2025年が始まりました。今回は私がメルマガで配信しているFIREポートフォリオのパフォーマンスなどについて振り返ってみたいと思います。このポートフォリオはテクノロジー株とエネルギー株を中心に構成されていますが、それがどのような効果を持ってきたか、ポートフォリオの分析もしてみたいと思います。
FIREポートフォリオの累計リターンはS&P500を大きく上回り、2年5ヵ月の累計リターンは140%超!
FIREポートフォリオは、AIをテーマにしたテクノロジー株とエネルギー株に重点を置いた分散型ポートフォリオです。
そのパフォーマンスデータを分析してみます。
以下のグラフで青いラインはFIREポートフォリオの累計リターンの推移、オレンジのラインはS&P500連動ETFの累計リターンの推移を示しています。
FIREポートフォリオのメルマガ配信をスタートしたのは2022年8月でしたが、そこから2024年末までの2年5ヵ月でその累計リターンは140%を超えました。そして、この右肩上がりのグラフを見れば、ほぼどのタイミングで投資を開始しても利益を出せたことは明らかでしょう。
特に、月次リターンがマイナスに終わった月はわずか9回です。これは投資家にとって、このポートフォリオをキープすることが、安定した選択肢であることを示しています。S&P500を下回った月は29ヵ月のうちで5ヵ月のみ。全体の6分の1ぐらいです。
上のグラフで一目瞭然ですが、FIREポートフォリオの累計リターンは、S&P500を大きく上回っています。
特に2024年5月には累計リターンが100%を超え、同時期のS&P500のリターンを大幅に凌駕しています。このような結果は、AI関連株やエネルギー株が市場で高い成長を示したことによるものであり、テーマ投資の重要性を示しています。
[参考記事]
●推奨ポートフォリオの2024年年間パフォーマンスは約60%上昇! S&P500の約2倍のリターンを上げたポール・サイが予想する2025年の経済環境、株式市場は?
●「推奨ポートフォリオが2024年に約60%上昇」ポール・サイの投資術は、AIで市場が悲観的になった時に買う! 市場が過熱している時は売るか待つ
FIREポートフォリオのボラティリティはS&P500より高いが、それが悪いこととは言えない
しかし、FIREポートフォリオのボラティリティは、比較対象としたS&P500よりも高くなっています。
これは、テクノロジー株という成長性の高いセクターに重点を置いたためですが、結果として最終的なリターンが高かったことを考えれば、ボラティリティがある程度高かったことは悪いこととは言えません。
ボラティリティがある程度高いと、一時的な下げ局面がそれ相応に大きなものとなり、そこで強気を維持できない投資家が振り落とされ、それがその後のより一層の上昇につながっていることも考えられます。
注目すべきは、累積リターンが一度上昇すると、非常に大きくは下がっていない点です。FIREポートフォリオは短期的な調整局面があっても、急激なリターン低下は回避し、着実に上昇トレンドを維持してきたのです。
この安定感は、長期投資を志向する投資家にとって非常に魅力的な特徴でしょう。市場全体の波にあまり左右されることなく、テーマ株への集中がポートフォリオ全体の強さを支えています。
FIREポートフォリオの6ヵ月間のローリング・リターンはほとんど常にプラス
さらに注目したいのは、6ヵ月間のローリング・リターン(※)がほとんど常にプラスである点です。これは、このポートフォリオを保有する投資家にとって、半年間の保有期間中に損失を経験する可能性が極めて低いことを示しています。
このようなポートフォリオの特徴は、リスクを軽減しながら確実なリターンを追求したい投資家に大きな安心感を与えていると言えるでしょう。
(※編集部注:「ローリング・リターン」とは、リターン計測期間の起点と終点を少しずつずらしながら一定の保有期間となるすべてのリターンを計算したもの)
また、月次のマイナスリターンの少なさも、FIREポートフォリオの強みです。
今回、分析対象とした29ヵ月の中で、S&P500が11回の月次マイナスリターンを記録したのに対し、FIREポートフォリオはそれが9回に過ぎず、下落局面での安定感を示しています。これは、投資家が長期的な資産形成を目指す上で安心して選択できる要素です。
AI関連の成長株とエネルギー株の組み合わせは、安定的な資産の成長を目指すのに適している
それに加え、このポートフォリオの成功は、現在、市場の注目を集めるテーマに沿った銘柄と、それとは対照的に堅実な収益基盤を持つ銘柄の組み合わせに支えられています。
具体的には、市場の注目を集めるAI関連の成長株はポートフォリオの主力ですが、そういった銘柄は金利に敏感であり、金利上昇がマイナス要因になります。
その一方、それとはまったく異なるエネルギー株もポートフォリオに組み入れていますが、そういった銘柄はインフレヘッジになる側面を持っています。インフレが進むと、金利上昇リスクが高まるわけですが、AI関連のテクノロジー株とエネルギー株を両方、ポートフォリオに組み入れることで、うまくバランスをとっているのです。
FIREポートフォリオのアプローチは、安定的な資産の成長を目指したい投資家にとって、非常にリーズナブルな選択肢であると言えるのではないでしょうか。
メタのザッカーバーグCEO「バイデン政権はテクノロジー業界に厳しすぎた」 トランプ政権下での政策転換に期待!
最近、アメリカの有名なポッドキャスト番組「ジョー・ローガン・エクスペリエンス」にメタのマーク・ザッカーバーグCEOが出演し、ジョー・ローガンにインタビューを受けているのを聞きました。そこで、私が特に感じたことがあります。
[ジョー・ローガン・エクスペリエンスに関する参考記事]
●トランプ氏が人気番組でジョー・ローガンに語ったオドロキの内容とは? 関税収入を活用すれば、所得税をゼロにできるって本当? その実現性を検証!
ザッカーバーグCEOは、バイデン政権がさまざまな意味でテクノロジー業界を厳しく取り締まっていたと話していました。
また、世界の他の国々がそれを参考にして、同様にテクノロジー業界を制限する動きを見せていたとのことです。
アメリカでは法制度が整備されているため、そのような締め付けに対しては訴訟などで対応できる場面も多いのですが、他の国々ではそのような体制が整っておらず、結果として世界的に業界全体へ大きな影響が及んでいたようです。
もうすぐアメリカはトランプ政権に再び戻ります。そうなると、アメリカのテクノロジー企業、すなわちアメリカの強みを象徴する企業が世界で競争力を持てるよう、支援が行われると予想されます。
イデオロギーを中心とした政策よりも、アメリカの競争力強化に焦点を当てた政策が展開されることが期待できるのです。
●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。
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