人間と同等かそれ以上の知的能力を持つAGI(汎用人工知能)の登場が迫っている
AGI(汎用人工知能)の登場が目前に迫っています。
AGIとは、人間と同等、またはそれ以上の知的能力を持ち、多様な分野で人間が行う作業を行えるAIです。
グーグル傘下のAI開発企業、Google DeepMindのデミス・ハサビス氏はAGIを「人間が解決できるすべての課題に対処し、さらに相対性理論のような革新的なアイデアを生み出す存在」と定義しています。
また、OpenAIの元研究担当副社長であり、AIのスタートアップ、Anthropicの共同創業者、ダリオ・アモデイ氏は、AGIを「複数の分野でノーベル賞級の成果を達成可能なモデル」としており、その到来が現実味を帯びていることを示しています。
2030年までにAGIが実現する可能性は50%との見方も
業界の専門家たちは、AGIがいつ頃、開発されるか、具体的な予測を示しています。
Google DeepMindのデミス・ハサビス氏は、2030年までにAGIが実現する可能性を50%と見積もっており、OpenAIのサム・アルトマンCEOは2025年以降にはAIが企業の生産性に大きな変化をもたらすと考えています。
つまり、AGIの普及は遠い未来の話ではなく、すぐそこに迫っている現実と言えるでしょう。
AGIの普及で懸念されるのが知的労働の「コモディティ化」
AGIが普及すれば、経済にはどのような影響が出るでしょうか?
現在、グーグル、マイクロソフト、エヌビディア、メタ、アマゾンなど巨大テック企業がAI開発に膨大な資金を投入しており、知的労働が急速に自動化されつつあります。こうした状況の中、特に知的労働の分野において、人間が行う作業の多くがAIに代替される可能性が高まっています。
重大な懸念点として挙げられるのが、知的労働の「コモディティ化」です。
これまで希少で高価値だった知識や専門的スキルが容易にAIによって再現可能となることで、労働者が労働を通じて資本を蓄積することが困難になります。すなわち、労働から資本への変換効率が低下し、資本の希少性が高まる可能性があるのです。
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AGIの普及によって、多くの職種が消滅または低賃金化する恐れがある

たとえば、大規模なAI導入を行った企業ですでに人員削減が進んでいるように、今後、さらに多くの職種が消滅または低賃金化する恐れがあるでしょう。結果として、中間層の所得が縮小し、経済格差がさらに拡大する可能性があります。
資本を持つ層はAGIによる効率化の恩恵を享受できる一方、資本のない労働者は資本への転換が難しくなり、経済的な分断が一層進むかもしれません。
このような状況を考えると、AGIの到来に備えて、この分野への投資と資本の蓄積がこれまで以上に重要となります。AGIが普及する前に資本を蓄積し、それを運用する手段を見つけることで、自身や家族の将来的な経済的安定性を確保する必要性が高まっています。
AGIの時代には経済だけでなく、社会全体のあり方を見直し、新たな価値観や社会のしくみを築いていく必要がある
教育分野にも、AGIは大きな影響を与えるでしょう。
個別指導型AIが普及すれば、すべての生徒が高品質な教育を受けられるようになり、教育格差が縮小する一方、「何を学ぶべきか」という問いに対する答えは難しくなります。
何しろ高度な知的労働がAIで代替可能になっていくわけですから、これまでと同じような形で知識や知的能力を身につける教育を受けても、それはあまり価値のないものになっていくと考えられるからです。
AGIの時代に生きる次世代の人たちは、どのようにキャリアを選び、生計を立てていくかが重要な課題となっていくでしょう。
AGIの時代において、私たちは経済だけでなく、社会全体のあり方を見直し、新たな価値観や社会のしくみを築いていく必要があるということです。
今、求められているのは、技術革新がもたらす影響を理解し、それに備えることなのです。
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●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。
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