チャートだけを見て、それが「どの会社の株か」をかなりの確率で当てる友人の話
先日、友人の形成外科医と食事をしていたとき、おもしろい話を聞きました。
彼は投資が好きで、あるテレビ番組をよく見ているそうです。その番組では、まず会社名を隠した株価チャートだけが画面に表示されます。そして、視聴者はそのチャートを見て、それが「どの会社の株か」を当てるのだそうです。
彼はこれをかなりの確率で当てることができると言います。理由を聞くと「チャートの動きにはそれぞれクセがあるから」と言っていました。
イラスト:いらすとや
たとえば、特定の業界や企業には独特の値動きのパターンがあり、それを覚えていると、チャートから会社名をある程度、推測できるのだそうです。
彼自身の投資スタイルは、いわゆるテクニカル分析中心です。
ファンダメンタルズを深く分析するというよりも、チャートの形やパターン、過去の値動きの傾向を見て、主にオプション取引を行っています。
このようなアプローチは、特に短期の売買では非常に有効なことがあります。市場心理や需給の変化は、しばしばチャートに先に現れるからです。
ファンダメンタルズとテクニカルの両方を組み合わせるのが最も合理的
もっとも、私自身はファンダメンタルズとテクニカルの両方を組み合わせるのが最も合理的だと考えています。
まず、長期的な視点では、その企業が本当に投資に値する会社なのか、成長性や収益力、競争優位性など、ファンダメンタルズ面を分析する必要があります。これはいわば「何を買うか」を決める作業です。
一方で、テクニカル分析は「いつ買うか、いつ売るか」を考える上で非常に役立ちます。どんなに良い会社でも、タイミングによって投資成果は大きく変わるからです。チャートのパターンやサポートライン、出来高の動きなどを観察することで、より有利なエントリーポイントや出口を見つけることができます。
[参考記事:筆者がエヌビディアをほぼ大底で買った時のテクニカル的な解説など]
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その意味で、友人が見ている「チャートから会社を当てる」というテレビ番組のゲームは、単なる娯楽以上の価値があります。
チャートを繰り返し見ることで、業界ごとの値動きの特徴や、個別銘柄の“性格”のようなものが自然と身についていきます。ある企業はニュースに対して過剰に反応しやすく、別の企業は比較的安定したトレンドを描く、といった違いが見えてくるのです。
現在のような地政学リスクによる市場のボラティリティが高い局面でも、チャートをよく観察することは役に立つ
さらに、こうして身につけたチャートの感覚は、現在のような地政学リスクによる市場のボラティリティが高い局面でも役立ちます。
たとえば、イランを巡る戦争によって市場が大きく揺れている状況では、多くの優良企業の株価も短期的に上下に振れます。しかし、チャートをよく観察すると、過去に何度も止まっているサポートラインが見えてくることがあります。
優れた企業の株価が一時的な混乱でその水準まで下がったとき、それはむしろ長期投資家にとってのエントリーポイントになる可能性があるのです。
「ファンダメンタルズ派」と「テクニカル派」の対立が語られることもあるが、実際には両者は競合するものではなく、補完し合うもの
投資の世界では、「ファンダメンタルズ派」と「テクニカル派」が対立して語られることもあります。しかし、実際にはこの2つは競合するものではなく、補完し合う道具です。
長期的な価値を見極める目と、短期的な値動きを読む感覚。その両方を持つことができれば、投資家としての武器は確実に増えるはずです。
そして、もしかするとその最初の一歩は、私の友人の形成外科医のように、ただ「このチャートはどの会社だろう?」と考えてみることなのかもしれません。そうした小さな練習の積み重ねが、やがて市場を見る目を大きく鍛えてくれるのです。
●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガ「米国株&世界の株に投資しよう!」を配信中。著書『台湾系アメリカ人が教える 米国株で一生安心のお金をつくる方法!』発売中。
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