【日本株】東証の「上場維持基準」を現段階で満たすために、今後の“株主還元”強化に期待できるグロース市場の注目5銘柄を紹介！
ダイヤモンド・ザイでは、毎号巻頭の「ZAiニュース・チャンネル」で、マネーに関する”最旬“トピックを取り上げている。発売中のダイヤモンド・ザイ4月号のテーマは「必死で東証の上場維持基準に到達することを目指す【上場廃止崖っぷち企業】を狙え！」。
2022年に市場を再編した東証だが、そのときに設定した上場維持基準の「経過措置」が終了するタイミングが近づいてきた。この記事では、それによって株式市場にどんな影響があるか、どんな銘柄に注目すべきかを解説しているので、投資の参考にしてほしい！
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上場維持基準の「経過措置」が終了すると何が起こる？
株主還元や成長戦略による株価向上に期待が持てる銘柄も！
今年、多くの企業が上場廃止の危機に直面することをご存じだろうか？ その理由は、東証の上場維持基準の「経過措置」が終了するためだ。裏を返せば、危機を回避するために本気で株価の向上を図る企業も増えるということ。投資家にとってはチャンスでもある。
まずは、上場維持基準についてざっと解説しよう。東証は2022年4月に市場を再編し、プライム、スタンダード、グロースの3市場が誕生した。このとき、新たな上場維持基準が設定されたが、それを満たさない企業も、経過措置として暫定的に上場が認められてきた。
だが、今年3月から経過措置は順次終了（決算期によって異なり、3月期決算の場合は2025年3月で終了）。この時点で上場維持の基準を満たしていない場合、1年間の改善期間での基準達成が求められる。
山和証券の志田憲太郎さんは「上場基準の中でも、特に『流通株式時価総額』がハードルになる」と語る。たとえば、流通株式時価総額80億円の企業が100億円を目指すには、株価を25％上昇させればいい。
「プライム、スタンダードの企業に残された時間は、1年数カ月です。大幅に業績を向上させるのは難しく、現実的な時価総額の向上策として、増配や株主優待の拡充、自社株買いといった株主還元の実施が期待されます」（志田さん）
本気で株主還元策に取り組む企業の株を先回りして買いたいところだが、どのように見抜けばいいのか。
「まず、財務面で株主還元をする余裕があるかどうか。自己資本比率や利益剰余金の大きさ、有利子負債が多くないか、などを見ましょう。また、流通株式比率が基準に満たない企業には注意。増資や、大株主の保有株の売却で流通株式を増やそうとします。需給が崩れ、株価にネガティブな影響が出かねません」（志田さん）
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また、新興企業の多いグロース市場には、プライムやスタンダード市場とは異なる上場基準も設定されている。それは「上場後10年経過後に時価総額40億円以上」というものだ。
これを踏まえて、プライムコムリサーチの松尾範久さんは「まだ上場から10年が経過していない銘柄が狙い目」と指摘する。
「2～3年の猶予があれば、株主還元だけに頼らず、しっかりした成長戦略を示すことで株価を向上させられるでしょう。現在の時価総額が20億～30億円台なら、十分達成の可能性があります」（松尾さん）
以下は、松尾さんがセレクトしてくれた、グロース市場で上場維持基準に達していない注目株の一例だ。このうち、インターネットインフィニティー（6545）は2月14日に株主優待の新設を発表し、株価は急騰。その他の銘柄も、同様に株主還元を発表し、株価が上がる可能性を秘めている。
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◆グロース市場で上場維持基準が未達の注目5銘柄 |
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| 上場10年になる年月 | 株価（2/5） | 時価総額 | 最新の株価 |
| ◆ピクスタ（3416・東G） | |||
| 2025年9月 | 1058円 | 24.3億円 |
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| 【コメント】写真・動画素材の販売サイトを展開。機械学習用データの受注もあり、AI銘柄として期待。 | |||
| ◆リネットジャパングループ（3556・東G） | |||
| 2026年12月 | 246円 | 35.9億円 |
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| 【コメント】リサイクル事業で学校PCの入れ替え特需。障がい者福祉施設事業との2本柱で成長戦略を描く。 | |||
| ◆イノベーション（3970・東G） | |||
| 2026年12月 | 1149円 | 31.3億円 |
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| 【コメント】IT製品の比較サイトを運営。マーケティング自動化支援の連結子会社と連携し収益力強化。 | |||
| ◆インターネットインフィニティー（6545・東G） | |||
| 2027年12月 | 502円 | 27.2億円 |
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| 【コメント】リハビリ型デイサービス事業。今期は営業利益3.6億円、28年3月期に9.8億円の目標。2月14日に株主還元策で株主優待を導入し、株価は急騰。 | |||
| ◆エクスモーション（4394・東G） | |||
| 2028年7月 | 846円 | 25.5億円 |
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| 【コメント】自動車業界向けなど、今後の有望市場である組み込みソフトの品質改善に特化し、安定成長。 | |||
※データは2025年2月5日時点。 |
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企業側は基準達成に向け、どう取り組むのか。上の注目株にも入っているリネットジャパングループ（3556）の黒田武志社長に話を聞いた。なお、リネットジャパングループは「ネットオフ」などのリサイクル事業を展開する企業で、現在の時価総額は36億円。黒田社長は「今が大底だと思っている」と話す。
「カンボジアの金融事業での大赤字が、株価低迷の最大の原因です。この事業からは撤退し、今後はPCのリユースと障がい者向けグループホームを2本柱として立て直します。時価総額40億円といわず、今年中に100億円まで戻したい。社員には、株価が安い今、従業員持株会に入るようにと奨励しています」（黒田社長）
ところで、上場維持基準の達成が難しくなった企業はどうなるのだろうか？
「プライムからスタンダード、スタンダードから名証など、基準の緩い市場に移るという選択肢もあります。また、ほかの企業に買収される、経営陣による自社買収（MBO）といった道もあり、その場合は株価上昇が期待できます」（志田さん）
各社の上場維持に懸ける本気度を確認するためにも、IR資料などでの経営者の発信内容は要チェックだ。
なお、この記事ではグロース市場の注目株を取り上げたが、ダイヤモンド・ザイ4月号の本誌ではプライム市場とスタンダード市場で上場維持基準が未達の注目銘柄も取り上げているので、併せてチェックしてほしい。
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