成長する米国&世界に投資する最強のFIRE計画(プロジェクト)

トランプ大統領はパウエル議長を「負け犬」と罵ってまで、なぜ激しく攻撃しているのか? それはトランプ大統領が利下げとインフレ加速を望んでいるからだ

2025年4月23日公開
ポール・サイ
facebook-share
twitter-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

パウエル議長はダイレクトな言葉は使わなかったが、アメリカが「スタグフレーション」へ陥る可能性を示唆した

 4月16日、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長の講演がシカゴ経済クラブでありました。講演後の質疑応答の中で、パウエル議長は、関税の短期的影響として失業率の上昇とインフレの加速が予想されると警告しました。

 このパウエル議長発言は「スタグフレーション」(経済成長の停滞とインフレの同時発生)を示唆していますが、彼はこの言葉自体を使うことは避けました。そして、「FRBの使命は雇用の最大化と物価安定だが、今年はこれらの目標の達成が困難である可能性が高い」と述べました。

トランプ大統領はパウエル議長を「負け犬」と罵ってまで、なぜ激しく攻撃しているのか?

 現在、ホワイトハウスは利下げを強く望んでおり、このところ、トランプ大統領はパウエル議長を解任する可能性について言及してきました。4月21日にはパウエル議長は「負け犬」だと厳しく批判したほどです。

 パウエル議長のFRB議長としての任期は来年(2026年)5月までであり、次期議長は政権と市場の両方を納得させる人物である必要があります。

 トランプ大統領がパウエル議長を激しく攻撃している理由の1つは、インフレを望んでいるからだと思われます。

 低金利とインフレは、不動産業出身のトランプ大統領にとっては都合の良い組み合わせなのです。アメリカの債務利払いは2026年にGDPの3.2%、1兆ドルを超える見込みで、短期国債中心の資金調達が好まれるでしょう。

 低金利政策はインフレを加速させますが、実質金利(名目金利-予想インフレ率)をマイナスにすることは、多額の債務を抱える政府にとって、その債務を実質的に軽減できる古典的な解決策とされてきたことです。

 なぜなら、インフレによって名目GDPは増えるため、名目GDPに対する債務の比率が相対的に下がるからです。インフレによって債務の実質的価値を下げ、過剰な債務を解消する方向へもっていくことが可能となるのです。

中国が米国債をさらに大量に売却し、米長期金利が急上昇すれば、市場は大混乱に陥るだろう

 FRBのバランスシートは新型コロナのパンデミック時に拡大し、現在でも6.7兆ドルと過剰な規模になっています。

 関税や政策不安から、最近、アメリカの長期金利は上昇しています。

米長期金利(米10年物国債利回り)日足米長期金利(米10年物国債利回り)日足 出所:TradingView

 さらに関税によってアメリカの貿易赤字が減少すれば、アメリカの貿易相手国が得る米ドルは減ることとなり、そのような諸外国からの米国債買い需要も減少することになります。

 中国は10年以上前から米国債の保有額を徐々に減らしてきていますが、もし、中国がここから米国債をさらに大量に売却し、アメリカの長期金利が急上昇するようなことがあれば、それは市場に大混乱をもたらすことでしょう。その場合、FRBが量的緩和を再開する可能性があります。

 中国や日本は依然として大量の米国債を保有しています。不動産の世界では「借金が大きければ、それは借り手ではなく、貸し手の問題だ」という格言があります。

短期金利を低下させ、インフレ率が高まれば、アメリカの債務削減と景気刺激の両方に寄与する。このシナリオで損する人は?

 短期金利を抑えたうえで、たとえば関税などによってインフレ率が高まれば、やがて実質金利はマイナスとなり、これはアメリカの債務削減と景気刺激の両方に寄与します。

 このシナリオで損するのは、まず現金を保有している人々、そして債券を保有している投資家です。

 その一方、金や原油などのコモディティはインフレ下で強く、不動産や優良株も中長期的には悪くない資産と言えます。

 

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。

※メルマガ「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」募集中! 米国株&世界の株分析毎週届き、珠玉のポートフォリオの提示も! 登録から10日以内の解約無料。


ダイヤモンド・ザイオンライン講座。チャート入門のお申込み・詳細はこちら!
最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

攻めと守りの5万円株
最新好決算株
チャート入門

7月号5月21日発売
定価950円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[攻めと守りの5万円株83]
◎巻頭特集
2025年後半に上がる業種・下がる業種は?
関税ショックで日本株どうなる?

●内需・円高耐性銘柄を狙え
●米中首脳会談実現で反騰へ
●年末に日経平均は4万円回復

◎巻頭企画
トランプ関税に動じない
最新好決算株44
●人気株15銘柄の最新売買診断も!
強気と買いが12銘柄!
今期増配予想の手堅い高配当株
株主還元強化株/連続増配株
バーゲンセール中の過去最高益株
トランプ政策がプラス!国内で稼ぐ株

◎第1特集
資金が少なくても度胸がなくても大丈夫!
攻めと守りの5万円株83銘柄
●5万円株の2大巨頭
NTT vs ソフトバンク今買うならどっち?
桐谷さん流暴落相場のしのぎ方&おススメ優待株
暴落3日間で買った全53銘柄を公開!
●<Part 1>守る!
利回り4%超がズラリ!鉄壁の高配当株
・堅実に成長または下がりにくい株
・財務健全で配当維持or増配期待株
・市場拡大期待のニッチ・DX株
●<Part 2>攻める!
高成長株から超割安株まで!驚異の爆騰株
・業界内で圧倒的な強みの内需株
・業績の勢いがスゴイ大幅増益株
・大復活が期待できる超お買い得株
●お宝株は地方にあり!スゴイ北陸株

◎第2特集
3回集中講座の第2回!チャート入門
●「チャートの形と買いタイミング」
◎第3特集
初心者がハマる9つのワナを解説
正しい知識を身に着けて暴落に振り回されない!

●相場が悪い時は積立をやめて様子を見るべき
●初心者はリスクが低い投資信託を選ぶべき

◎第4特集
今から準備して夏満喫!
ふるさと納税・夏カタログ50
【別冊付録】FXで長期&安定運用
レンジ&自動売買でコツコツ!

●初心者はリスクが低い投資信託を選ぶべきなど
◎連載も充実
●プロがこの先1カ月の日本株のポイントを解説&ガチ予測!
●3カ月先を読む「日本株」と「為替」の透視図
●10倍株を探せ!IPO株研究所2025年4月編
●ZAiのザイゼンがチャレンジ!目指せ!お金名人Vol.10
●17億円トレーダー・ジュンのFX成り上がり戦略Vol.05
●おカネの本音!VOL.35 川田修平さん
●株入門マンガ恋する株式相場!VOL.103
●マンガどこから来てどこへ行くのか日本国
●人気毎月分配型100本の「分配金」速報データ!


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報