・自民党総裁選の結果を受けて日経平均は急反落…
・今日は9月の株主優待変更を点検。セコム新設に加え東京メトロIPOでも脚光!
・「新政権誕生で相場どうなる?」は週間予定コラムで
【1】今日の株式相場早わかり!
石破氏の政策や円高への警戒で急反落、政権運営に注目
日経平均株価は3日ぶり大幅反落! 27日の米国市場では主要株価指数が高安まちまちとなった。8月の個人消費支出(PCE)価格指数の伸びが予想を下回り、景気減速と追加利下げが意識された。また、中国政府が米エヌビディア製のAI(人工知能)半導体を利用しないよう中国企業に指示したと報じられ、半導体株が軟調だった。一方、国内では自民党総裁選で石破茂氏が勝利し、金融緩和に前向きな高市早苗氏の勝利を見込んでいた動きがはく落。石破氏が従来主張していた金融所得課税の強化などに対する警戒感もあり、週明けの日経平均株価は大幅反落すると、後場に3万7797.91円(-2031.65円)まで下落する場面があった。
日銀の追加利上げ観測とともに一時1ドル=141円台まで円高に振れ、三井住友フィナンシャルグループなどの銀行株やニトリホールディングスなどの円高メリット銘柄が逆行高となった。中小型株では「地方創生」関連銘柄に物色の矛先が向いたようだ。自民党役員・閣僚人事や衆院解散・総選挙日程などが相次ぎ報じられており、今後の政権運営に注目だ。
【日経平均】37919.55円↓↓(-1910.01円)
【グロース250】652.63↓↓(-23.12)
【NYダウ】42313.00ドル↑(+137.89ドル、27日)
【ナスダック】18119.590↓(-70.701、27日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
9月はセコムが優待新設! 東京メトロで優待に脚光?
今日は9月に発表された株主優待の変更を確認しよう。大手企業ではセコムが優待新設に踏み切ったのが注目される。また、引き続き優待内容を拡充する企業や利便性の向上を図る企業が多い上、期間限定優待や記念優待を実施する企業も散見された。
セコムは3月末を基準日として、保有株数・期間に応じ3000~3万円相当の防災備蓄品を贈呈する。9月末基準で1→2株の分割を実施しているが(9月24日号参照)、分割後100株から優待対象となる。従来は100万円以上だった最低投資額が50万円台に引き下がり、優待ももらえるようになったことで、個人投資家にとっては手掛けやすくなり、うまみも増したと言えそう。警備業界トップの同社は、景気の影響を受けにくいディフェンシブ株の一角として注目しておきたい。
また、イオン系食品スーパーのユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスは保有株数の区分を見直し、2000株以上の保有では優待額が増額されるケースも。さらに3年以上かつ1000株以上保有する株主を対象に長期保有優待制度を導入した(2月末のみ)。京成電鉄は優待乗車証と「太宰府・柳川観光きっぷ」「京成バラ園ローズガーデン入園券」を交換できるようになり、沿線以外の投資家にも利用しやすくなった。
すでに終了または権利落ちしたものだが、いちごが9月に期間限定優待を、名古屋鉄道が創業130周年記念優待を実施。今後も積極的な優待実施が期待できそうな企業として注目しておくのもいいだろう。鉄道会社といえば、10月23日上場予定の東京地下鉄(東京メトロ)が優待実施を打ち出し、話題となっている。優待が投資の魅力の1つとして再注目されるきっかけになりそうだ。
(ザイ優待アナリスト 小林大純)
■セコム株価チャート/日足・6カ月
【3】月曜連載「ザイアナリスト仲村幸浩『今週の焦点』」
落ち着き所を探る展開、米雇用統計に注意
先週の日経平均株価は+2105.65円(+5.58%)。米経済のソフトランディング(軟着陸)期待や日銀の追加利上げ観測の後退、中国当局による景気刺激策を背景に株価は堅調に推移。米半導体大手マイクロン・テクノロジーの好決算を受けて26日に1000円超上昇した上、週末27日には自民党総裁選で高市早苗氏の勝利を見込んだ円安が進み、900円超も上昇した。
自民党新総裁が石破茂氏に決まり、週明けは先週末から一転して円高・株安となっている。しかし、総裁選前後の石破氏の発言や新内閣人事の動向からは、投資家が懸念する日銀の追加利上げや金融所得課税に関しては以前より慎重な姿勢が窺える。相場への配慮が感じられ、投資家の過度な懸念は徐々に落ち着いていく可能性がある。また、石破氏は9日にも衆院解散に踏み切る意向だ。解散日から衆院選投開票日までは株高になりやすい上、衆院選の結果が与党の過半数割れでなければ、その後も株高になりやすい傾向があるため、アノマリーを意識した買いも相場を下支えしてくれそうだ。
一方、米国では重要指標が相次いで発表される。米株価指数は最高値更新劇を続けているが、楽観に傾いてきている分、予想を下回る指標が多いと反動が出やすいため注意したい。週末に発表される9月雇用統計では失業率が8月から横ばいと予想されているが、悪化する可能性は十分にある。3月期製造業決算の前哨戦とされる安川電機の決算も同日にあるため、週末にかけては神経質な動きになりそうだ。
石破新政権の誕生で短期的には日銀追加利上げ観測や円高が強まりやすい。投機筋の円買いポジションの増加が続いていることも考えると、円高メリットの内需系銘柄や銀行株・保険株、そのほかに石破氏がかねてから唱えている地方創生に関する銘柄などが今週は物色されそうだ。
仲村幸浩
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
立教大学経済学部卒業。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。証券会社や金融情報サービス会社を経て2023年10月より現職。マーケットアナリストとして各種メディアで活動中。
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