日本人が米国株投資で気にする為替リスクについて、避けるべき行動とは?
円安が進むと「米国株を持っていてよかった、円換算で利益が増えた」という声を聞きます。逆に円高が進むと「米国株を売るべきか、円換算で損が出ている」という不安が広がります。
しかし、この為替の「上げ下げ」に過剰反応することは、長期投資家にとって最も避けるべき行動の1つと言えます。
理由はシンプル。
為替レートは短期的には激しく動きますが、長期的には購買力平価(PPP)という「理論値」に向かって収束する傾向があるのです。つまり、日米間のインフレ率の差が長期的な米ドル/円レートの方向性を決めるということです。
米ドル/円の各種購買力平価(PPP)と実勢相場 上から紺色のグラフ:実勢相場、赤色のグラフ:消費者物価PPP(1973年基準)、緑色のグラフ:企業物価PPP(1973年基準)、水色のグラフ:輸出物価PPP(1973年基準) 出所:公益財団法人 国際通貨研究所
短期的な為替変動に反応して、米国株の売買を繰り返すことは、長期的なリターンを損なう行為になります。
[参考記事]
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円という通貨には構造的な弱さがある
そして、円という通貨には構造的な弱さがあることも認識する必要があります。
日本の人口は減少を続け、財政赤字は積み上がっており、日銀は低金利政策から抜け出すことに慎重な姿勢を続けています。こうした構造的要因は、長期的に円の価値を押し下げる方向に働く可能性があります。
私は為替が「円安になる」と断言はしていません。しかし、「日本円だけで資産を保有し続けることには、通貨リスクが伴う」という事実を認識することは重要なことだと考えます。
米国株などの外貨建て資産を保有することは、株式のリターンを期待できるだけでなく、円資産のリスクヘッジとしても機能します。
これは特に老後に向けた資産形成を考える日本人投資家にとって、重要な視点でしょう。
[参考記事]
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ドルコスト平均法を採用すれば「自然な為替ヘッジ」になる
為替リスクへの最もシンプルな対処法は、外貨建て資産を毎月一定金額、定期的に積み立てる「ドルコスト平均法」です。
[ドルコスト平均法に関する参考記事]
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この方法で外貨建て資産を積み立てていけば、円安のときは少ない数量しか買えませんが、円高のときは多くの数量を買えることになります。こうして長期間にわたって積み立てを続けることで、為替レートの平均化が自然に起きることになります。
「今は円安だから買うのを控えよう」「もっと円高になってから買おう」という判断は、タイミングを計ることへの欲望から来ています。
しかし、為替の予測は、株価の予測と同様、プロでも安定的に当てることはできません。定期積立という「機械的な行動ルール」は、この人間の心理的弱点を補う最も合理的な方法です。
為替の円安・円高は短期的なノイズ。長期投資家は為替タイミングを計らず、定期的な積立で自然にヘッジしましょう。そして、円の構造的弱さを知ったうえで、外貨建て資産を持つ意義を理解することも大切です。
●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガ「米国株&世界の株に投資しよう!」を配信中。著書『台湾系アメリカ人が教える 米国株で一生安心のお金をつくる方法!』発売中。
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