成長する米国&世界に投資する最強のFIRE計画(プロジェクト)

長期投資家がとるべき3つのシンプルな戦略とは? いくら優良企業でもいつ投資してもOKとは限らない!? そもそも長期投資に向かない業種とは?

2025年2月19日公開
ポール・サイ
facebook-share
x-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

長期投資家がとるべき3つのシンプルな戦略とは?

 長期的に市場を上回るリターンを得るためには、特定の企業の短期的な動向やマクロ経済の変化に振り回されるのではなく、本質的な価値を持つ企業に焦点を当てることが重要です。

 そのため、多くの長期投資家は次のようなシンプルな戦略を実践しています。

(1)良い会社を買う

(2)過剰に支払わない

(3)何もしない

 上記のような戦略をとること、すなわち、優れた企業に適正価格で投資し、長期間保有すれば、複利の力を最大限に活用することができるのです。

効率的に利益を上げ、競争優位性が高く、景気変動の影響を受けにくい「良い会社」

 「良い会社」とは、持続的に高いROCE(使用資本利益率)(※)を維持し、競争優位性を持つ企業です。

(※編集部注:「ROCE(使用資本利益率)」とは、使用した資本に対してどれだけの利益を得られたかを表す指標。ROCE=EBIT÷使用資本が計算式になる。「利益」の数字には「EBIT(利息および税金控除前利益)」を用い、「使用資本」の数字には「自己資本+有利子負債」を用いる)

 こういった企業は、事業サイクルを通じて安定したキャッシュフローを生み出し、価値を創造し続けます。

 このような企業は景気変動の影響を受けにくく、特に消費財、テクノロジー、ヘルスケアなどの業種に多く存在しています。

 たとえば、ペプシコ(PEP)、エスティローダー(EL)、ユニリーバ(UL)、フィリップモリス(PM)などの消費財企業はブランド力が強く、長期的に安定した収益を生み出しています。

(※銘柄名のあとのカッコ内はティッカー。以下同)

フィリップモリス月足フィリップモリス(PM)チャート/月足・10年(出典:SBI証券公式サイト) ※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます

 また、マイクロソフト(MSFT)、googleの持株会社・アルファベット(GOOG)、アマゾン(AMZN)、アドビ(ADBE)などのテクノロジー企業は、高い成長性と収益性を兼ね備えており、デジタル化の進展により今後も成長が期待されます。

アルファベット月足アルファベット(GOOG)チャート/月足・10年(出典:SBI証券公式サイト) ※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます

 このような企業はLong Term Winner(長期的な勝者)とも言えます。

安定したリターンを求める長期投資家が避けた方がいい業種とは?

 一方で、長期投資家は銀行、航空、化学、エネルギー、鉄鋼など、景気循環の影響を受けやすい業種を避ける傾向があります。

 これらの企業は、景気の変動や原材料価格の高騰などに業績が左右されやすく、持続的な収益の確保が難しいため、長期的な価値創造には向かないと考えられるからです。

 安定したリターンを求める投資家にとっては、事業の予測可能性が高い企業のほうが適していると言えるでしょう。景気循環の影響を受けやすい業種は、長期保有には向いていません。

 もしも、このような企業に投資したければ、サイクルを正しく読むことが極めて重要になってきます。

いくら優れた企業でも、割高な株価で買うのは望ましくない

 また、長期投資家にとって、「過剰に支払わない」ことも重要な原則です。

 いくら優れた企業でも、割高な株価で購入すれば将来のリターンが低下します。そのため、たとえば、FCF利回り(※)など、その企業のバリュエーションを慎重に分析し、株式を買う際は適正な価格で買うことを心がけるのがいいでしょう。

(※編集部注:「FCF利回り」とはフリーキャッシュフローを時価総額で割った指標)

 たとえば、テクノロジー株が急落した時などは、その企業の長期的な成長性を考慮して追加投資を行うことで、優良企業の株式をリーズナブルな価格で取得することができます。

純利益が増えていても、キャッシュフロー管理が不適切だと黒字倒産のリスクもある

 そして、長期投資家が特に注意すべき点は、純利益(ネットインカム)とキャッシュフローは異なるものだということです。

 企業の財務諸表では、会計上の利益が計上されているものの、そこに実際のキャッシュフローが伴っていないケースがあります。

 たとえば、売掛金の増加により売上が計上されていても、現金の回収が遅れれば、企業の運転資金が不足し、資金繰りが悪化します。特に成長企業では、利益は出ているのにキャッシュフローがマイナスという状況に陥ることがあり、キャッシュフロー管理が適切に行われなければ、黒字倒産のリスクもあります。

 そのため、長期投資家は単なる会計上の利益だけでなく、キャッシュフローの健全性を重視します。

「優良企業を適正な価格で買い、長期的に保有する」という原則

 ここまで述べてきた投資戦略は、一見シンプルに見えますが、それを実践するには忍耐と規律が求められます。「優良企業を適正な価格で買い、長期的に保有する」という原則は、多くの個人投資家にとっても有益な指針になるでしょう。

 短期的な市場のノイズに惑わされず、企業の本質的な価値を見極めることが、投資で成功するための鍵になるのです。

 

☆ポール・サイ氏は、「米国株&世界の株に投資しよう!」というルマガを毎週配信しています。米国株を中心としたFIREのためのポートフォリオ(1年半で2倍以上のパフォーマンス!)の提案や米国株の分析、シアトル在住の強みを生かした現地のニュースなどのレポートなどを配信しています。登録後10日以内の解約は料金が無料となりますのでぜひご登録をお願いします

 

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。

※メルマガ「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」募集中! 米国株&世界の株分析毎週届き、珠玉のポートフォリオの提示も! 登録から10日以内の解約無料。


一番売れてる月刊マネー誌『ダイヤモンド・ザイ』の“決算入門講座”が開講!詳しくはこちら!
ダイヤモンド・ザイのウェブ会員登録はコチラから 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
moomoo証券は「米国株」投資におすすめの証券会社! 楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
moomoo証券は「米国株」投資におすすめの証券会社! マネックス証券の公式サイトはこちら 楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

株主優待
人気株500激辛診断
最新理論株価

11月号9月20日発売
定価990円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[株主優待/人気株500激辛診断]
◎巻頭特集
優待の達人へのアンケートでランキング!
目的別株主優待カタログ88
●桐谷さんは優待新設ラッシュをどうみる?&
実際に買った優待新設株35銘柄

●2大優待賢人ようこりん&桐谷さんが語る
暮らしも投資もトクする株主優待の魅力」
●ようこりんが大盤振る舞い!
株主優待BIGプレゼント
<家計応援優待>食品/日用品/買い物
●<プチ贅沢優待>グルメ/レジャー・エンタメ/リッチ雑貨

◎第1特集
買っていい高配当株は98銘柄!
<2025年秋>
人気の株500+Jリート14激辛診断
●儲かる株の見つけ方[1]旬の3大テーマ
業績の初速好調で上ブレ期待/株価出遅れで上昇余地大/値上げが順調などインフレに強い
●儲かる株の見つけ方[2]5大ランキング
第1四半期の進捗率が高い/アナリストが強気/配当利回りが高い/初心者必見の少額で買える/理論株価より割安
●2025年秋のイチオシ株
10万円株/高配当株/株主優待株/Jリート
●気になる人気株
大型株393/新興株86/Jリート10

◎第2特集
関税の影響は?AIってどこまで浸透?
人気の米国株150激辛診断[2025年10-12月]

●米国在住プロのリアルレポート
●GAFAM+αの8銘柄を定点観測

●買いの注目優良株&高配当株
●人気の124銘柄の買い売り診断
ナスダック49/ニューヨーク証券取引所
●株価10倍を狙う!米国IPO株

◎第3特集
大幅上昇を狙う!
未来を変える革新的な企業を買う投資信託

●テーマ型投信に投資するメリットと注意点
●最新テクノロジーはすべての土台!半導体/AI

●次世代を担う最有力テーマ!宇宙/ロボット
●いま勢いのあるテーマに乗る!暗号資産/エンタメ/サイバーセキュリティ

【別冊付録】
増益予想で割安な株は1501銘柄
上場全3889社の最新理論株価

◎連載も充実
​●読者参加型企画・1カ月で上がる株を当てろ!
「エア・ウォーターが1番!任天堂は利益確定売りで失速」
●ZAiのザイゼンがチャレンジ!目指せ!お金名人Vol.14
「後払い決済のトラブルに注意」
●17億円トレーダー・ジュンのFX成り上がり戦略Vol.09
「大相場を生む『要人発言』」
●おカネの本音!VOL.39 小川コータさん
「マイクロソフトにフリック入力を売却した発明家の稼ぐ思考法」
●株入門マンガ恋する株式相場!VOL.107
「添い遂げる!? 生成AIと米国企業」
●マンガどこから来てどこへ行くのか日本国
「大幅値上げは不可避!日本の水インフラは深刻な危機」
●人気毎月分配型100本の「分配金」データ!
「株価上昇や円安で利回り10%超が16本と急増!」


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報