成長する米国&世界に投資する最強のFIRE計画(プロジェクト)

個人投資家に人気があるオプション。戦略なきオプショントレードはギャンブルになりがち!? 取引成功のカギはどこにある?

2024年10月2日公開(2024年10月1日更新)
ポール・サイ
facebook-share
twitter-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

個人投資家に人気があるオプショントレードに潜むリスクとは?

 オプションは、リスクは高いけれど高いリターンも見込める金融商品として、アメリカなどでは個人投資家に人気があります。しかし、オプショントレードをもし行うなら、それに伴ういくつかの大きなリスクについて、事前によく把握しておいた方がいいでしょう。

 特にオプションには満期日があることなどにより、その価値の変動には直感的に理解することが難しい点があり、これは多くの初心者にとって注意すべき要素と言えます。

 今回は、オプショントレードに伴うリスクと、なぜこれが過剰なリスクを取っているとみなされるのか、また、オプショントレードを成功させるためのカギは何かといったことなどについて解説したいと思います。

オプションの原資産である株式の価格が、自分の予想通りに動いても利益が得られるとは限らない!?

 オプションとは、ある原資産を将来のある期日(満期日)までにあらかじめ決められた価格で「買う権利」あるいは「売る権利」を売買する金融商品です。原資産になるものには個別株だけでなく、株価指数、為替、商品(コモディティ)など、さまざまなものがあります。

 オプショントレードの最大の難点の1つは、オプション価格には満期日までの時間に左右される側面と、原資産価格の変化に左右される側面の両方があることです。

 通常の株式取引とは異なり、オプション価格は「時間的価値」と「インプライド・ボラティリティ」(※)に強く依存します。

(※編集部注:「インプライド・ボラティリティ」とは、市場で取引されている実際のオプション価格から逆算して導き出される原資産のボラティリティ(変動率)のこと)

 このため、自分が取引しているオプションの原資産である株式の価格が、自分の予想した方向に動いたとしても、必ずしも利益が得られるとは限らないのです。特に満期日が近づくと、時間的価値が急速に減少し、思わぬ損失を被るリスクが高まります。

 この複雑さゆえに、投資家はオプションの値動きの「直感的な理解」がしにくく、結果として、取引のリスクやポジションの持続可能性を見誤りがちです。オプションを取引する際には、原資産となる株価の予測だけでなく、ボラティリティや時間経過の影響も考慮しなければならないため、高度な知識と経験が必要なのです。

オプション取引日本取引所グループ(JPX)のオプション取引解説ページ

オプショントレード成功のカギ。それは明確なカタリストの存在だ

 オプショントレードを成功させるには、明確で具体的なカタリスト(価格を動かす要因)が必要です。

 通常の株取引では、長期的な視点で企業の成長や経済全体の動向を考え、長期投資に徹することが可能です。この連載でも株式の長期投資をずっと推奨してきました。

[長期投資に関する参考記事]
短期的な株価下落に恐怖して株を売ってはいけない。長期投資で「複利の力」を最大限に活かし、雪だるま式に資産を増加させるために必要なことは?
テクノロジー株の調整は、追加投資のチャンス! AIへの重すぎる投資は長期的に正しい投資。短期の見方で株が売られれば、ピックアップできる
アップルやアマゾンの長期戦略を正しく認識できれば、短期で下げたところを自信を持って買える! 大劣勢のバイデンが大統領選から下りないのは自分のエゴ

 しかし、必ず満期日というものがやってくるオプショントレードでは、長期投資はあり得ません。

 そのため、オプショントレードでは、特定のイベントや決算発表など、短期的に価格を大きく動かすと思える要因を見極める必要があります。これに失敗すると、期待した価格変動が起こらず、時間だけが経過し、満期日が近づいていって、オプションの価値がゼロになるリスクが高まります。

オプショントレードは機関投資家やプロトレーダーが主に行っている。個人投資家の優位性(エッジ)は小さい

 オプショントレードは機関投資家やプロのトレーダーが主に取引を行っているため、個人投資家が優位性(エッジ)を持つのは非常に難しいのが現実です。

 たとえば、機関投資家は高度なアルゴリズムやデータ分析、専門のオプション戦略を駆使しているため、相場の動きをより正確に予測し、リスク管理を行うことができます。

 これに対して、個人投資家はこのようなリソースを持っておらず、特に短期的なオプショントレードにおいて勝てる可能性は低くなります。

正しい戦略を持たないオプショントレードはギャンブルになりがち。投資とギャンブルの違いとは?

 オプショントレードは、正しい戦略を持たない場合、ギャンブルと同じように「大きく稼ぐか、すべてを失うか」の博打的な取引となりがちです。

 オプショントレードは、株式の長期投資とは異なり、リスクとリターンのバランスを慎重に取るよりも、短期的に大きな利益を狙って過剰にリスクを取ることが一般的です。こうしたアプローチは、投資というよりも「運を試す」という点で、投資の本質から外れています。

 投資は本来、「忍耐」と「自分の優位性(エッジ)の理解」に基づいて行うものです。投資家は、自分の知識や分析に基づいた予測がどの程度のリスクを許容するかを見極め、その範囲内で取引を行うべきです。

 オプショントレードのようなハイリスク・ハイリターンの取引を頻繁に行えば、自分のリスク許容度を超え、自分の資産に大きな打撃を受ける危険性があります。

結論──オプショントレードには高度な知識とリスク管理が必要。個人投資家が「投資」の範疇で取引を行うのは難しい

 オプションは、高度な知識とリスク管理を必要とする金融商品であり、個人投資家が「投資」の範疇で取引を行うのは非常に難しいと言えます。

 特にオプションにおける満期日の存在や、オプション価格の変動要因をよくわからないまま取引していると、思わぬ損失を被る可能性が高いでしょう。そして、カタリストを見極める力や戦略が欠如したままで取引すれば、ギャンブルと同じようなリスクを伴います。

 もし、オプションを取引したいのであれば、自分のエッジをしっかりと理解し、そのエッジによってどれほどのリスクを許容できるかを見極めることが重要です。

 無理なリスクを取ることなく、堅実な投資アプローチを心掛けることで、投資は「ギャンブル」ではなく「戦略的な資産運用」にすることができるのです。

 

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。

※メルマガ「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」募集中! 米国株&世界の株分析毎週届き、珠玉のポートフォリオの提示も! 登録から10日以内の解約無料。


ザイアナリストの2人がやさしく、わかりやすく、徹底解説!ダイヤモンドZAiのオンライン講座「株の学校」
【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】2人の専門家がおすすめの「最優秀カード」が決定!2021年の最強クレジットカード(全8部門)を公開! 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

「株」全予測
人気株500激辛診断
優待年末年始

2月号12月20日発売
定価780円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[「株」全予測/人気株500激辛診断]
◎新春特別企画
2024年に儲けた株&損した株も大公開!
桐谷さんのゆく年くる年

2025年も全力優待ライフ
◎第1特集
2年目NISAの必勝法!
112人のプロに聞いた!
2025年「株」全予測&儲け方

●日経平均は5万円へ!日本株の高値・安値予測
●生成AIブームも半導体は苦戦!
上がる株・下がる株
●国内利上げで銀行・金融が有望!
上がる業種&テーマ
●中央銀行の買いが継続!金(ゴールド)
●トランプ政権下でも下落傾向!原油
●ドル円は年後半に140円台に!為替
●オルカンの次に買う1本も!投資信託

◎第2特集
買っていい10万円株は97銘柄!
<2025新春>人気の株500+
Jリート14激辛診断

●投資判断に異変アリ!
買いに躍進!》トヨタ自動車、ホンダ…など
強気に転換!》ソニーグループ…など
●儲かる株の見つけ方[1]旬の3大テーマ
通期で上ブレ期待/AI関連で恩恵他
●儲かる株の見つけ方[2]5大ランキング
PBRが低く改善に期待の株/アナリストが強気な株/配当利回りが高い株
●2025年新春のイチオシ株
10万円株/高配当株/株主優待株/Jリート
●気になる人気株
大型株/新興株/Jリート

【別冊付録】
増益割安株は1178銘柄
上場全3916社の最新理論株価

◎第3特集
トランプ政権下でどうなる!?
人気の米国株150診断
●S&P500指数をプロが大予測

●Big8を定点観測!GAFAM+αを分析!
●買いのオススメ株
トランプ株/高配当株
●人気の124銘柄を徹底診断
ナスダック/ニューヨーク証券取引所

◎第4特集
ザイクラブ拡大版!2024年はどうだった?
ザイ読者の悲喜こもごも&2025年の投資戦略
ザイ編集部員のプチ反省&自慢大会も!


◎連載も充実!

◆目指せ!お金名人
◆10倍株を探せ!IPO株研究所2024年10月編
◆おカネの本音!VOL.29兒玉遥さん
◆株入門マンガ恋する株式相場!
◆マンガどこから来てどこへ行くのか日本国
◆人気毎月分配型100本の「分配金」速報データ!


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

【法人カード・オブ・ザ・イヤー2023】 クレジットカードの専門家が選んだ 2023年おすすめ「法人カード」を発表! 「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報