイディアや注目銘柄をこれまでたびたび取り上げているが、今日は「企業の質(クオリティー)」に注目したい。「TOPIX500」指数採用銘柄(主力~中堅程度)のうち、自己資本比率が50%以上のものをROE(自己資本利益率)の高い順に並べたのが下表だ。財務の健全性が高く、もうける力も強いこれらの「クオリティー銘柄」は、不安定な環境で安心感のある銘柄と言える。
半導体株の反動安の影響が大きいレーザーテックやデクセリアルズ、円高が訪日客(インバウンド)需要の減少を想起させる寿スピリッツなどを除くと、株式市場が混乱した8月以降(7月末比)の株価はおおむね堅調だ。ZOZOは前期ROEが55.0%と非常に高く、カカクコムは第1四半期が好調な滑り出しだったこともあり、株価が大きく上昇している。コンサル会社のベイカレントや経費精算システム「楽楽精算」のラクスはグロース(成長)株としての位置づけが強い。
また、MonotaROは日経平均株価が急落し、直近安値(3万1156.12円、取引時間中)を付けた8月5日までの3営業日にプラスを確保した数少ない銘柄だ(TOPIX500指数採用銘柄ではコスモス薬品、TOTOを加えた3銘柄のみプラス)。
■ZOZO株価チャート/日足・6カ月
【3】水曜連載「投資の疑問に答えます」
期待の小型グロース株が上がらない…なぜ!?
(ご質問)
財務健全で成長性の高い小型グロース(成長)株の株価が、上がらないどころかどんどん下がっていきます。投資の際に何に注意したらよいでしょうか?
(答え)
投資家の期待値や流動性、金利動向などにも視点を広げてみましょう!
成長率の高い企業は一見、魅力的に見えますが、分かりやすい情報はすぐに株価に反映されてしまいます。大事なのは投資家の期待値をどれだけ超えられるかです。例えば、直近の四半期決算で増収率+30%でも、会社計画が+40%だったら、物足りないと捉えられる可能性があります。また、小型株だと、成長率が前年同期または前四半期との比較で加速していることを求められる場合も少なくないでしょう。先行投資などで増益率が一時的に鈍化することは珍しくありませんが、そうした局面でも、売上高の成長率はしっかり加速しているかを確認しましょう。
小型株の場合、株価が何倍にも大化けする可能性を秘めている一方、流動性(取引のしやすさ)には注意が必要です。流動性が低すぎると、それだけで株価のディスカウント要因になり得えますし、好決算でもそれに反応してくれる投資家が現れないリスクがあります。そのため、個人的な目安ですが、できれば1日あたりの平均出来高で5万株以上、売買代金で1億円以上は満たしているような企業を投資対象とするのがよいでしょう。
グロース株の場合、金利の上昇が様々な形で悪影響を及ぼすため、特に長期金利の動向にも注目しましょう。現在だと、国内長期金利に影響力をもつ米長期金利は、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待から低下傾向にある上、日銀の追加利上げ観測は後退していて全体的にはやや追い風です。今後、米利下げ期待が後退したり、日銀の追加利上げ観測が再燃しないかなどに注意しておくとよいでしょう。
(ザイアナリスト 仲村幸浩)
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